ダンディ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/18 14:18 UTC 版)
クウェインチュレル
女のダンディにあたるものはクウェインチュレル quaintrelle である。クウェインチュレルは情熱ある生活、すなわち個人的スタイルや余暇の気晴らし、他人からの賞賛、人生の快楽の追求を重視する女である。
12世紀には cointerrels(男性形)および cointrelles(女性形)という言葉が現れた。この2つは、はじめ熟練の技術で作られた物を指し、のち装いが美しく会話が巧みな人を指した coint という言葉に由来する[21]。18世紀には coint は quaint となり[22]、卓抜した会話と美しさを指した。中英語期(12世紀から15世紀)の辞書には quaintrelle は美しく着飾った(あるいは装飾過剰な)女とあるが、優雅さや人を引き付ける魅力といった好ましい人格的要素は示されていない。クウェインチュレルが洗練に関して主要な哲学的要素をダンディと共有しているという考えは近代におこったもので、これはクウェインチュレルの歴史的ルーツに遡って投影された。
女のダンディは19世紀初めのわずかな間だけ男のダンディと表れた時期が重なっている。この時期の「ダンディ」には fop や over-the-top fellow といった嘲笑的な含みがあった。ダンディ dandy の女性形は dandyess あるいは dandizette である。チャールズ・ディケンズは All the Year Around (1869年)で、「1819年から1829年のダンディとダンディゼットは奇妙な種族だったに違いない。Dandizette はファッション狂の女性を指す単語で、彼女たちの非常識加減はダンディのものと全く変わらなかった」と述べている。1819年には Charms of Dandyism という小説が「女ダンディのトップ」オリヴィア・モアランド Olivia Moreland によって書かれている。この小説の実際の作者は Thomas Ashe という作家であると考えられているが、Ashe は同時代の実在の人物をモデルに何作かの小説を書いているため、オリヴィア・モアランドも実在した可能性がある。なお、この小説ではダンディズムは「スタイルに生きる」ことと結びついている。その後、ダンディという言葉が洗練を指すようになると、ダンディは男性にのみ用いられるようになっていた。Popular Culture and Performance in the Victorian City (2003年)では、この変化を「(前略)あるいはダンディゼットも、言葉すら男のためにとっておかれるようになった」としている。
- ^ ダンディのこと。ボードレールは資産と余暇をダンディの要件としている。
- ^ この記事の翻訳元である英語版ではこの文章は、「日本では、1990年代後半にダンディズムはある種のファッション・サブカルチャーとなった」となっており、ファッション・サブカルチャーから Lolita fashion の Ōji Lolita (Boystyle) の節にリンクが貼られている。この節には、「Ōji あるいは Ōji-sama (いずれも prince の意味)は、日本のファッションのひとつで、ロリータ・ファッションの男性的なヴァージョンとされる。ただし Ōji は典型的なロリータ・ファッションのスタイルに該当せず、むしろヴィクトリア朝期の青年から影響を受けていることから、ロリータ・ファッションとはみなされないことがある。(改行)Ōji 的要素としては、ブラウス、シャツ、ニッカーボッカーズなど丈の短いズボン、ニーハイソックス、シルクハット、キャスケットなどがある。色は通常、黒、白、青、ワインレッドが用いられるが、色彩豊かでより女性的な Ōji ファッションも存在する。また、Ōji ファッションの適例は Baby, The Stars Shine Bright の Alice and the Pirates ラインから販売されている商品に見ることができる。(後略)」とある(en:Lolita fashion oldid=731698712 より)。
- ^ Cult de soi-même Charles Baudelaire, "Le Dandy", noted in Susann Schmid, "Byron and Wilde: The Dandy in the Public Sphere" in Julie Hibbard et al. , eds. The Importance of Reinventing Oscar: versions of Wilde during the last 100 years 2002
- ^ John C. Prevost, Le Dandysme en France (1817–1839) (Geneva and Paris) 1957.
- ^ John C. Prevost, Le Dandysme en France (1817–1839) (Geneva and Paris) 1957.
- ^ Charles Baudelaire, Le Peintre de la vie moderne, IX. Le dandy, Calmann Lévy, 1885 (Œuvres complètes de Charles Baudelaire III. L’Art romantique, pp. 91-96).
- ^ Aileen Ribeiro, "On Englishness in dress" in The Englishness of English Dress, Christopher Breward, Becky Conekin and Caroline Cox, ed., 2002.
- ^ Susann Schmid, "Byron and Wilde: The Dandy in the Public Sphere" in Julie Hibbard et al. , eds. The Importance of Reinventing Oscar: versions of Wilde during the last 100 years 2002
- ^ Ribeiro 2002:20, under the subheading "Eccentricity, Extremes, and Affectation".
- ^ "Yankee Doodle"; Maccaroni.
- ^ Oxford English Dictionary. Oxford University Press. (1989) . "dandy 1.a. One who studies above everything to dress elegantly and fashionably; a beau, fop, 'exquisite'. c1780 Sc. Song (see N. & Q. 8th Ser. IV. 81), I've heard my granny crack O' sixty twa years back When there were sic a stock of Dandies O; Oh they gaed to Kirk and Fair, Wi' their ribbons round their hair, And their stumpie drugget coats, quite the Dandy O."
- ^ Encyclopaedia Britannica, 1911]
- ^ Barbey d'Aurevilly, "Du dandisme et de George Brummell," (published 1845, collected in Oeuvres complètes 1925:87–92).
- ^ "In Regency England, Brummel's fashionable simplicity constituted in fact a criticism of the exuberant French fashions of the eighteenth century" (Schmid 2002:83),
- ^ Thomas Carlyle, "The Dandiacal Body", in Sartor Resartus
- ^ Ribeira 2002:21.
- ^ 10,000 Famous Freemasons from K to Z. Books.google.com. (30 September 2004) 2013年2月16日閲覧。
- ^ a b George Walden, Who's a Dandy? – Dandyism and Beau Brummell, Gibson Square, London, 2002. ISBN 1903933188. Reviewed by Frances Wilson in Uncommon People, The Guardian, 12 October 2006.
- ^ Beautiful and damned, New Statesman, 16 October 2006
- ^ Camus, Albert (2012). “II Metaphysical Rebellion”. The Rebel: An Essay on Man in Revolt. Knopf Doubleday Publishing Group. p. 51. ISBN 9780307827838 2014年10月11日閲覧。
- ^ “Jean Baudrillard – Simulacra and Simulations – XVIII. On Nihilism”. Egs.edu. 2013年4月19日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2013年2月16日閲覧。
- ^ Espartaco Carlos 1989 "Eduardo Sanguinetti: The Experience of Limits" pag.98, 99 (Ediciones de Arte Gaglianone, first published 1989) ISBN 950-9004-98-7
- ^ Old English Dictionary
- ^ Dictionary of Early English
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