ニセ・クリスタルズと謎のレコーディング
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「クリスタルズ (アメリカ合衆国のグループ)」の記事における「ニセ・クリスタルズと謎のレコーディング」の解説
フィル・スペクターは「ヒー・ヒット・ミー」の失敗後すぐ、クリスタルズを使ってジーン・ピットニー作の「ヒーズ・ア・レベル」(He's A Rebel)をレコーディングしようとしていた。しかし、ニューヨークを拠点とするクリスタルズは、ロサンゼルスに本拠を置くスペクターの下に迅速に移動できず、他のバージョンがリリースされないうちにこの曲をプロデュースしてしまいたかったスペクターは、LAにいたダーレン・ラヴと彼女のバッキング・グループのブロッサムズを使ってレコーディング、その音源をクリスタルズ名義でリリースしてしまった(この曲はもともとシレルズにオファーしたものであったが、シレルズのメンバーはその反体制的な歌詞に難色を示し、オファーを断っていた)。この曲は(本人たちのレコーディングではないにもかかわらず)クリスタルズを少女グループからワイルドな大人の歌手へイメージチェンジさせることになり、後のグループ(シャングリラスの「リーダー・オブ・ザ・パック」など)への布石にもなり、皮肉なことに全米No.1にまで上りつめてグループ最大のヒットとなった。続く「愛しているんだもの」(He's Sure the Boy I Love)も同じくラヴとブロッサムズの歌唱が使用され11位まで上昇した。 クリスタルズ名義の次作「Let's Dance The Screw - Part I」は、当時のラジオではオンエアされる可能性が極めて低い6分近くの長い曲で、短いフレーズを繰り返すだけの単調で無表情な歌詞と、スペクター得意のウォール・オブ・サウンドとは程遠い薄っぺらなバッキングで構成された、ポップミュージック史上もっとも奇妙な作品のひとつである。このレコーディングが本当のクリスタルズのものか、ラヴ&ブロッサムズのものなのかは今もって不明である。結局この曲はシングルとしてリリースされなかった。
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