フランソワ=ジョゼフ・フェティス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/01 16:40 UTC 版)
教育
パリ音楽院方式の厳格対位法の基礎をTraité du contrepoint et de la fugue contenant l'exposé analytique des règles de la composition musicale depuis deux jusqu'à huit parties réellesで完成[4]させたのが、フェティスである。フェティスはフックスのグラドゥス・アド・パルナッスムの対位法課程を参照しながら、フランス・パリ音楽院一派への対位法を整備した。アントニン・レイハの対位法とは規則や教え方が異なるため、フェティス派とレイハ派で対立が起きたが、勝利を収めたのはフェティス派である。従ってルネサンス時代に倣っていないという批判自体がまったくの的外れなのであり、実際にはフェティスの対位法教本には多くの大家の譜面、ならびに古典期以前の対位法教本は参照されている。二重合唱とオルガンのためのルイジ・ケルビーニのフーガが掲載されたあとも、フーガに任意の声部が付け足された技術や、器楽フーガ、謎カノンなど対位法の技術が完全に網羅されている。二重合唱で対位法の学習が終点になるというピエール・ブーレーズのラルース音楽事典への記述[5]は後代の対位法科の話だったと推察される。
フェティスがこの本を執筆した当時の常識では、「厳格対位法」・「模倣形式」・「フーガ」は一まとめで広義の<対位法>であり「対位法とフーガ」といった書名で二冊一組全四巻で売られていた。一つの本にこの内容は膨大すぎる、として「対位法」科と「フーガ」科に分化した教本が整備されたのは後の話である。初版は1824年、改訂版は1846年に執筆された。この本がもっとも詳細にパリ音楽院フェティス一派の対位法について書かれた文献で、ケルビーニ以降の理論家は学生向けに内容が平易かつ安易になってゆく。邦訳はどこの出版社からも出されていない。
- ^ “Biographie universelle des musiciens et bibliographie générale de la musique”. archive.org. 2018年12月12日閲覧。
- ^ “回想録”. berlioz.jp. 2018年12月12日閲覧。
- ^ H・ベルリオーズ著、橘西路・訳『ベートーヴェンの交響曲』角川文庫、1959年、170p頁。
- ^ “Traité du contrepoint et de la fugue”. urresearch.rochester.edu. 2018年12月12日閲覧。
- ^ 参照点 (叢書 言語の政治) 単行本 – 1989/4 ISBN 978-4891762261, 出版社: 書肆風の薔薇
- ^ Cf. notice BnF FRBNF37703350 ; ISBN 2-84575-044-7 (vol. 1). - ISBN 2-84575-045-5 (vol.2). - ISBN 284575-046-3 (vol. 3). - ISBN 2-84575-047-1 (vol. 4). - ISBN 2-84575-048-X (vol. 5)
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