世界国尽
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『世界国尽』(せかいくにづくし)は、福澤諭吉の著書のひとつ。正式名称は、『世界國盡』。1869年(明治2年)の初冬に発行された。世界地理の入門書である。地理以外に、その国の歴史を説明している箇所もある。
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注釈
- ^ 福澤は『福澤全集緒言』において『世界国尽』について以下のように説明をしている。 世界国尽
- 幾千百年来
蟄居 ()の人民が俄 ()に国を開 ()て世界 ()に交 ()らんとするには、先 ()ずその世界 ()の何物 ()にして何 ()れの方角 ()に位するやを知り、その地名 ()を知りその遠近 ()を知るは最も大切 ()なることにして、前年は唐天竺 ()とて世界の末端 ()と心得たりしに、今は唐天竺 ()の外 ()に欧羅巴 ()、亜米利加 ()等も出現 ()し来り、随 ()て人の眼界 ()は旧時に幾倍 ()して広からざるを得ず。眼界 ()の広きは取 ()りも直 ()さず世界を狭 ()く思うことなれば、兎 ()に角 ()に全国民 ()をして世界 ()を観 ()ること日本国内を観 ()ると同様 ()ならしめんと欲し、之 ()に就 ()ては江戸の各処 ()に在る寺小屋 ()の手本 ()に、江戸方角 ()又は都路 ()とて、府下東西南北の方角 ()、地名 ()等を記し、東海道五十三駅 ()の順序 ()を五字七字の口調 ()もて面白 ()く書綴 ()り、児童 ()をしてその手本 ()の文字を手習 ()すると共にその文句 ()を暗誦 ()して自然 ()に地理 ()を覚えしむるの慣行 ()にして、江戸方角 ()、都路 ()と云えば江戸中の貴賤貧富 ()に拘 ()らず毎戸毎人 ()これを知らざる者なき程の次第なれば、余は之を見て独 ()り首肯 ()き、よし〱日本国中の老若男女 ()をして世界の地理風俗 ()を知ること江戸の方角地名 ()、東海道の五十三駅 ()を暗誦 ()するが如 ()くならしめんとの一案を起し、俄 ()に書林 ()に就て江戸方角、都路の版本 ()を求め、幾度 ()も之を熟読暗誦 ()して、乃 ()ちその口調 ()に傚 ()うて綴 ()りたるものは世界国尽 ()なり。本文 ()のみにては尽さゞるが故に頭書 ()を加えて、凡 ()そ各地の風俗歴史 ()等の荒増 ()しを記したれども、文章 ()は極 ()めて通俗 ()を主として苟 ()も難字 ()を用いず、紛 ()れもなき寺小屋流 ()の体裁 ()なりと信ず。 — 福澤諭吉、『福澤全集緒言』、79-80頁[3]
- 幾千百年来
出典
「世界国尽」の例文・使い方・用例・文例
- 世界国尽し
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