ビリヤード ビリヤードの概要

ビリヤード

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/15 07:57 UTC 版)

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ポケット玉突き台その他用具
1912年に世界ボークライン選手権でチャンピオンになった山田浩二

概要

ビリヤードとは、ラシャと呼ばれる布を張ったスレート(石板)にクッションで囲ったテーブル上で「キュー」と呼ばれる「タップ(皮)、先角(コツ)、シャフト、バット」で構成された長い棒状の道具を使い、静止している白や黄の手玉(キューボール)を撞き、先玉(カラーボール)に衝突させ、それらの球が起こすアクションを自分の思い通りにコントロールすることで競い合う球技であるが、キャロム、ポケット、スヌーカーで使用するテーブルの規格が異なる。他の多くの球技と異なる点は、体力の優劣、年齢によって勝敗が左右される要素が少ないことであり、そのため子供から年配者まで幅広い年齢層のプレイヤーが楽しむことができる[1]。また各プレイヤーの実力に合わせて適切なハンデを振ることにより、初級者からプロまでが同じテーブルで直接対戦することができる。

ビリヤードは常に一人でテーブルへ向かってプレイを行い、静止した球を撞く。そのため対戦相手と直接球を撞き合うことはなく、ショットの成否は全て自らのプレイによる結果となる。また、体格や体力において優れていれば必ず勝てるとは言えず、技術の熟練度やプレッシャーに負けない精神力、集中力を備えているほうがよい結果を残す[2]ことが多い。技術の緻密さ、ゲームを有利に進めるための戦術を競う競技であることから、メンタルスポーツ[3]のひとつとされる。

ビリヤードの起源

ビリヤードの起源については諸説あり、中国イタリアフランスイギリススペインのいずれかで発明されたとされる。かつてはビリヤードは「ベルメル」と呼ばれており、中近東から戻った十字軍兵士がベルメルをヨーロッパへ持ち込んだとする説もある。また、紀元前400年頃、ギリシアの屋外スポーツで、円錐形のものへ丸い石を棒で突き当てる競技が原型という説もある。

ビリヤードは元々屋外のスポーツでクロッケー競技に似ているものだったと言われる。スペインでは「ビロルダ」というスティックでボールを転がし、2本のポールの間に入れて競技されるものが「ビラルダ」を経て、最終的に「ビリヤード」になった。

1469年、世界初のビリヤードテーブルはルイ11世のために作られた。そのビリヤードテーブルは石版にクロスが敷かれ、真ん中にひとつだけ球を落とす穴があるものだった。しかし、同世紀の他のフランス国王、教会はビリヤードを「罪深きもの」として見なし、遊ぶことを禁じていた。

なおビリヤードから派生・分化したゲームとしてはバガテルピンボールスマートボールアレンジボールパチンコなどが存在する。詳細については各項目の歴史などを参照。

ビリヤードの分類

ビリヤードは使用するテーブルの形状によって大きくキャロム競技とポケット競技に分けられ、それぞれによって使用する道具等が若干異なる。主にイギリスを中心とした旧英連邦諸国において人気が高い競技のスヌーカーもテーブルにポケットがあり、ポケット競技に含められることもあるが、テーブル表面積が2倍近くあり、使用するボールが小さく、目の付いたラシャによりボールが自然とカーブするなど競技特性が異なること、ボールをポケットへ落とすことだけではなく、相手にボールを落とすチャンスを与えないセーフティープレーにより相手のファールを誘って点数を得ることも重要な戦略となっているなど、そのゲーム性は大きく異なるためポケット・ビリヤードとは別競技として扱われる場合が多い。

これらの競技はいずれもキューを用いて行われるスポーツであることから、キュースポーツ(Cue Sport)とも呼ばれている。

器具と用語の解説

テーブル

ポケットビリヤード用のテーブル。6ヶ所にボールを落とす穴「ポケット」がある
分解されたテーブル

ビリヤードをプレイするための台のことをビリヤードテーブル、あるいはそのまま単にと呼ぶ。テーブルの台座部分は主にスレートと呼ばれる石板やその代用品でできており、ラシャ(羅紗、クロス、ベーズ(en)とも呼ぶ)と呼ばれる柔らかい専用の布でその表面が覆われている[4]

テーブルの周囲は主に木製のエプロンもしくはスカートと呼ばれる外枠で覆われている。スカートの上面はレールと呼ばれ、その上面はスレート面よりも一段高くなっており、その段差の内側にはラシャを張ったゴムの壁が三角柱を横に寝かせたような状態で貼り付けられている。このゴムの壁をクッションと呼び、球が当たると跳ね返るようになっている。このクッションの内周は長辺と短辺の比が2:1の長方形となっている。一般的なビリヤードテーブルのサイズは長辺の長さで示される。レール上にあるマークは、ポイントと呼ばれる。

ポケット競技やスヌーカーで使用されるテーブルには四隅と長辺の真ん中の合計6箇所に「ポケット」と呼ばれる穴が開けられており、ボールがそこへ入ると落ちるようになっている。このような台をポケットテーブルと呼ぶ。一方、キャロム競技に使用されるポケットのないテーブルをキャロムテーブルと呼ぶ。ポケットテーブル、キャロムテーブル共にそれぞれの競技によって大きさの違うテーブルが存在する。なお、スヌーカー競技用のテーブルをスヌーカーテーブルと言って呼び分ける場合もある。

ビリヤードテーブルは非常に大きく重量がある[5]ため、分解して室内へ運び入れて組み立てられる。しかし、ビリヤードは球同士を衝突させて、それらの球のアクションを支配しようとするという競技であるため、ボールが偏った動きをしないようにスレート面が限りなく水平かつ平滑であることが求められる。そのためビリヤードテーブルの脚はそれぞれ高さを微調整できるようになっており、複数枚で構成されるスレート面はスレート[6]同士の継ぎ目に段差ができないよう慎重に設置される。

また、ビリヤードをストレスなくプレイするためにはテーブル端でキューを振るだけの余分な空間と幾つかのインテリアを置くための空間が必要となるため、例えば長辺が9フィートのポケットテーブル1台を設置するためには最低でも20畳ほどの空間が必要となる。

ボール

コーナーポケットそばの手球と1番ボール
観戦者に手球の動きを伝えるための「点」が付いているドットボール
ポケットビリヤードで使われている的球

ビリヤードで使用するボール(玉、球、ともに「たま」と読む)はフェノール樹脂などの硬質なプラスチックで作られ、大きさは競技によって異なるが概ね5~7cm程度のサイズである。ボールがどの方向にも正しく転がっていく必要があるため、非常に精密に作製されている。プラスチックが実用的になる以前は木材や象牙で作られていた。

ビリヤードではキューを振って先端のティップでボールに触れて転がす。この一連のアクションを指して「撞く」、「突く」と表現する[7]。また、競技中においてはボールに接触が許されているのはキュー先に取り付けられたティップのみであり、ティップ以外の部分で触れたり、ボールを置き直すなどの必要がない場合に手で直接ボールに触れることはファールとなる。

手球

プレイヤーがキューで撞く球を手球又はキューボール (cue ball) と呼ぶ。手球の色は競技によって異なるが、概ね白やクリーム色をしている[8]。基調は無地だが、ポケット競技で使用される手球には赤または青で小さな丸印、三角印、あるいはブランドマークなどが描かれているものをよく見かけることができる。また、競技を観戦している視聴者にも手球の回転が理解できるように大きめのドット(点)を描いた「ドットボール」もよく利用されている。

その他、狙った位置を撞くことができているかをチェックできるようにある面から見て同心円を描いてある「プラクティスボール」など練習用の手球が数種類ほど発売されている。ただし、実際の競技で利用されることはない。

的球

手球を転がして狙い当てようとするボールを的球オブジェクト・ボール(object ball)と呼ぶ。的球は手球と区別しやすいように、手球とは異なる色に着色されている。白色の手球に対して様々な色に着色されていることからカラーボールと呼ぶこともある。ポケット競技で使われる的球には通常、表裏の対極となる2箇所に1から15までの番号が描かれているが、キャロム競技やスヌーカーで使用される的球には番号は描かれていない。

通常のプレイで的球をキューで撞いてはならないが、ナインボールなどで先行権を決めるための「バンキング」、またポケット競技の1つであるスクラッチ・ゲームにおいては的球を直接撞くこともありうる。ただし、的球をキューで撞くことは的球にチョーク汚れをつけることになるため、店によって禁じている場合が多い。上記ゲームをプレイする場合は店に一言断りを入れておくなどの注意が必要である。

キュー

補助器具など

チョーク

チョークはティップと手球の摩擦係数を増加させるために使用される道具のことである。チョークをティップへ塗り付けないとティップが手球表面を滑りやすくなり、ショットミス(キューミスという)を起こしやすくなる。

一般にチョークの主成分は筆記用のチョークと同じ炭酸カルシウムであり、1辺2 - 3cm程度の立方体に固められた状態で販売されている。ビリヤードで使用するチョークには研磨剤も配合されており、これがティップの表面に食い込むような形で付着するようになっている。この研磨剤によりティップは少しずつではあるが摩耗していく。 (筆記用のチョークには研磨剤が配合されていないため、ビリヤード用のチョークの代用品として使用してもティップにはあまり付着しない)

チョークを使用する際、指へチョークが付着しないように使用面を除いた5面が包装されており、使用面にはわずかに窪みがつけられているものが多い。青や緑、赤、ベージュなどに着色されているものが販売されているが、ラシャに付着してもあまり目立たない色を選んで使うことが推奨される。

その他
  • グローブ - ブリッジを作る側の手に装着する手袋で、親指、人差し指、中指のみを包む。手汗をよくかく人がキューの滑りをよくするために使用する。
  • パウダー - 同じく手汗の多い人がキューのすべりをよくするために用いる。
  • メカニカル・ブリッジ - 手球が遠い位置にあり、ブリッジを組むにも手が届かない場合に使用する。
  • エクステンション - 一時的にキューの長さを伸張することができる。
  • ラック - ポケット競技においてカラーボールを定位置に並べる時に使う。



  1. ^ 千葉国体資料:ビリヤード競技のご紹介
  2. ^ 「POOLPLAYER ISABU」(著:山下東七郎)によると、ビリヤードの才能の一つとして「決して揺れない心」と表現されている。
  3. ^ ロバートバーンが自著で語ったところによれば「ビリヤードの要素の大半は精神力と集中力で占められる」としている。ロバートバーン(1999) p.33
  4. ^ 日本では緑や青地のラシャを見かけることがほとんどであるが、赤やベージュといった色も存在する。
  5. ^ ポケットビリヤード用の9フィートテーブルはスレート重量も併せて総重量が400kg程度になる。
  6. ^ 9フィートサイズのポケットテーブルは概ね3枚のスレートで構成される。
  7. ^ 英語ではshotと表現されるが、日本では「打つ」と表現されることは少ない。
  8. ^ キャロム競技では黄色のものを利用している場合もある。また、ロシアン・ピラミッドでは的球が全て白色となっているためバーガンディなどの色を使っている。
  9. ^ 人によっては状況次第で利き腕と逆のフォームを作ってプレイする人もいる
  10. ^ ショット毎にどちらの白球でも自由に選んで撞いて良い「エニーエニー」と呼ばれるルールも存在する
  11. ^ NBAルールブック(初版、キャロムビリヤード競技規定 第2章 第2条 第3項、および第4項)
  12. ^ プールという言葉には長年悪いイメージがついていたが、それは競馬の「ノミ屋」を指す言葉 poolroom の意味合いが変化したため。観客がレースの合間に遊べるようにノミ屋達がビリヤード台を設置したことが始まりである。長い時間を経て poolroom は「ビリヤードをするための部屋」という印象が強くなり、ビリヤードは次第にギャンブル色が強いものへと認識されるようになった(以上はCUE'S(2006年5月号 p.114)の記述を参照)。また「pool」という単語自体にも「プール賭博」という意味がある。
  13. ^ Billiard Wave(2002/03/16放送)
  14. ^ 1950年代のアメリカでは10フィートサイズのものが公式テーブルとして採用されていた。(CUE'S(2007年7月号 p.25)を参照のこと)
  15. ^ [1]
  16. ^ 『キング・オブ・ザ・ハスラー』(谷津太郎)で詳しく描写されている。
  17. ^ 全日本ポケットビリヤード選手権大会は主なアマチュア全国大会の優勝者や、国内オープン戦のベストアマなどに限定される。
  18. ^ 袴田p.93
  19. ^ 新村p.1674
  20. ^ 作者死去のため未完という説が流れたが、実際は原稿を落とし続けたことで連載中止となった。1~4巻のみ刊行。




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