Rance -光をもとめて- OVA

Rance -光をもとめて-

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/18 05:05 UTC 版)

OVA

リメイク版のOVA化作品である『ランス01 光をもとめて THE ANIMATION[21]は、2014年から2019年にかけてDVDおよび全話収録のBlu-ray Disc、ゴールドディスクが発売された。ダウンロード版は単品動画として配信されている。

制作

OVA版『ランス01』は、ピンクパイナップルのプロデュースのもと、アニメーションスタジオ・セブンによって制作が行われた[15]。アダルトアニメ作品の『恋騎士 Purely☆Kiss』などで知られる西川貴史は、ピンクパイナップルのプロデューサーである吉田小陰によって本作の監督に指名された[15]

アニメ化を企画するにあたり、通常の企画書では原作の絵をトレースしたようなイラストが用いられるが、西川は劇中の場面を想定したイメージボードを準備しアリスソフト側に提出した[15]。これによってアリスソフト側に西川のイメージがスムーズに伝わり、映像化の許諾にこぎつけた[15]。そして脚本が執筆された後、西川と親しい間柄の漫画家・堤抄子によって絵コンテが用意され、それを基準として演出構成が決定された[24]。西川は本格的なファンタジーの制作は手掛けるのが初めての試みであったため、幼少期から親しんでいた『ロードス島戦記』を代表とするファンタジー作品をなぞらえるように制作を行ったと話している[15]

アニメ化に際してはユーザーの目線を重視する方針がとられ、例としてスタッフの知り合いのRanceシリーズファンへの聞き取りや、ファンサイトの調査が行われた[15]。 具体的には、美術設定の検証のために長年の『Rance』ファンが起用されている[15]

キャラクター設定

ランスのデザインは企画書用に書き起こされたデザインがほぼそのまま採用された[24]。また、女性ファンからも好かれるようにするため、鬼畜でありながらも明るい少年のようなところをもち合わせたキャラクター像とされた[24]。ヒロインのシィル・プラインはメインヒロインながらも、なかなか一番人気になれないという現況を鑑みた西川により、ほおに髪の毛をかけるなどして色気を出す試みが行われた[24]。ランスを振り回す道具屋のパティ・ザ・サマーに関しては彼女の明るい性格を表現するため、じっとしているときでも髪の毛が跳ねているように描かれ、耳が隠れないように描かれた[24]。また、旅館「氷砂糖」の女主人・堀川奈美は華やかな感じを出すために、振袖を着た女性としてデザインされ、盗賊のネカイ・シスの衣装はファンタジー色の強いデザインが施された[24]。しかしながら、彼女の衣装はパーツが多い上に、左右で差異があったため、制作側では色の塗り間違いなどのトラブルが起きやすかったという[24]。そのほか、とらわれの町娘であるパルプテンクス・フランダースは、西川の監修の下、ピンクパイナップルの別作品で監督を務めた小原和大がデザインを手がけた[24]

キャスティング

キャスティングに関しては細心の注意が払われ、ファンの意見、西川のイメージ、アリスソフトの意見をすりあわせた上で選定され、演技の指導にはアリスソフトも参加した[15]。 ランス役の由嘉鈍は、アリスソフト側のイメージと西川のイメージが一致する形で選ばれた[15]。ほかの声優も同様の理由で選定された[15]。ランスの配役に関してネカイ役の御苑生メイは、ランスの声は自分の中のイメージに合っていたので演じやすかったとTGSmartとのインタビューの中で振り返っている[25]。ナレーターとしては勅使河原冬子が起用され[15]、お笑いコンビのNOモーション。も声優として参加している[32]

ネカイ役に御苑生メイを起用することは制作陣の間で初期の段階から決まっており、ゆえに西川は作画時にイメージしやすかったとしている[24]。 御苑生はリメイク元である『Rance』は美少女ゲームを知るきっかけになった作品であると述べており、御苑生自身は『Rance』をプレイした時にネカイを見たことがなかったため、初めて台本を読んだ際、色気のある大人の女性であるという印象を抱き、それに合わせて少し色気のある演技をしようと考えたという[25]。しかしその後、ネカイがかわいらしいキャラクターであると分かり、それに合わせた演技をしたと話している[25]

シリーズ

DVD
  • 第1話「ランス、起つ!!」 2014年12月26日発売 JDXA-57271
  • 第2話「進行!! リーザス中枢」 2015年6月26日発売 JDXA-57275
  • 第3話「ランス、断つ!!」 2016年1月29日発売 JDXA-57276
  • 第4話「そして、王道へ…」 2016年6月24日発売 JDXA-57277
Blu-ray Disc
  • 「ランス01 光をもとめて THE ANIMATION」 ブルーレイ 完全版 2017年12月22日発売 JDBA-57454
ゴールドディスク
  • 「ランス01 光をもとめて THE ANIMATION」ゴールドディスク 2019年5月31日発売 JDXA-57524

注釈 

  1. ^ 発売日を8月15日とする文献も存在するが[1][7]、記事本文中ではインタビュー記事に記載された発売年月日を採用した。

出典 

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 前田 2016, p. 50.
  2. ^ a b c 著作権ガイドライン”. ALICESOFT. 2020年1月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年1月19日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j 今俊郎、黛宏和 (2019年8月1日). “【ゲームの企画書】エロゲー業界の重鎮アリスソフトのTADA氏が駆け抜けた現場30年。平成に始まり平成に終わった『Rance』シリーズを完結させた「作り続ける人」が向かう先(1ページ目)”. 電ファミニコゲーマー. 2020年5月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年8月4日閲覧。
  4. ^ a b c d e ランス01 光をもとめて”. ALICESOFT. 2020年1月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年1月19日閲覧。
  5. ^ a b c d e f 福山幸司 (2019年6月7日). “平成元年に始まり平成で終わった美少女ゲーム『ランス』シリーズを振り返る。各種文献から見るアリスソフトとTADA氏の軌跡”. 電ファミニコゲーマー. 2020年5月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年6月12日閲覧。
  6. ^ a b c d e f 「創立メンバーに聞くアリスソフトの歴史」, 『電撃姫 Vol.3』, p. 62.
  7. ^ 宮本 2017, p. 69.
  8. ^ a b 宮本 2017, p. 70.
  9. ^ a b c d e f はまぐち 2000, p. 62.
  10. ^ 「アリスの館4・5・6」, 『電脳美少女虎の巻』, p. 47.
  11. ^ ”ランス”ってなんだ?”. ALICESOFT. 2020年1月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年1月19日閲覧。
  12. ^ 宮本 2017, p. 291.
  13. ^ 【新作情報】24年の時を経て今誕生――。アリスソフト最新作『ランス01』発売決定!!”. アールエスケイ (2013年7月16日). 2020年1月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年1月21日閲覧。
  14. ^ HIRO (2013年7月12日). “ハニワ開発室【ランス01】”. アリスソフト. 2020年1月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年1月21日閲覧。
  15. ^ a b c d e f g h i j k l m 【ピンパイ】『ランス01』制作者インタビュー【前編】”. TG Smart (2014年12月9日). 2019年7月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月7日閲覧。
  16. ^ a b 夕霧 (2014年2月17日). “コミメガ2014年α3月号”. 2020年1月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年1月19日閲覧。
  17. ^ a b c d e f g h i j k l m 「Rance 光をもとめて」, 『PC ANGEL シリーズ研究総集編 美少女ゲーム傑作選』, p. 102.
  18. ^ a b c d e 「Rance 光をもとめて」, 『PC ANGEL シリーズ研究総集編 美少女ゲーム傑作選』, p. 103.
  19. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 「Rance01_-光をもとめて-」, 『テックジャイアン』2013年11月号, p. 80-83.
  20. ^ システム”. ALICESOFT. 2019年9月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年1月19日閲覧。
  21. ^ a b c d e f g h 登場人物”. ALICESOFT. 2020年1月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年1月19日閲覧。
  22. ^ ピンクパイナップル [@pinpai] (2016年4月14日). "ピンクパイナップルによるツイート" (ツイート). 2020年5月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。Twitterより2020年5月16日閲覧
  23. ^ a b c d e 登場人物”. ALICESOFT. 2019年9月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年1月19日閲覧。
  24. ^ a b c d e f g h i j 【ピンパイ】『ランス01』制作者インタビュー【後編】”. TG Smart (2014年12月10日). 2019年7月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月7日閲覧。
  25. ^ a b c d 【ピンパイ】『ランス01 光をもとめて』ネカイ・シス役の声優・御苑生メイさんにインタビュー!”. TG Smart (2014年11月26日). 2019-07-0時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月7日閲覧。
  26. ^ a b 今俊郎、黛宏和 (2019年8月1日). “【ゲームの企画書】エロゲー業界の重鎮アリスソフトのTADA氏が駆け抜けた現場30年。平成に始まり平成に終わった『Rance』シリーズを完結させた「作り続ける人」が向かう先(2ページ目)”. 電ファミニコゲーマー. 2020年1月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年8月4日閲覧。
  27. ^ a b ランスチームだより~ランス01人気投票のおさそい”. アリスソフトBlog. アリスソフト (2013年10月17日). 2019年4月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年1月20日閲覧。
  28. ^ 「アリスの館4・5・6」, 『電脳美少女虎の巻』, p. 48.
  29. ^ 2013年・9月セールスランキング”. Getchu.com. 2014年4月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年1月21日閲覧。
  30. ^ 2013年 ゲーム・セールスランキング”. Getchu.com. 2014年7月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年1月21日閲覧。
  31. ^ 2014年総合ランキング”. DMM. 2020年1月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年1月21日閲覧。
  32. ^ NOモーション。 (2016年5月29日). “ランス01第4巻!”. 2020年1月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年1月19日閲覧。
  33. ^ 夕霧 (2014年2月17日). “初単行本「快楽ほりっく」7/30発売予定”. 2019年5月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年1月21日閲覧。





英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  Rance -光をもとめて-のページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「Rance -光をもとめて-」の関連用語

Rance -光をもとめて-のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



Rance -光をもとめて-のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのRance -光をもとめて- (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS