GSM-FR 歴史

GSM-FR

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/30 13:53 UTC 版)

歴史

GSM-FR のベースになる RPE(regular pulse excitation)方式は 1985 年に発表され[1]、最初の第2世代移動通信システムである GSM のための音声符号化方式として 1987 年にオランダ電機家電製品メーカーであるフィリップスから提案され、さまざまな評価が行われた[2]。この方式は任意の位置/振幅のパルス列と線形予測符号を組み合わせた MPLPC(multi-pulse linear predictive coding、マルチパルス線形予測符号)方式に制限を加えて単純化し演算量を抑えたものである。MPLPC は 1982 年頃に考案された。

RPE 方式は IBM など他社の提案より音質が優れていたが、ビットレートが 14.77 kbps と高く通信エラー時の音質低下が大きい問題があった。そのためIBMと協力し、IBM の提案に含まれていた LTP(long term prediction)を組み合わせた RPE-LTP 方式が生まれた[2]。 方式の変更により演算量は増えたが、ほぼ同じ音質を維持しながらビットレートを 13 kbps に下げることができ、GSM の最初の仕様である GSM フェーズ1(1990年)での音声符号化方式として採用された[8]

その後、GSM 向けのコーデックとして、ビットレートを半分に落とした GSM-HRGSM Half-RateGSM 06.20)、より音質を向上させたGSM-EFRGSM Enhanced Full RateGSM 06.60)、複数のビットレートをサポートするAMRAdaptive Multi-Rate)など様々な規格が生まれた。


  1. ^ a b E.F. Deprettere, P. Kroon: Regular excitation reduction for effective and efficient LP-coding of speech, Proc. IEEE Int. Conf. Acoust. Speech Signal Process, pp.965-968, 1985.
  2. ^ a b c d P. Vary, K. Hellwig, R. Hofmann, R.J. Sluyter, C. Galand, M. Rosso: Speech codec for the European mobile radio system, Proc. IEEE Int. Conf. Acoust. Speech Signal Process, pp.227-230, 1988.
  3. ^ a b ETSI (2000年11月). “ETSI EN 300 961 V8.1.1 (2000-11) - (GSM 06.10 version 8.1.1 Release 1999)”. ETSI. 2010年7月14日閲覧。
  4. ^ Jacob Benesty, M. M. Sondhi, Yiteng Huang (ed). Springer Handbook of Speech Processing. Springer, pp.389, 2007. ISBN 978-3540491255.
  5. ^ The GSM 06.10 lossy speech compression library and its applications”. 2010年7月14日閲覧。
  6. ^ Shared libraries for GSM speech compressor”. Ubuntu.com. 2010年7月14日閲覧。
  7. ^ Microsoft GSM”. Voice Age Corp.. 2010年7月14日閲覧。
  8. ^ 3GPP. “3GPP TS 06.10 Full Rate Speech Transcoding”. 3GPP. 2010年7月14日閲覧。


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