優先度継承とは? わかりやすく解説

優先度継承

(Priority inheritance から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/21 00:26 UTC 版)

優先度継承の例。図中の2~3 の間で一時的にジョブJ3の優先度が上げられている。

計算機科学における優先度継承(ゆうせんどけいしょう、Priority Inheritance)とは、優先順位の逆転を防ぐ手法の一つである。この手法を用いると、プロセスが獲得済みのリソースが解放されるのを待っている他のプロセス群の最高優先度を現にリソースを獲得しているプロセスに与える。

解説

優先度継承プロトコルの基本的な考え方は、Jというジョブがより高優先度のジョブ群をブロックしているとき、Jが本来の優先度ではなくそれらジョブ群の最高優先度でクリティカルセクションを実行するというものである。クリティカルセクションの実行を終えると、ジョブ J は本来の優先度に戻る。

例えば、J1、J2、J3 というジョブがあり、優先度は J1 が最高、J3 が最低とする。J3 が共有リソースを獲得しているために J1 がブロックされているとする。優先度継承プロトコルは J3 が J1 の優先度でクリティカルセクションを実行することを要求する。結果として、J2 も J3 に先んじて動作することができずブロックされる。つまり、本来優先度の高い J2 が J3 の実行を待たなければならなくなる(J3 が J1 の優先度で動作中であるため)。J3 がクリティカルセクションの実行を終えると、優先度が元に戻され、ブロックされていた J1 が起床する。J1 は最高優先度なので即座に実行権を J3 から奪い、完了まで処理を行う。その後、J2 と J3 がスケジュールされ、完了まで動作する。

本来の優先度継承プロトコルには以下の二つの問題がある。

  1. デッドロックを防げない状況がありうる。
  2. ブロック化の連鎖が形成される可能性があり、そのブロック期間は有限だがかなり長期化する可能性がある。

外部リンク





固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「優先度継承」の関連用語

優先度継承のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



優先度継承のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの優先度継承 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS