愛はごみ箱の中に
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/16 09:25 UTC 版)
推測
当初、サザビーズとバンクシーの共謀説が浮上した。オークション前に作品を確認しているはずのサザビーズが、額縁に機械式シュレッダーが仕掛けられていることに気づかなかったはずがないというのが、初めの疑惑だった。この憶測に対しサザビーズは「どうやら私たちは、"バンクシーされた"ようだ」という声明のみ発表した。[12]
絵が細断されるところを撮影していた男はバンクシー本人か彼と関わりのある人物ではないかと推測されている[13][14]。
オークションの直後、アーティストかつ鍛冶屋でもあるジョシュ・ギルバトは、作品が自らを細断したという推測には多くの矛盾点があると指摘した[15]。『Bored Panda』でのインタビューで彼は[16] 、バンクシーが撮影したという短い種明かし動画において、X-Acto 製の刃とみられるものがカンバス面と水平に取り付けられており、それではカンバスを切断できるはずがないと述べた。さらに、刃の位置と間隔からすると、実際に細断されたとおりの結果にはなりえないという。ギルバトは、額縁の中で細断は行なわれておらず、あらかじめ細断されたバージョンが単に引き出されただけでオリジナルは保たれており、あれは「古典的な手品師のトリック」だと結論付けた[15]。
ディレクターズカットの公開
バンクシー公式サイトで種明かしの動画が公開された。額縁内のシュレッダーが絵を裁断出来る詳細な構造や、オークション会場内で何者かが腰に付けたリモコンで作動させる様なシーン、最後には「リハーサルでは毎回成功したのにな」との一言と共に裁断テストの様子が公開された[17]。半分だけではなく、全体が裁断される予定だった[3]。
再競売
サザビーズは本作品を2021年10月14日に再競売にかけると同年9月3日に発表した。細断の映像が世界中で話題となったため、落札額は前回の競売時を上回ることが確実視されている。出品者は「世界で最も有名な芸術作品の一つが生まれた物語に参加できたのは夢のような旅だったが、今、この絵を手放す時が来た」とコメントしている[18][19]。
再競売では10分の間に9人の参加者が入札を競り合った結果、バンクシー作品では過去最高額となる1858万ポンド(約29億円)で落札された[20]。
- ^ a b c d e “Contemporary Art Evening Auction - Banksy - Girl with Balloon”. Sotheby's (2018年10月5日). 2018年10月12日閲覧。
- ^ a b c d e f g h “切り刻まれたバンクシー作品「少女と風船」、落札女性が所持続けると表明”. BBC (2018年10月12日). 2018年10月14日閲覧。
- ^ a b c “仏競売会社、バンクシー作品の競売で何かが起きても「歓迎する」”. ロイター. (2018年10月19日) 2018年10月10日閲覧。
- ^ Banksy (2018年10月6日). “"The urge to destroy is also a creative urge" - Picasso” (英語). Instagram. 2018年10月12日閲覧。
- ^ a b c d e f “細断のバンクシー作品、価値倍増も? 落札者は購入の意向”. AFPBB News (2018年10月12日). 2018年10月14日閲覧。
- ^ Gina Martinez (2018年10月6日). “'It Appears We Just Got Banksy-ed.' Art Piece Self Destructs After Being Sold for Over $1 Million”. Time. 2018年10月7日閲覧。
- ^ a b Busby, Mattha (2018年10月11日). “Woman who bought shredded Banksy artwork will go through with purchase”. The Guardian
- ^ “バンクシーの細断作品、落札女性は予定通り購入”. 日本経済新聞 (2018年10月12日). 2018年10月14日閲覧。
- ^ オークションの掛け声「ありませんか、ありませんか、落札」と、絵が消えて無くなる様子を掛けたとみられる。
- ^ Kinsella, Eileen (2018年10月11日). “Banksy Authenticates and Renames His Shredded $1.4 Million Painting—Which the Buyer Plans to Keep”. artnet. 2018年10月14日閲覧。
- ^ “Banksy renames shredded painting Love Is In the Bin as work sells to winning bidder after a week of negotiation”. www.theartnewspaper.com. 2018年10月12日閲覧。
- ^ “バンクシー「愛はゴミ箱の中に」の意味とは?シュレッダー事件「Love is in the Bin」の落札価格や価値を解説”. BANDAL (2023年8月27日). 2023年9月3日閲覧。
- ^ “Who's the mystery man who films at Banksy prank auction?”. Sky News. 2018年10月14日閲覧。
- ^ “Banksy's 'Girl with Balloon' sale is confirmed -- and it's got a new name”. CNN. (2018年10月11日)
- ^ a b “According To This Fan Theory, Banksy Shredding Iconic Painting Might Actually Be A Huge Prank” (英語). indiatimes.com 2018年10月13日閲覧。
- ^ “Guy Notices That Something Doesn’t Add Up In Banksy Shredding, Explains Why It Was FAKE” (英語). Bored Panda 2018年10月13日閲覧。
- ^ “Shredding the Girl and Balloon - The Director’s half cut”. YouTube. 2018年10月20日閲覧。
- ^ “バンクシー細断作品再競売 10月、話題で価値向上か”. 共同通信 (2021年9月4日). 2021年9月4日閲覧。
- ^ “落札直後に細断されたバンクシー作品、再び競売へ”. AFP通信 (2021年9月4日). 2021年9月4日閲覧。
- ^ “細断されたバンクシー作品、29億円で落札 最高額を更新”. AFP通信 (2021年10月15日). 2021年10月15日閲覧。
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