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ふくおうひゃくわ〔フクヲウヒヤクワ〕【福翁百話】

読み方：ふくおうひゃくわ

福沢諭吉の随筆。明治30年（1897）刊。人生論・経済論・政治論・処世訓・宗教論など多方面の問題を社会改良の立場から説いたもの。

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福翁百話

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』 (2024/01/04 07:14 UTC 版)

『福翁百話』（ふくおうひゃくわ、旧字体: 福󠄁翁󠄂百話）は、福澤諭吉の著書のひとつ。ひとつひとつ独立した100話からなるエッセイ集である。

脚注

注釈

^ ^a ^b 平山洋は『福沢諭吉の真実』で「福沢が戦争の危機迫る中、時事新報社に毎日出社して戦意高揚論説を乱造していた、というのは今日ではあたかも定説のようになっている」^[17]と解説し、石河幹明の『福澤諭吉伝』第3巻から以下のような説明を引用している。
　先生は其頃「福󠄁翁󠄂百話」の起󠄁草中にて､｢時事新報」の論說は著󠄁者󠄁等に意󠄁を授󠄁けて書かしむることが多かつたが、朝󠄁鮮事件の切迫󠄁するや日々出社󠄁し非常の意󠄁氣込󠄁を以て自から社󠄁說の筆を執られ、朝󠄁鮮の幣󠄁制改革問題幷に支那󠄁政府の態度に對し曠日彌久の不得策なるを論じて政府の勇󠄁斷果敢を促し、前󠄁揭の如く淸韓󠄁兩國に向つて宣戰すべしと極論せられた^[18]
^ 富田正文は現行版『福澤諭吉全集』第6巻（再版）の後記に以下のように記している。下線は引用者が施したものである。
　福󠄁翁󠄂百話　明󠄁治二十六年に起󠄁稿して二十七年春に百編󠄁を脫稿し、いよ〳〵「時事新報」紙上に連󠄀載しようといふ手順になつたとき、たま〳〵その晚春初夏の交󠄁から朝󠄁鮮に東學黨の亂が起󠄁り、日淸兩國閒󠄁の情󠄁勢が極めて切迫󠄁して來たので、一先づその發表は見合せにして、日淸戰爭中は福󠄁澤みづから日々の社󠄁說に筆を揮ひ、戰雲漸く收まり戰後の事も一應落着きを見るに至つた明󠄁治二十九年の二月󠄁二十五日の紙上に、本文󠄁冒󠄁頭に揭げた二月󠄁十五日附の緖言を載せて豫吿し、三月󠄁一日から揭載し始め一週󠄁二､三囘づつの割󠄀合で翌󠄁三十年七月󠄁四日の紙上で第百囘を完結し、同月󠄁二十日四六判󠄁用紙活版刷の單行本として時事新報社󠄁から刊行せられ、明󠄁治版全󠄁集刊行以來の著󠄁作なので、たび〳〵版を重ねて、大正版全󠄁集の第七卷に收められるまでに、七､八十版を重ねたもののやうである。昭和二十七年岩波書店刊「福󠄁澤諭󠄀吉選󠄁集」第七卷にも收められてゐる。〔卷末の再版追󠄁記參照〕^[7]
^ 『福澤諭吉著作集』第11巻の口絵（写真）の3頁に以下のように記されている^[9]。同じ文章は同書本文の2頁にも新字新仮名で収録されている。下線は引用者が施したものである。
　　　　福󠄁翁󠄂百話序言
開國（かいこく）四十年來（ねんらい）我文明󠄁（わがぶんめい）は大に進󠄁步（しんぽ）したれども文明󠄁（ぶんめい）の本意󠄁（ほんい）は單（たん）に有形（いうけい）の物（もの）に止（とゞ）まらず國民全󠄁體（こくみんぜんたい）の智德（ちとく）も亦（また）これに伴󠄁（ともな）ふて無形（むけい）の閒󠄁（あひだ）に進󠄁步（しんぽ）し變化󠄁（へんくわ）して以て始（はじ）めて立國（りつこく）の根本（こんぽん）を堅固（けんご）にするを得（う）べし余は元來（ぐわんらい）客（きやく）を悅（よろこ）んで交󠄁（まじは）る所󠄁、頗（すこぶ）る廣（ひろ）し語次󠄁徃々（ごじわう〳〵）此邊（このへん）の問題（もんだい）に論及󠄁（ろんきふ）したること幾十百回なるを知（し）らざれども客（きやく）散（さん）ずれば一時（じ）の雜話（ざつわ）これを意󠄁（い）に留（とゞ）めざるの常（つね）なりしかども左（さ）りとは殘念（ざんねん）なりと心付（こゝろづ）き去年來（きよねんらい）閑（かん）を偸（ぬす）んで筆（ふで）を執（と）り曾（かつ）て人に語（かた）りし其（その）話（はなし）を記憶（きをく）のまゝ夫（そ）れ是（こ）れと取集（とりあつ）めて文󠄁（ぶん）に綴（つゞ）り其（その）文󠄁（ぶん）漸（やうや）く積（つ）んで凡󠄁（をよ）そ百題（だい）を得（え）たり依（より）て之を福󠄁翁󠄂（ふくをう）百話（わ）と名（なづ）け時事新報（じゝしんぽう）に揭載（けいさい）することに决（けつ）し本年三月󠄁一日より續々（ぞく〳〵）之を紙上（しゞやう）に公󠄁（おほやけ）にす可（べ）し但（たゞ）し原稿（げんかう）の校󠄁正（かうせい）にも多少（たせう）の時（とき）を費（つひや）すことなれば先（ま）づ一週󠄁閒󠄁（しうかん）に二三回（くわい）づゝの積（つも）りなり讀者󠄁（どくしや）若（も）し此（この）漫筆（まんぴつ）を見（み）て余（よ）が微意󠄁（びい）の在（あ）る所󠄁（ところ）を知（し）り無形（むけい）の智德（ちとく）以（もつ）て居家處世（きよかしよせい）の道󠄁（みち）を滑（なめらか）にし一身（しん）一家（か）の獨立（どくりつ）能（よ）く一國（こく）の基礎（きそ）たるを得（う）るに至（いた）らば望󠄂外（ぼうぐわい）の幸甚（かうじん）のみ明󠄁治（めいぢ）二十九年二月󠄁十五日福󠄁澤諭󠄀吉記
^ 『福澤諭吉著作集』第11巻の口絵（写真）の3頁に以下のように記されている^[13]。下線は引用者が施したものである。
　　　　福󠄁翁󠄂百話

福󠄁澤先生（ふくざわせんせい）が去年來（きよねんらい）心（こゝろ）を籠（こ）めたる福󠄁翁󠄂（ふくをう）百話（わ）は一字（じ）一句（く）も先生（せんせい）の手（て）に成󠄁（な）りて他人（たじん）の筆（ふで）を交󠄁（まじ）へず我社󠄁員（わがしやゐん）に於（をい）ても未（いま）だ見（み）ざる所󠄁（ところ）のものなれども其（その）由來（ゆらい）は先生自筆（じひつ）の序言（じよげん）に詳（つまびらか）なり我輩（わがはい）は江湖（こうこ）の讀者󠄁（どくしや）と共（とも）に其（その）發兌（はつだ）を待（ま）つ者󠄁（もの）なり
　　　　　　　　　　東京々橋區南鍋町

　明󠄁治二十九年二月󠄁　　　　　時事新報社󠄁謹󠄀白
^ 富田正文は現行版『福澤諭吉全集』第6巻（再版）の後記の再版追記に以下のように記している。下線は引用者が施したものである。〔一部の漢数字を算用数字に改めた。〕
　〔再版追󠄁記〕　「福󠄁翁󠄂百話」の成󠄁立に就いて後記五九八頁に「明󠄁治二十六年に起󠄁稿して二十七年春に百編󠄁を脫稿し」云々と記したのは、石河幹明󠄁著󠄁「福󠄁澤諭󠄀吉傳」第三卷第二五七頁に「明󠄁治二十六年「福󠄁翁󠄂百話」の著󠄁述󠄁に着手せられ、其稿を終󠄁つて未だこれを公󠄁にされなかつた中、朝󠄁鮮事變（ママ）から日淸戰爭を惹起󠄁し時局が重大となつたので、既󠄀に脫稿した「福󠄁翁󠄂百話」の公󠄁表を見合せて」云々の記事に據つたものであるが、岐阜の塾員伊藤󠄁喜一氏の注󠄁意󠄁その他により、明󠄁治二十九年二月󠄁十五日付の序文󠄁に「去年來閑を偸んで筆を執り」(本卷一九七頁七行目)とあり、六十二話の文󠄁中に「今は二十八年にして」(同三〇六頁一一行目)、六十四話の文󠄁中に「嘉永癸丑の開國より明󠄁治二十八年に至るまで」(同三〇九頁四行目)等の文󠄁言があり、更󠄁に明󠄁治二十九年三月󠄁三十一日付日原昌造󠄁宛書翰に「去年來書きは書いたものゝ」云々(第十八卷七二六頁第1604號書翰)とあり、この「福󠄁翁󠄂百話」が日淸戰爭以前󠄁に既󠄀に脫稿されてゐたとの說は疑はしいことが判󠄁明󠄁した。依つて右の一節󠄁を次󠄁のやうに訂正する。
　　「明󠄁治二十八年中に百編󠄁を脫稿し〔途󠄁中約󠄁三行を削󠄁除し〕明󠄁治二十九年の二月󠄁二十五日の紙上に」云々^[12]
^ 初版には巻頭の写真がないが、再版には巻頭に「一面真相一面空／人間萬事邈無窮／多言話去君休笑／亦是先生百戯中」（一面は真相、一面は空（くう）／人間萬事邈（ばく）として窮（きわま）り無し／多言話し去るも君（きみ）笑うを休（や）めよ／亦是（またこれ）先生百戯の中（うち））と記した諭吉筆跡の写真が追加された^[25]^[26]。
^ 福澤 (1897b)に対して、巻頭に「三十五年前撮影（文久二年和蘭に於て）」と題する写真^[27]と「最近撮影」と題する写真^[28]が追加されている。1枚目の写真はオランダではなくベルリンで撮影されたものである。また、最終ページの広告が削除されている^[26]^[29]。
^ 福澤没後に出版された。
^ 福澤 (1897a)と福澤 (1901)との合本。
^ 福澤 (1902)のポケット版。漢数字以外の全ての漢字に振り仮名が振られている。
^ 服部 (2003, p. 360)では第8巻と記されているが実際は第7巻である。
^ 改造文庫収録の『福翁百話』から削除されたのは服部 (2003, pp. 360–361)では計5話と記されているが実際は計6話である。

出典

^ 福澤 2003, p. 3.
^ 福澤 2003, pp. 278–279.
^ 服部 2003, pp. 359–360.
^ 福澤 2003, p. 2.
^ 服部 2003, p. 358.
^ 石河 1981, p. 257.
^ 福澤 1970, p. 598.
^ NDLJP:781922/4
^ 福澤諭吉「福翁百話序言」『時事新報』第4525号、時事新報社、1896年2月25日。
^ NDLJP:781922/116
^ NDLJP:781922/119
^ ^a ^b 福澤 1970, p. 607.
^ 「福翁百話」『時事新報』第4525号、時事新報社、1896年2月25日。
^ 平山 2004, p. 184.
^ ^a ^b 平山 2004, p. 206.
^ 川辺真蔵『報道の先駆者福澤諭吉』三省堂、1942年9月5日、2-3頁。NDLJP:1043457/5。
^ 平山 2004, p. 101.
^ 石河 1981, p. 713.
^ 平山 2004, p. 102.
^ 平山 2004, p. 100.
^ 福澤諭吉『福翁自傳』時事新報社、1899年6月15日、528頁。NDLJP:2387720/271。
^ 福澤 1970, pp. 600–601.
^ 福澤 1941, p. 285.
^ 福澤 1941, p. 286.
^ NDLJP:1082748/4
^ ^a ^b “デジタルで読む福澤諭吉　福翁百話”. 慶應義塾大学メディアセンター. 2022年12月30日閲覧。
^ NDLJP:781922/1
^ NDLJP:781922/2
^ 福澤 1897a.

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