候補と選定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/15 23:14 UTC 版)
在位中の王が成年になるとタニストの選定が行われた。在位時に成年に達している場合、即位の直後にタニスト選定会議が開かれた。タニストは、その資格がある者(ロイダムナ)のうち能力が最も秀で、欠点・汚点のない者が家臣団による投票と合議によって選ばれた。さらにその会議ではタニストに次ぐ者、いわゆる第2位王位継承権者も選定された。大抵は王の第1子がタニストに選ばれたが、これは長子相続制に近いものであった。但し、原則と合議・合意に基づいて家臣が次代の王を決する点が異なっている。 ロイダムナの資格があるのは、在位中の王から8親等以内の、共通の曽祖父または高曽祖父をもつ者とされ、男系継承が一般的であった。この伝統はアイルランドのオニールの末裔とともにがスコットランド・マン島などに広がり、多くの氏族・部族の紋章には当時のアイルランド王家の名残りを残している。その代表的なものがレッド・ハンドである。レッド・ハンドの指の本数は王家から何世代下ったかを現している。この紋章はまた、王から離れすぎた親等の者をロイダムナから排除して家臣とする機能も有していた。ロイダムナが増えすぎるとタニスト選定の際に合意をえることが難しく、謀略や内戦にいたる例も少なくなかったためである。実際に12世紀、上王タラフ・オコノルの後継候補をめぐって内戦が起こった。
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