クロヒョウ脱走の原因
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/12 03:05 UTC 版)
「上野動物園クロヒョウ脱走事件」の記事における「クロヒョウ脱走の原因」の解説
『動物園の昭和史』の著者、秋山正美は当時小学校1年生で、このクロヒョウを観るために芝大門の自宅から何度も上野動物園に通っていた。秋山によると、最初の数回は鉄柵の外に「クロヒョウ」と記された札が出ていたにもかかわらず、クロヒョウ自体はどこにも見当たらなかったという。秋山は諦めずに上野動物園通いを続け、運動場から別の檻への出入り口の奥にクロヒョウの臀部が少し見え隠れしているのに気づき、存在を確かめることができた。 後にクロヒョウがたまたま姿を現したとき、秋山もその場に居合わせた。クロヒョウはコンクリート製の岩石の上に這い上がって行き、そこでほとんど動かなくなった。秋山がなおも見守っていると、檻の天井にあたる高所まで登っていき、宙吊りのような姿勢でまた動かなくなっていた。秋山はこのことについて、『いまになって振り返れば、クロヒョウが高いところへ行きたがることに、飼育係は、もう少し早く注目すべきであったろう』と指摘している。 上野動物園の猛獣舎に付属している運動場は屋外に設置された檻であるため、陽射しを遮る屋根がなかった。屋根の代わりに放射状に伸びた鉄棒が組み合わされていて、運動場の上を天井のようにすっぽりと覆う形になっていた。しかし、天井代わりの鉄棒と鉄棒の間に、わずかながら幅の広いところと狭いところができていて、1カ所のみクロヒョウの頭部が入り込める程度のすきまがあった。その部分には、真っ黒な毛が数カ所にこびりついていて、クロヒョウはここから脱走したものと判明した。また、後には天井部の鉄棒については、檻の外周に使われている鉄棒よりやや細かったこともわかっている。
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