ギルトフリー ギルトフリーの概要

ギルトフリー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/10 01:46 UTC 版)

食文化の意味などではグルテンフリー、デイリーフリー、ストレスフリー、フェアトレード、トレーサビリティなどが主な要素である。日本でも2017年頃からチョコレートやスイーツを中心に注目をされ始め食文化全体へと広がっている。エコロジーとも繋がるところがあるが食についてはビーガン食を中心としている。

倫理的消費主義の広がり、および、それに続く製品の倫理性に関する情報の入手可能性は、ギルトフリー消費の原動力として理解することができる[1]。この意味で、消費者が経験する罪悪感は、選択の潜在的な結果に関する知識によって促進されている。消費者の価値感と彼らの行動がそれらの同じ価値感に反する可能性があるという認識との間の緊張は、強力な、しつこい罪悪感として現れる。

したがって消費者は、罪悪感を最小限に抑えるために、持続可能な慣行と製品を提供できる企業を好むように誘導されているのである [2]

関連する領域

GFCは、罪悪感が生じる3つの主要な側面[2]に関連している。

  • 自己: 自分が自身や家族に与える影響についての罪悪感。例えば、身体的、精神的な健康状態を心配する人。
  • 社会と自然: 他の人々 (および他の生き物) に直接的、間接的に引き起こされた損害を含む、社会的影響に対する罪悪感。例えば、劣悪な労働条件、貧困以下の賃金、搾取について心配する人。
  • 地球環境: 環境への影響についての罪悪感。例えば、無駄な梱包、CO2排出、熱帯雨林の破壊を心配する人。

しかし、主に新たに発生した都市の消費者に影響を与える第4の側面がある。グローバル消費と伝統的消費の分裂によって引き起こされる罪悪感、いわゆる「文化的罪悪感」[1]である。例えば、グローバリゼーション(グローバル化された消費文化)のためにアイデンティティを放棄することを心配する人。

ある側面で罪悪感を軽減する製品やサービスは、別の側面で同様に否定的な感情を助長する可能性があるため、完全に罪悪感のない消費を達成することはほとんど不可能である。結果として、GFC は罪悪感の完全な消去を目指すのではなく、その最小化を目的としている。

罪悪感と分断された自己

罪悪感は、自身の個人的な基準を満たすことに失敗したとき、もしくは不一致理論(Theory of Discrepancy) が「自己」と呼ぶものの間で対立が生じたときに発生する[3]

自己不一致理論英語版[4]によれば、自己の行動を導き、形成する多くの「自己」がある。

  • 実際の自己 - 現在のあるがままの自己。
  • 理想の自己 - 努力して目指す自己。
  • あるべき自己 - 義務感、もしくは責任感から目指すべきと認識、感じる自己。

罪悪感は社会的期待に応えられないことに関連している可能性があり、それ故、自己基準は、自分の行動に対する自己判断と自分の行動に対する他人の判断との並置をもたらす社会的規範によって大きく影響を受ける可能性がある。 しかし、社会規範は社会化を通じて容易に内面化されるため、個人は最終的には他人の判断に関わらず自己基準を満たすよう動機付けられる[3]

罪悪感を特徴付けるプライベートな自己のレベルは、自分の行動、不作為、環境、もしくは意図に対する可能な異議に関連する否定的な感情の状態、として定義される。

従って、消費者は潜在的な悪影響の認識と消費プロセス全体を楽しむ意欲との間で引き裂かれている。GFCは、必ずしも影響ゼロの状態を目指すのではなく、罪悪感の最小化として理解することができる[1]

否定的な感情の状態からのこの達成不可能な自由は、消費がもたらす純粋な喜びを含め、とても異質な状態の混合により特徴づけられる人間の心理的性質に照らして見ることができる。 消費者がこの種の快楽主義を満たす必要性を感じているという事実は、有害な消費パターンの完全な停止を不可能にしている[5]。 結果として、企業はさまざまな自己の間の仲介者として活動することで、二者択一に陥ることを積極的に減らしたいと考えている。


  1. ^ a b c d e f g Izzo (2013年11月). “Guilt-Free Consumption”. trendwatching.com. 2020年8月12日閲覧。
  2. ^ a b Izzo (2014年11月11日). “Businesses Need To Start Focusing on 'Guilt-Free' Consumption To Get Ahead.”. Huff Post. 2020年8月12日閲覧。
  3. ^ a b Peloza, John; White, Katherine; Shang, Jingzhi (2013-01). “Good and Guilt-Free: The Role of Self-Accountability in Influencing Preferences for Products with Ethical Attributes” (英語). Journal of Marketing 77 (1): 104–119. doi:10.1509/jm.11.0454. ISSN 0022-2429. http://journals.sagepub.com/doi/10.1509/jm.11.0454. 
  4. ^ Higgins, E. Tory (1987). “Self-discrepancy: A theory relating self and affect.” (英語). Psychological Review 94 (3): 319–340. doi:10.1037/0033-295X.94.3.319. ISSN 1939-1471. http://doi.apa.org/getdoi.cfm?doi=10.1037/0033-295X.94.3.319. 
  5. ^ [node:Title]” (英語). www.csrwire.com. 2022年12月9日閲覧。
  6. ^ a b Dahl, Darren W.; Honea, Heather; Manchanda, Rajesh V. (2003). “The Nature of Self-Reported Guilt in Consumption Contexts”. Marketing Letters 14 (3): 159–171. ISSN 0923-0645. https://www.jstor.org/stable/40216496. 
  7. ^ APA PsycNet” (英語). psycnet.apa.org. 2022年12月10日閲覧。
  8. ^ College, Boston. “Luxury-charity partnerships can help promote retail sales this holiday season” (英語). phys.org. 2022年12月10日閲覧。
  9. ^ Sassatelli, Roberta (2011-09-01). ““Promotional Reflexivity. Irony, De-fetishisation and Moralization in The BodyShop Promotional Rhetoric”, in L. Avellini et als. (a cura di) Prospettive degli Studi Culturali, I libri di Emil, Bologna, 2009, pp.229-47.”. Roberta Sassatelli (2011) Commercial Reflexivity, in L. Avellini et als. (eds) ,Prospettive degli Studi Culturali, I libri di Emil, Bologna, 2011, pp.229-47.. https://www.academia.edu/11925333/_Promotional_Reflexivity_Irony_De_fetishisation_and_Moralization_in_The_BodyShop_Promotional_Rhetoric_in_L_Avellini_et_als_a_cura_di_Prospettive_degli_Studi_Culturali_I_libri_di_Emil_Bologna_2009_pp_229_47. 
  10. ^ Alliance for a Healthier Generation”. www.healthiergeneration.org. 2022年12月10日閲覧。


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