道成寺 本尊

道成寺

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/18 23:23 UTC 版)

本尊

道成寺本堂には南向き本尊と北向き本尊の2体の千手観音像を安置していた。

木造千手観音立像 1躯・木造菩薩立像 2躯(伝日光・月光菩薩) - 国宝
本堂内陣厨子内に南(正面)向きに安置されていた千手観音像とその両脇侍像で、1994年、国宝に指定された。1982年に収蔵庫(宝仏殿)が完成してからはそちらに移されている。像高は千手観音が291.0センチ、伝・日光菩薩が242.1センチ、伝月光(がっこう)菩薩が241.7センチ。3体とも頭・体の根幹部から蓮肉(蓮華座の中央部分)までの主要部分を一材から造る一木造で、作風から平安時代初期・9世紀の作と推定される。彫像の千手観音像は、42本の手で千手を代表させるのが一般的だが、道成寺像は2本多い44手を有するのが特色である。[9]
木造千手観音立像及び木心乾漆千手観音立像 - 重要文化財
前記の国宝の千手観音像の背後に北向きに安置されていた、秘仏の千手観音像とその胎内仏である。木造千手観音像は長年秘仏とされていたが、前述の本堂解体修理に際して像を移動した際、像内に破損の激しい木心乾漆千手観音像が納められているのが発見された。木造千手観音像は像高299.8センチ。南向き本尊と同様、44手を有する。現・本堂の建立と同時期の南北朝時代の作品と推定される。抑揚のない円筒状のプロポーションに造られ、像内に胎内仏を納めることを想定して造られた鞘仏(さやぼとけ)である。胎内仏の木心乾漆千手観音立像は発見時に破損が甚大で、面部を含め、像の前半部はほとんど朽損していたが、背面の頭部から背、腰にかけては比較的当初の造形が残っており、作風から奈良時代の作と推定される。この像に属していた脇手の残片多数が像とともに発見された。また、寺内の蔵に別途保管されていた手首、腕等も本像に属するものと確認された。この木心乾漆像はその後、顔などの欠失部分を補って復元され、本堂に安置されている。復元後の像高は236.0センチ。鞘仏、胎内仏ともに1989年に重要文化財に指定された。[10][11]

  1. ^ 梅原猛(2011)
  2. ^ 鳴海(1991)pp.96 - 98
  3. ^ 菅原(1991)pp.110 - 117
  4. ^ 和歌山県(2012)
  5. ^ 宮子姫物語/御坊市ホームページ”. www.city.gobo.wakayama.jp. 2021年6月11日閲覧。
  6. ^ 道成寺 - 平城京の母 宮子姫”. dojoji.com. 2021年6月11日閲覧。
  7. ^ 小野宏海 述、藤原成憲 画『道成寺絵とき本』道成寺護持会、1970年。 
  8. ^ 鳴海(1991)pp.99 - 110
  9. ^ 『月刊文化財』370号の解説
  10. ^ 田村(1991)pp.117 - 121、及び『月刊文化財』310号の解説
  11. ^ 本像の復元前の写真は『月刊文化財』310号に、復元後の写真は特別展『祈りの道 吉野・熊野・高野の名宝』図録(大阪市立美術館ほか、2004)にそれぞれ収録されている。
  12. ^ 『続日本の絵巻24.桑実寺縁起 道成寺縁起』(小松茂美編、中央公論社、1992年)に詳しい。






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