フライ曲線を用いたフェルマーの最終定理への挑戦
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 23:54 UTC 版)
「ワイルズによるフェルマーの最終定理の証明」の記事における「フライ曲線を用いたフェルマーの最終定理への挑戦」の解説
上記の戦略に従えばフェルマーの最終定理を証明するには2つのステップを踏む必要がある。1つはセールの部分的な証明を拡張し、フライの直感が正しいことを示すこと。つまり、上記の楕円曲線(フライ曲線)がもし存在するのであれば、それがモジュラーではないことを示すことである。証明の完全でない、欠けていた部分(イプシロン予想)はジャン・ピエール・セールによるものである:1。2つ目は谷山・志村予想を証明することである。あるいは完全に証明せずとも、少なくともフライ曲線を含む楕円曲線(半安定楕円曲線)に関して谷山・志村予想を証明することである。 もしイプシロン予想が真であれば、フェルマーの最終定理の反例となる a, b, c, n はモジュラーでない半安定楕円曲線(フライ曲線)を構成することができる。 しかし、もし谷山・志村予想がフライ曲線に関して真であれば、定義からあらゆる(非存在ではない)フライ曲線はモジュラーでなければならない。 ここから次の結論が導かれる。つまり、もしイプシロン予想および谷山・志村予想がともに真であると証明されれば、それはフェルマー方程式に解が存在しないことを意味する。これは、もしフライ曲線が全く存在しないのであれば両者が互いに矛盾しないためである。このようにフェルマーの最終定理が証明されるのである。
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