フランチャイズ フランチャイズの概要

フランチャイズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/14 15:49 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動

概説

一方が自己の商号商標などを使用する権利、自己の開発した商品サービスを含む)を提供する権利、営業上のノウハウなど(これらを総称してフランチャイズパッケージと呼ぶ)を提供し、これにより自己と同一のイメージ(ブランド)で営業を行わせ、他方が、これに対して対価(ロイヤルティー)を支払う約束によって成り立つ事業契約である。

通常、権利や商標、ノウハウなどを提供する側をフランチャイザー(本部、略してザー[1])と呼び、受ける側をフランチャイジー(加盟者・加盟店、略してジー[2])と呼ぶ。外部資本を利用し、短期間で多くのチェーンストア店舗展開を進めることを目的とするため、フランチャイズチェーン和製英語: franchise chainFC)と呼ばれることが多い。法的には中小小売商業振興法などによって規制される。

フランチャイズ事業とフランチャイズの本質は、本部と加盟店が特権、経営ノウハウ、対価 に関する契約によって共通の事業目標を達成するための継続関係であり、フランチャイズ・システムの本質は、この継続関係を維持する組織のことである[3]。そして、この組織は、本部と加盟店が中小企業の場合、大企業の市場支配に対して運命共同体の自覚により企業集団を形成しており、本部が大企業の場合は子会社に本部機能が作られて市場拡大を目的とした企業集団を形成する。

適用される業態としてはコンビニエンスストア等の小売業の他、ラーメン弁当ファストフードなどの外食産業不動産販売、自動車の整備、近年では小型のフィットネスクラブ学習塾CDレンタルといったサービス業に至るまで多岐にわたっている。日本のフランチャイズ組織の特徴として、コンビニエンスストアの比率が高いこと、サービス業の比率が低いこと、飲食業の規模が小さいことが挙げられる[4]

世界初のフランチャイズは、アメリカで誕生したケンタッキーフライドチキンとされる。日本では、1960年代不二家レストランおよび洋菓子販売のチェーンストア)やダスキン(清掃用具のレンタルチェーンストア)、1970年代ではセブン-イレブン(コンビニエンスストア)、モスバーガーなどの外食産業がフランチャイズ型の事業展開をしている。また、明治時代に生まれた特定郵便局についても、広義のフランチャイズ事業であると言える。

同じ名前の店舗であっても全てがフランチャイズ店舗とは限らない。実績を積んで成功した直営店を模範にフランチャイズ展開するのが基本であるため、外見上は区別の付かない同名の直営店とフランチャイズ店も存在する。ただし、フランチャイズ展開を行うとFC店舗数が急激に拡大、直営店に比べてその比率は圧倒的にFC店が高くなる。

廃業率の水準については、フランチャイズ加盟店の廃業率が非加盟店の廃業率を上回っていることが明らかとなっており、テリトリー権が付与された場合や加盟金が多額な場合に廃業率が低いという結果が出ている[5]

直営店とフランチャイズ

JR九州リテールの運営するファミリーマートの店舗。それを示すマークが、店名の前に入っている。
(福岡県福岡市姪浜駅構内にて撮影)

一般には、同じブランドの店舗でも直営店とフランチャイズが共存することが多いが、企業によって「直営店中心の展開で、補助的にフランチャイズ展開する」「本部に近い地域は直営店で、遠方はエリアフランチャイズで展開する」「一部の実験店などを除き、基本的にはフランチャイズで展開する」など、店舗展開の手法はまちまちである。中には、センチュリー21・ジャパンのように直営店を全く持たず、全店舗がフランチャイズという事例もある[6]

また、一般消費者向けのWebサイトで直営店とフランチャイズ店を識別するためのマークを付ける、店頭に運営会社名やマークを表示するなど、直営店かフランチャイズかを容易に識別できるようになっている例もあるが、特段そういったものを用意していない例も多い。ENEOSのガソリンスタンドの場合はポールサイン下部および店舗入口上部付近にフランチャイジー(系列店・特約店等)の社名やロゴマーク[7]を表示している。別の例としては、JR北海道ダイエーの合弁会社北海道ジェイ・アール・ダイエーの様に既存のダイエー店舗と区別するためにJRダイエー(JR Daiei)という名前の別ブランドを立ち上げていた例がある。また、鉄道系列の小売子会社と大手コンビニが手を組んだ際、両社のブランドを足した独自名称を採用するところもある(例:「セブン-イレブンハートイン」・「近鉄駅ファミ」等)。

さらに、一定の地域で多店舗を展開するエリアフランチャイジーも存在する。たとえば、シー・ヴイ・エス・ベイエリアはもともとサークルKサンクスのエリアフランチャイジーであり、120店舗以上を運営していたが、2012年2月末をもってフランチャイズ契約を終了し、翌3月1日からはローソンとの契約でコンビニ事業を展開することとなった。また、ほっかほっか亭では、九州や東日本のエリアフランチャイジーであったプレナスと本部が対立した結果、プレナス側がほっともっとという新チェーンを立ち上げ、当時あったほっかほっか亭の店舗のうち60%以上がほっともっとに転換するという事態となったほか、本部もほっかほっか亭のエリアフランチャイジーであるハークスレイの傘下となっている。

サービス品質

本部側にとってリスクの高い直営店では厳しい経営管理が要求され、本部にとってリスクの少ないFC店舗はオーナーによる経営管理まかせになることが多いので、直営店とFC店では消費者へのサービスの差が大きい傾向がある。その一方で、数年間にわたる店舗勤務の後にのれん分けのような形でフランチャイジーとなることができる壱番屋[8]や、フランチャイジーの希望者に何度も面接を行い他のオーナーの訪問も行った上でレポートを求めるモスバーガー[9]など、本部との意識共有を重視するフランチャイザーも存在している。

利点

FC店舗は、フランチャイザーにとっては低コストでの事業拡大を可能とする。すでに土地や店舗物件を有する(あるいは供出する)形で加盟店が参入するため、取得にかかる時間や費用を大幅に短縮できる。そのため、新事業を急速に拡大し、ブランドを確立するための方法として、様々な業種で採用されている。フランチャイズ展開後の収入においても、安定的なロイヤルティーが見込めるという利点を持つ。

一方のフランチャイジーにとっては、開業から実務にいたるビジネスノウハウを比較的短期間かつ容易に身につけられる。しかも、フランチャイザーが持つブランド力、マーケティング力によって、初期段階から安定した経営が期待できるという利点がある。このことから、フランチャイズは業界経験のない人や大企業に勤務経験のある正社員が選択する傾向がある[10]。また、フランチャイズ加盟企業の業績に有意な影響を与えるのは業界経験のみであり、フランチャイズ加盟によって、開業者の経営資源の不足が補われ、スムーズな事業立ち上げに寄与している[10]


  1. ^ フランチャイズWEBリポート『フランチャイザー』とは?”. Dai. 2018年5月25日閲覧。
  2. ^ フランチャイズWEBリポート『フランチャイジー』とは?”. Dai. 2018年5月25日閲覧。
  3. ^ 財賀礪至「フランチャイズ・システムに関する研究」『日本経営診断学会年報』第20巻、日本経営診断学会、1998年、 129-137頁、 doi:10.11287/jmda1969.20.129
  4. ^ 犬飼知徳「日本のフランチャイズ組織の特徴」『香川大学経済論叢』第82巻第1号、香川大学経済研究所、2009年9月、 145-159頁、 ISSN 0389-3030
  5. ^ 小本恵照「フランチャイズ契約が加盟店の廃業に与える影響」『流通研究』第8巻第3号、日本商業学会、2006年、 1-15頁、 doi:10.5844/jsmd.8.3_1ISSN 1345-9015
  6. ^ システムのご紹介 センチュリー21ジャパン、2015年8月11日閲覧。
  7. ^ ENEOSフロンティアりゅうせきなど。
  8. ^ フランチャイズ事業 壱番屋、2015年2月22日閲覧。
  9. ^ モスバーガー、なぜ好調?マックとの明暗を分けた、商品力とFC店舗力の秘密(2ページ目) Business Journal、2014年2月16日(2015年2月22日閲覧)。
  10. ^ a b 小本恵照「創業期におけるフランチャイズの機能」『国民経済雑誌』第193巻第6号、神戸大学経済経営学会、2006年6月、 1-16頁、 doi:10.24546/00056075
  11. ^ 3.フランチャイズ・システムの特徴(メリット・デメリット) | JFAフランチャイズガイド”. fc-g.jfa-fc.or.jp. 2020年5月9日閲覧。
  12. ^ 過労死 ファミマが認め和解 月200時間超残業 毎日新聞 2016年12月30日
  13. ^ セブン、時短店の契約解除 物言うオーナー排除か” (日本語). 東京新聞 TOKYO Web. 2020年5月9日閲覧。
  14. ^ セブン、東大阪の時短店主と契約解除へ 「接客に苦情」” (日本語). 日本経済新聞 電子版. 2020年5月9日閲覧。


「フランチャイズ」の続きの解説一覧



フランチャイズと同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「フランチャイズ」の関連用語

フランチャイズのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



フランチャイズのページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのフランチャイズ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2020 Weblio RSS