パタゴンとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > パタゴンの意味・解説 

パタゴン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/04 10:02 UTC 版)

パタゴンスペイン語: Patagón)は、南アメリカ南端にいたとされる伝説の巨人族で、16世紀の探検家マゼランによって名付けられた人々である。現在の南米パタゴニアの地名は「パタゴンの住む土地」の意からきている。


注釈

  1. ^ 意味が不明であるがピガフェッタの記述のままである。訳者によっては砂をかぶっていたとも訳す。
  2. ^ 毛皮で作った履物で足が大きく見えたというのが現在の通説である。[5]
  3. ^ パタゴンの由来にはスペイン語およびポルトガル語でpata=足が由来の説の他に諸説がある。patagonはスペイン語のpata「足」ではなく先住民の発した言葉をマゼランが取ったとか、当時スペインで「大足の騎士」の小説が売れていて、そこにPatagonの名があるのでそこから命名したとかである。パタゴンの命名者のマゼランは遠征途中で死に、記録者のピガフェッタもパタゴンの名の由来について書き残していないので語源については永遠の謎のままである。
  4. ^ 南アメリカ南部にregio gigantum 「巨人国」と銘打っている地図は1534-36年Oronce Fine作、1544年ゲンマ・フリシウスペトルス・アピアヌス作、1590年Joannes Myritius作、1598年Zacharias Heyns作などがあり、地図上のパタゴニアの位置に巨人の説明あるいは巨人のイラストが入っているものは1570年アブラハム・オルテリウス作、1590年ヤン・ホイヘン・ヴァン・リンスホーテン作や1590年ペトルス・プランシウス作、1544年セバスチャン・カボット作、1600年Arnoldo di Arnoldi作、1604年Josua van den Ende作、1604年Luis Teixeira作、1606年Willem J. Blaeu作、1609年Pieter van den Keere作、1611年Jodocus Hondius作、1629年Nicolaes van Wassenaer作、1630年Pieter Verbiest作、1642年G. Battista Cavazza作、1651年Petrua Plancius, Cornelis Danckerts de Ry作、1660年頃Pieter van den Keere作、1665年Willem J. Blaeu作をはじめ多数あり[7]、特に右に地図をあげたゼバスティアン・ミュンスターによる「Cosmographia」(世界誌、あるいは直訳で宇宙誌)は1544年に発行され5か国語で約80年間計35版を重ねるベストセラーである。[8]
  5. ^ 5隻約270人で出発したマゼランの艦隊だがパタゴニアで1隻を喪失、さらにパタゴニアでもう1隻約60人が反乱によって艦隊を離れ世界一周に向かうことなく帰国している。艦隊はさらに2隻をアジアで失い、1隻ビクトリア号だけが世界一周を成し遂げている。また乗組員の内、一部は途中で脱落したりポルトガル人に拘束されながら生き延びて後年に帰国したりしている。従って18人の他に遅れて世界一周を成し遂げた乗組員が少数いる。しかしおよそ2/3の乗組員は航海で命を落としている。[10]
  6. ^ マゼラン遠征に関するピガフェッタの記録は2011年刊岩波文庫『マゼラン最初の世界一周航海』や岩波書店、大航海時代叢書 第1巻『航海の記録』1965年刊で和訳全文を読むことができる。ピガフェッタの記録は2011年岩波文庫版(和訳)で240ページ程の記録である。
  7. ^ パタゴン=テウェルチェ族が使っていた毛皮はグアナコなどのラクダ科の動物の毛皮である。[13]。アンデス文明もラクダ科の動物を使役や毛皮に多用していたが、パタゴニアにはグアナコが多く生息している[14]
  8. ^ 巨人が死の間際、キリスト教への改宗を言い出した時には「パオロ」の名は授けたようであるが、ピガフェッタの記録の中でパタゴンは「巨人」呼ばわりのままである-会田『航海の記録』pp.504-525
  9. ^ アメリカへの人類の移動については異論はさまざまあり、北米には南米のモンテベルデ遺跡より古い遺跡の存在が未だに確定していないことから、南米の人類はオセアニアから船で渡ったと言う説もある。しかし、石器時代の人の作れるカヌーでもって集団が太平洋を横断できた可能性は限りなく低く、また南米大陸の太平洋側にはフンボルト海流という強力な海流が流れているため帰帆能力を持たない船舶がそれを越えて陸に到達することも非常に困難である。[19]
  10. ^ 南アメリカではアンデス文明インカ帝国や近隣の有力部族マプチェ族ですら文字を持たなかった
  11. ^ アマゾン川の有名な支流のネグロ川やウルグアイのネグロ川とは同名であるが別の川である。パタゴニア北部の川である。
  12. ^ ほかにテウェルチェ族とヨーロッパ系移民とのテウェルチェ系混血が約6000人程度と言われている。もちろんテウェルチェ女性とヨーロッパ系男性の子孫である。
  13. ^ 南アメリカ先住民族はテウェルチェ族だけでなくすべての民族が皆、大幅に数を減らした。パタゴニアを含むテウェルチェ族に大きな影響を与えたマプチェ族や、それ以外のすべての先住民族を含めてもアルゼンチン全土で1977年では34万人ほどで[30]、これは1980年に2800万のアルゼンチン人口[31]の1%強程度に過ぎない。

出典

  1. ^ 合田『マゼラン』p.270,272
  2. ^ a b c d e Carolyne Ryan. “European Travel Writings and the Patagonian giants”. Lawrence University. 2011年9月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年8月28日閲覧。
  3. ^ 藤井『希望の大地パタゴニア』pp.4-6
  4. ^ a b c d e f g 会田『航海の記録』pp.504-525
  5. ^ 会田『航海の記録』p.502及び 藤井『希望の大地パタゴニア』pp.4-6
  6. ^ ピガフェッタ『マゼラン最初の世界一周航海』pp35-63,275-281
  7. ^ チャールズ・ブリッカー『世界古地図』pp.205,217および『The MAPPING OF THE WORLD Early printed world maps 1472-1700』pp.2,90,200-201,228,244-245,256-257,262,274-275,280,286,294-295,324,352,362,382,412,434,454
  8. ^ 合田『マゼラン』p.270,272
  9. ^ The Patagonian Giants”. Museum of Hoaxes. 2011年8月28日閲覧。
  10. ^ 会田『航海の記録』
  11. ^ 会田『航海の記録』pp.489
  12. ^ 会田『航海の記録』pp.479-485
  13. ^ 会田『航海の記録』p.509
  14. ^ 藤井『希望の大地 パタゴニア』p.35
  15. ^ 会田『航海の記録』p.505
  16. ^ 高木『パタゴニア探検記』p.20
  17. ^ 藤井『希望の大地パタゴニア』p.74
  18. ^ a b オッペンハイマー『人類の足跡 10万年全史』pp.38-39
  19. ^ オッペンハイマー『人類の足跡 10万年全史』pp.304-370
  20. ^ オッペンハイマー『人類の足跡 10万年全史』pp.312-313
  21. ^ 藤井『希望の大地パタゴニア』pp.73-75
  22. ^ a b c d e f 藤井『希望の大地パタゴニア』p.75
  23. ^ a b 藤井『希望の大地パタゴニア』p.6
  24. ^ ブーガンヴィル『世界周航記』pp.127-136
  25. ^ ブーガンヴィル『世界周航記』p.131
  26. ^ アルベルト松本『アルゼンチンを知るための54章』p.19
  27. ^ 綾部『世界民族事典』p.645
  28. ^ 高崎『民族対立の世界地図』pp.67-68
  29. ^ 藤井『希望の大地パタゴニア』pp.11-12
  30. ^ 『外国の立法』1993年12月号p.380
  31. ^ ブライアン・R.ミッチェル『南北アメリカ歴史統計 : 1750~1993』p.7
  32. ^ 藤井『希望の大地パタゴニア』p.8





英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「パタゴン」の関連用語

パタゴンのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



パタゴンのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのパタゴン (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS