Tokyo Investigative Newsroom Tansa
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沿革
Tansaの前身であるワセダクロニクルは、2017年2月1日に早稲田大学ジャーナリズム研究所で誕生した。「大学発メディア」として、ジャーナリズムの実践とジャーナリスト教育の両立を目指して立ち上がった。創設者および編集長は、元朝日新聞記者の渡辺周。創刊シリーズ「買われた記事」では、電通と共同通信による20年前から続くステマ記事の真相を暴いた。製薬企業から金を受け取った電通が、さらに共同通信に委託し、新薬の宣伝を「広告」ではなく「記事」として配信していたというスクープである[4]。株主総会で問いただされた電通は社内規定の見直しを表明し、共同通信は対価を伴う一般記事の廃止を約束した。東京都は製薬会社に改善命令を下した。この報道により、日本外国特派員協会から「報道の自由推進賞」を授与された。
2018年2月1日、NPO法人ワセダクロニクルとして早稲田大学から独立した。シリーズ「強制不妊」で、旧優生保護法のもと、厚生省が強制不妊手術の件数を都道府県に競わせていたことや、手術件数が全国最多の北海道が「千人突破記念誌」を発行していたことなどスクープを放った。他のメディアも追随し、国会議員が超党派で被害者救済の法案作りに着手した。安倍晋三元首相が被害者に謝罪し、救済法の成立が実現した。この報道により、反貧困ネットワークの「貧困ジャーナリズム大賞」を受賞した。強制不妊の推進にあたっては、当時のNHK経営委員や河北新報会長などメディアが当事者として加担していたことを暴いたことも評価された。この報道でNHK幹部は国会に呼ばれて説明を求められたが、事実確認ができないと言い訳に終始した。
その後も探査報道シリーズや連載コラムを数多くリリース。2020年には、ジャーナリズム支援市民基金から「ジャーナリズムXアワード大賞」を授与された。
ジャーナリスト教育に力を入れるという創刊当初の目標を引継ぎ、2020年11月に探査報道ジャーナリスト養成学校「Tansa School」を開校。国内外から多彩な講師を招き、オンライン授業と対面授業を併用した長期講座を実施している。「市民をジャーナリストに」、「ジャーナリストを一流のジャーナリストに」をモットーに、全国の記者をはじめ、弁護士、議員、投資家、NGO職員、学生などあらゆる受講生が集っている[5]。
2021年3月、NPO法人Tansaに名称を変え、ニューズルーム名を「Tokyo Investigative Newsroom Tansa」に変更した。同年10月、編集長の渡辺周が世界最大の社会起業家グローバルネットワーク「Ashoka」が認定する社会起業家、「Ashoka Special Relationship Innovator」に選出された[6]。日本では7人目であり、日本のジャーナリズム分野では初めての選出となる。
- ^ https://japan-indepth.jp/?p=33067
- ^ a b “Tansaを知る | Tansa” (2021年2月27日). 2021年6月7日閲覧。
- ^ “サポーターになる | Tansa” (2021年3月5日). 2021年6月7日閲覧。
- ^ http://hbol.jp/134139/
- ^ “探査報道ジャーナリスト養成学校 | Tansa” (2021年2月28日). 2021年6月7日閲覧。
- ^ https://www.ashoka.org/ja-jp/fellow/makoto-watanabe
- ^ “買われた記事 | Tansa”. 2021年6月7日閲覧。
- ^ “強制不妊 | Tansa”. 2021年6月7日閲覧。
- ^ “製薬マネーと医師 | Tansa”. 2021年6月7日閲覧。
- ^ “消えた核科学者 | Tansa”. 2021年6月7日閲覧。
- ^ “双葉病院 置き去り事件 | Tansa”. 2021年6月7日閲覧。
- ^ https://tansajp.org/investigativejournal_category/pfoa/
- ^ https://www.kinyobi.co.jp/tokushu/003354.php
- ^ https://tansajp.org/investigativejournal_category/region/
- ^ https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/49a5fc00ed80c7806d45d1033e3aa49dff190e14
- ^ https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000032375.html
- ^ “データベース | Tansa” (2021年2月28日). 2021年6月7日閲覧。
- ^ “メディア・アンビシャス - 市民が育てるメディア”. media-am-s.com. 2023年5月11日閲覧。
- ^ "巨大イカに2695万円…コロナ交付金による“地方創生”の実態" 女性自身 光文社 2022年6月16日6:00更新 2024年1月16日閲覧
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