求人広告 罰則

求人広告

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/17 23:52 UTC 版)

罰則

虚偽または誇大な労働条件の明示

虚偽の広告をなし、又は虚偽の条件を呈示して労働者の募集を行った者、又はこれらに従事した者は

  •  職業安定法第65条第8号により6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられる[6]

求人企業の代表者(社長等の取締役)、広告事業者の代表者、人事・業務担当者などの虚偽に加担したものと最終責任者に対して刑事告発をおこなうことができる。

2014年にハローワークに掲載された求人広告を対象とした実態調査では、固定残業制を標榜する求人180件のうち、77%の139件に違法の疑いがあることが指摘された[7]

無許可または許可範囲外の有料委託募集

事業主による直接募集または直接の求人(店舗の貼紙などに限定)については規制(建設労働者は例外)はないが、委託募集については許可制としている。これは褒賞金を目当てにした事業者による中間搾取や、虚偽または不正確な労働条件の明示をする無責任、無計画な委託募集がおこなわれやすかったからとされている。[8]

委託募集の定義は

委託募集とは、労働者を雇用しようとする者が、その被用者以外の者をして労働者の募集に従事させる形態で行われる労働者募集をいう[9] — 厚生労働省職業安定局

とされ、第三者に募集を従事させる実態があれば該当する。広告契約は民法上、委託または請負に該当するが、委託契約という形態によって委託募集と判断されるわけではない。テレビ、ラジオ、新聞、有線放送、インターネットなどで

文書、資料等を広く、多くの場合不特定多数の者に対して配付する[10] — 厚生労働省職業安定局

などの刊行物掲載は原則自由である「文書募集」にあたる。しかし実態として「不特定多数の者に対して配付する」ことに該当しない募集(求人情報を配布するメディアが求人広告だけを受け付ける募集、特定業種・特定資格保持者に特化する募集、採用に応じた成果報酬制の募集)の場合は、単なる一般広告媒体の利用ではなく委託募集と認定できる蓋然性があるため、違法な委託募集にあたる可能性がある。委託・請負契約について労働者を採用した際に報酬が支払われるなど刊行物掲載(文書募集)の域を超えた褒賞金制とする場合は、不特定多数への配布であっても、「被用者以外の者をして労働者の募集に従事させる」との定義と条文の趣旨には該当しており、委託募集の許可が必要となる。[注釈 2][9]

職業安定法の条文には

労働者を雇用しようとする者が、その被用者以外の者をして報酬を与えて労働者の募集に従事させようとするときは、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。 — 職業安定法第36条第項

とあり、これに違反したものの罰則には

  • 職業安定法第36条に違反し1年以下の懲役又は100万円以下の罰に処せられる(職業安定法第64条第6号)
  • 労働基準法第6条(中間搾取排除)に違反し1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる(労働基準法第13章第118条)

などがある。無許可の有料委託募集は、中間搾取にあたるため中間搾取排除違反罪を構成する。許可範囲外についても該当する職安法の罰則が規定されている。

職安法36条違反は地方検察にたいし刑事告発、労基法4条違反においては被害者本人による労働基準監督署への刑事告訴(中間搾取被害が成立するため)により対処できる。労働基準法の告訴においては、広告事業者の代表者に中間搾取排除違反罪、求人企業の代表者等の役員に幇助罪(ごくまれに教唆罪)が適用可能である。告訴受理後、被告訴人と金銭的補償を含む和解も可能である。

許可・届出については労働者募集業務取扱要領 厚生労働省を参照。

無許可の職業紹介・斡旋

  • 職業安定法第4条に違反し職業安定法64条(1年以下の懲役又は100万円以下の罰金)に該当
  • 労働基準法第6条(中間搾取排除)に違反し1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる(労働基準法第13章第118条)

などがある。無許可の職業紹介は中間搾取にあたるため中間搾取排除違反罪を構成する。

職安法4条違反は地方検察にたいし刑事告発、労基法6条違反においては被害者本人による労働基準監督署への刑事告訴(中間搾取被害が成立するため)により対処できる。労働基準法の告訴においては、広告事業者の代表者に中間搾取排除違反罪、求人企業の代表者等の役員に幇助罪(ごくまれに教唆罪)が適用可能である。告訴受理後、被告訴人と金銭的補償を含む和解も可能である。


注釈

  1. ^ 求人情報サイトにおけるスカウト機能について厚生労働省は判断を示していない。
  2. ^ 一部の求人情報サイトは、パート、派遣、正規社員などの特定の契約形態を探す労働者のみを対象としたり、看護師、薬剤師、医師など特定の資格保持者のみを対象としたり、医療、食品、情報通信業界、製造、メディア、製薬、小売などの特定業界を対象とするなど、「不特定多数」の定義には厳密には該当していない。

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