野球 概説

野球

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/27 17:29 UTC 版)

概説

野球は、2つのチームが攻撃と守備を交互に繰り返して得点を取り合い、得点数の多いか少ないかに基づいて勝敗を競う競技である。点数の多いチームが勝利を手に入れる[2]

1チーム9人ずつで構成された2チームが守備側と攻撃側に分かれ、守備側の投手が投げたボールを攻撃側の打者バットで打ち、設置された4つのベース(塁)を反時計回りに進み、一周することで得点を得る。両チームは攻撃と守備をそれぞれ交互に9回ずつ(7回以下ずつの場合もある)行い、その間に挙げた得点の多さを競う[2]

4つのベースは、それぞれ一塁(ファースト・ベース)、二塁(セカンド・ベース)、三塁(サード・ベース)、本塁(ホーム・ベース)と言う。なお、大会やリーグによってルールの細部に相違点があり、たとえば予め定めた以上の一方的展開になった場合や気象条件等により途中で試合を打ち切るコールドゲームの規定、攻撃時に投手と呼ばれるポジションの選手の代わりに攻撃専門の選手を使う指名打者(DH)制度の有無、審判員の人数等細かな違いがあり、大会やリーグごとにそれぞれの環境に最適と考えられる制度を採用している。

アメリカが発祥の地および本場であり、アメリカのメジャーリーグベースボール(MLB)が主導している。他の国で行われる野球のルールも、基本的にはアメリカのベースボールのルールを模倣したり、アメリカでルールの修正・変更があれば、たいていはアメリカを「後追い」する形で修正・変更されている。国際大会が開催される場合も、基本的にアメリカのルールが基準になっている。

「baseball(ベースボール)」という名称は、4つのbase(ベース)を使用するという特性を由来としている[2]。なお、日本語の「野球」という名称は、明治期に日本中馬庚が作った和製漢語である(後述)。

本記事では、ベースボール(野球)と、亜種とはしっかり区別して説明する。

本来のもの

発祥地であり、一番盛んな国であるアメリカのメジャーリーグベースボール(MLB)によって行われているベースボールが世界の野球の基準になっている。

発祥地で本場のアメリカではボール(球)はあくまで硬式である。硬式以外のボールを使うものは「別物」、別種の競技とされている。

アメリカでの球が具体的どのようなものか説明すると、MLBは最高級のボールを使っている[3]。最適な革でくるみ、縫い目もしっかり巻くように縫われている[3]。MLBの選手は最高レベルの技術でプレーするからその質に合わせたボールが使われるのである[3]。なお、MiLBMinor League Baseball マイナーリーグベースボール)ではMLBと比べて少し材質が劣るボールが使われている[3]

アメリカの高校野球や大学野球ではMLBと同じサイズのボールを使うが、密度はわずかに低い(少しだけ軽い)[3]。そこでは金属バットが使われるのでそれに合わせて設計されている[3]

本場アメリカでは少年野球の段階から硬式を使う[3]。少年野球の段階からすでに柔らかいボールは絶対に使わない[3]。少年野球でも革でくるんだボールを使うが、芯はウール巻のものを使う[3]

日本でも、プロ野球社会人野球大学野球高校野球においては本来の硬式野球が行われているが、中学以下は軟式が多く、別物になってしまっている。


注釈

  1. ^ 一試合におけるイニング数はルール体系によって異なることがあり、小学生中学生などでは7イニングの場合もある。また、2020年より世界野球ソフトボール連盟(WBSC)主催のアンダー世代の国際大会については原則7イニング制になったほか[4]メキシカンリーグも2022年より一部の試合で7イニングを導入した[5]
  2. ^ 例えば、右翼手を退かせ、一塁手を右翼手に変更し、控え選手を一塁手として起用するということは規則上問題ない。この場合、控えだった選手の打順は、退いた右翼手の打順を引き継ぐ。

出典

  1. ^ Oxford Dictionary. "A ball game played between two teams of nine on a diamond-shaped circuit of four bases." [1]
  2. ^ a b c d スーパーニッポニカ「野球」、神田順治森岡浩 執筆。
  3. ^ a b c d e f g h i [2]
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  5. ^ Comunicado oficial: La LMB agilizará los juegos y tendrá enfrentamientos altamente competitivos” (スペイン語). Liga Mexicana de Beisbol (2022年4月6日). 2022年4月17日閲覧。
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  7. ^ “メジャーは「サイン盗み」も世界一? 歴史は50年以上、ハイテク化も進行。”. (2019年4月10日) 
  8. ^ サイン盗みの歴史とアストロズ。手を替え品を替えた120年間。
  9. ^ 「サイン盗み」とは? センバツで疑惑浮上。習志野が「2塁走者がサイン伝達した」と星稜が抗議
  10. ^ 「サイン盗み」を抗議した監督が悪者に、崩れる高校野球への幻想
  11. ^ 「あなたはサイン盗みをしていましたか?」プロ野球関係者30人への衝撃アンケート。
  12. ^ 覚悟必要メジャー「やり得」日本/サイン盗み考える
  13. ^ [3]
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