交響曲第3番 (シベリウス)
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作品の内容
この作品では、シベリウス初期作品の後期ロマン派風の壮麗な作風がなりをひそめ、後期作品に通ずるような純朴で密度の高い作風に移行しつつある。しかし後期作品の息詰まるような緊張感はまだなく、軽快で伸びやかな作品となっている。シベリウスの前期と後期とを分ける分水嶺となる重要な作品である。それは形式にも表れている。この作品は3つの楽章からなるが、終楽章はスケルツォ的な部分とフィーナーレ的な部分から構成されている。交響曲第2番では第3楽章から第4楽章に休みなく移行する手法が採られており、この手法がさらに追求された結果一つの楽章に統合されたという過程がよくわかる。同様の手法は交響曲第5番の第1楽章でも使用され、交響曲第7番ではついに全曲を単一楽章に統合することになる。
- 第1楽章 Allegro moderato
- ハ長調、ソナタ形式。冒頭低弦により提示される第1主題は純朴でリズミカルな主題。これの主題はシベリウスがかつてイギリスを訪問した時に沿岸から見た霧に煙るイギリスの様子にインスパイアされたともいわれる。第2主題はチェロにより提示されるほの暗くメロディアスな主題である。
- 第2楽章 Andante con moto, quasi allegretto
- 嬰ト短調、自由な変奏曲。冒頭、ピツィカートの動機とフルートの動機が発展してゆき中心主題を形成し、この主題が変形されながら5
- 回変奏される。
- 第3楽章 Moderato - Allegro (ma non tanto) - Meno allegro
- ハ長調。モデラートの序奏の後、前半は戦闘的なアレグロ、後半はコラール風主題による部分からなる自由な形式。モデラートの短い序奏に続いてアレグロの主部に入る。6/8拍子、様々なモチーフが登場しては交替し全体としてスケルツォ風の音楽を形成して行く。この手法は交響曲第4番ではほぼ全曲で採用される。音楽が高揚したところでヴィオラがコラール風のテーマを奏でるとスケルツォを形成していたモチーフは次々に消えてゆき4/4拍子のフィナーレ部に入る。フィナーレ部は先にヴィオラで演奏されたコラール主題に基づく音楽で、徐々にその規模を拡大してゆく。音楽は頂点に達したところで速やかに下降音型を採り、潔いまでにあっさりと終止する。
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