P-47II MD
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/06/15 14:19 UTC 版)
| ジャンル | 横スクロールシューティングゲーム |
|---|---|
| 対応機種 | メガドライブ(同互換機を含む) |
| 開発元 | |
| 発売元 | シティコネクション[1] |
| デザイナー | 荒井正広[3] |
| 音楽 | 内田哉(サウンドプログラム、編曲およびデータ入力)[4]、多和田吏(新規楽曲の作曲[注 1]と一部音色の作成)[4][5] |
| 美術 | 加藤単駆郎(パッケージデザイン)[6] |
| シリーズ | P-47 |
| 人数 | 1人[7] |
| 発売日 |
『P-47II MD』(ピーよんななツー エムディー、P-47II THE FREEDOM STAR)はジャレコが開発し、シティコネクションが2025年3月13日に発売したメガドライブおよび、メガドライブ互換機用の横スクロールシューティングゲームである[6]。
1990年ごろにジャレコが同社のシューティングゲーム『P-47』を元に開発していた未発表作品を新作として発売したもので、第二次世界大戦を舞台にアメリカ軍機「P-47 サンダーボルト」を操縦し、日本軍が建造中の爆撃機「FUGAKU」の破壊を目指す内容となっている[9]。
ゲーム内容
本作は、1990年ごろにジャレコが『THE FREEDOM STAR[11]』という名称でセガ・エンタープライゼスの家庭用ビデオゲーム機「メガドライブ」向けに開発を行っていた、同社の業務用ビデオゲーム『P-47』を元にした横スクロールシューティングゲームである[9][注 3]。本作は原作とは異なり、1人プレイ専用となっている[7]。
本作は、第二次世界大戦の欧州と太平洋戦線を舞台にアメリカ軍の戦闘機「P-47 サンダーボルト」を操縦して、日本軍が建造中の超大型重爆撃機「FUGAKU」の破壊を目指す設定であり[9]、ドイツ軍と日本軍との戦いが作中で描かれている[16]。
ゲームシステムやステージ構成は、原作の『P-47』から大幅な変更が加えられており[9]、全6面となっている[7]。1面から2面はドイツ軍との戦いが描かれており、3面から6面は主に日本軍との戦いが描かれる[17]。最終目的の「FUGAKU」は6面で出現する[17]。
自機のサンダーボルトは方向ボタンと、ショットと「ハイパーボム」の2つの役割を持つボタンを使って操作する[18]。本作は残機制とライフ制を同時に採用しており、「ハイパーボム」の発動に際してはライフを消費する[19]。また、ステージをクリアしたときにライフおよび「ハイパーボム」が3個以下の場合は、使用回数が回復する[20]。
本作は自機が発射するメインショットに加えて、僚機「P-51」が編隊を組んで自機の攻撃を支援する攻撃システムとなっている[20]。メインショットは専用のアイテムを取得することで強化できる[20]。僚機の攻撃方法は、対地用爆弾を投下する「ボム」、僚機が自機の上下に編隊を組んで広範囲に攻撃する「ツインショット」、誘導弾を発射する「ミサイル」、僚機の周りに敵弾を防ぐエネルギーが付く「ガード」の4種類が用意されており、同じ種類のアイテムを続けて取ることで強化できる[20]。また、自機の速度はアイテム取得で上昇する仕様である[20]。なお、ライフを全て失うと兵装の強化段階と自機の速度は初期状態に戻される[7]。
開発
本作は日本マイコン開発が開発した業務用ビデオゲーム版・PCエンジン版『P-47』とは異なり、ジャレコ自身が開発を行った[2][21]。
企画は『E.D.F.』や『ゲーム天国』を手がけた荒井正広が担当し[3]、メインプログラムは『プラスアルファ』のメインプログラマーが担当した[21]。サウンドプログラム、データの作成および編曲は内田哉が担当し[4]、FM音源によるスネアの音色[5]、本作の新規楽曲の作曲については多和田吏が担当した[4][注 1]。
本作の開発チームについて荒井は、プログラマーを除いて新人と若手中心の構成となっていたと述べている[2]。本作の開発終了後に、開発チームはスーパーファミコン版『スーパーE.D.F.』の開発に移行した[21]。
本作は『E.D.F.』と並んで、荒井が初めて企画を担当した作品であった[3]。荒井によると、本作の開発は『P-47』メガドライブ移植版の開発の要請を受けて始まり、『E.D.F.』と並行して別チームによって開発が進められたとのことである[21]。開発にあたっては攻略パターンなどの移植の再現性の問題や、業務用版に近いPCエンジン版がすでに存在したことを背景に、『P-47』の内容を大幅にアレンジする方針に決まり、1年弱の期間をかけて開発が行われたという[23]。難易度に関しては家庭用という性質から、高難易度で知られる『E.D.F.』とは異なり、誰でもクリアできるような難易度に調整したと述べている[21]。
また、面の構成や敵の挙動に関しては、従来の開発ではプログラマーが企画などからの依頼を受けて調整していたものを、本作および並行開発していた『E.D.F.』では、PC-98上で動作する敵の軌道やアルゴリズム・配置を設定できるツールを開発してもらい、企画およびデザイナー主導で調整できるようにしたという[23]。その結果、開発の効率化につながったと荒井は述べている[23]。
内田は本作のサウンドの開発がジャレコ入社後の初仕事であった[5]。本作の開発当時、ジャレコ唯一のサウンド担当者であった多和田が多忙だったため、原作『P-47』の楽譜データを元に、内田が開発したサウンドドライバへのデータの変換作業についても行ったと述べている[2]。本作のサウンドドライバの開発にあたっては、音色切り替えを先読みしてタイミングをずらして負荷を分散するなどの処理落ちを防ぐ工夫を行ったという[5]。
また、本作で使用されたFM音源の音色に関しては、同社が業務用基板で使用していたヤマハのFM音源LSI「YM2151」用の音色データを含む約1,000個の音色ライブラリから、メガドライブに搭載された「YM2612」用データへの変換を行い、微調整を行った上で楽曲データに割り当てたと述べている[5]。
発売経緯
本作はジャレコのメガドライブ参入第1弾として、極秘裏に開発が行われて完成まで至っていたが[9]、任天堂の家庭用ビデオゲーム機「スーパーファミコン」の発売による方針転換によって未発売となり[3]、長年お蔵入りの状態となっていた[9][注 4]。
その後、ジャレコの権利を継承したシティコネクションが本作のROMを譲り受け[24]、2015年に本作で使われた音楽をサントラCDに収録して発売したほか[11]、2016年に同社が開催した「ジャレコ展」などで本作を試遊可能な状態で展示していた[12]。
それと並行して、2016年ごろからシティコネクションは本作のカートリッジ媒体による製品化についても検討を行っており[10][25]、2025年3月13日にメガドライブ用カートリッジ『P-47II MD』(セガ非ライセンス商品)として日本で発売されるに至った[6]。その発売にあたっては、パッケージデザインとして加藤単駆郎によるイラストを新たに採用している[6]。
また、北米と欧州地域でもRetro-bitによって、北米版ジェネシス、欧州版メガドライブ、およびその互換機用カートリッジとして、2025年初頭に受注販売が行われた[8]。
評価
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クラシックゲーム専門のニュースサイト『Time Extension』によるレビューで、本作は7点(満10点)の評価を得ている[7]。レビューでは、出現する敵の種類が少ないことや、メガドライブの作品群の中でも1990年に開発を終えた古い作品であることなどを理由に、メガドライブ最高峰のシューティングゲームとはいえない凡庸な出来と評したが、期待外れでもないとも記載している[7]。ラスタースクロールを駆使した背景や、ボス戦については一定の評価を与えている[7]。
ゲーム情報サイト『Maximum Utmost』に掲載されたZoey Handleyによるレビューで、本作は6点(満10点)の評価を得ている[26]。レビューでは本作の独自性として、僚機と「ハイパーボム」のシステムを提示しており、使用回数が体力と共有となる「ハイパーボム」の戦略性、および難易度の低さについては高く評価している[26]。その一方で、ボスごとの難易度のバラつきやミス時に兵装が全て失われる点については問題視しており、ボスに関してはバランス調整の欠落について疑問を呈している[26]。音楽については出来は悪くないがレースゲームの『アウトラン』風に仕上がっており、シューティングゲームに期待されるものではないと評している[26]。総合的にはRetro-Bitが復刻した商品の中で最高傑作とは言えないが、十分楽しめる出来と評価している[26]。
関連作品
脚注
注釈
- 1 2 原作『P-47』の音楽については同作の開発当時、開発元の日本マイコン開発に所属していた岡村静良が作曲し[22]、ジャレコ開発の本作でも編曲されて使用されている[9]。
- ↑ プレスリリースなどでは「MD/MD互換機」として表記され、パッケージにも「MD Cartridge」として記載されている[9]。また、本作はすべてのメガドライブ本体および、同互換機本体による動作を保証していない[9]。さらに、セガは2016年時点でメガドライブ用カートリッジとして発売される新作に許諾を与えない方針を取っている[10]。
- ↑ なお、本作の開発時点のタイトルについてはいくつかの表記揺れが存在している。2015年のサントラやジャレコ展で展示・使用された1990年の開発当時のROMのタイトル画面では『THE FREEDOM STAR』の表記が使用されており[11][12][13]、2016年のジャレコ展に関する告知記事および、本作の企画の荒井を含む『スーチーパイ』シリーズのスタッフへの2019年のインタビュー記事では『P-47 THE FREEDOM STAR』として表記[3][14]、本作の発売を告知する2024年の記事では『P-47II FREEDOM STAR』の表記が使用されている[9]。なお、2025年発売の『P-47II MD』のタイトル画面では「P-47II THE FREEDOM STAR」と記載されている[15]。
- ↑ 本作の企画の荒井によると、本作の発売延期の決定後に他社に発売を打診したことがあったと述べている[2]。その完成度に関しては好反応が得られたが、その内容が『P-47』の関連作であることは明確だったことを理由に断られたと述べている[2]。
出典
- 1 2 『P-47II MD』パッケージ裏面、シティコネクション、2025年3月
- 1 2 3 4 5 6 吉川延宏、荒井正広、内田哉、志貫徹『シュー大祭 ~シューティングゲーム大感謝祭~ 2024 【DAY-02】』ゲーセンミカド、2024年4月7日、該当時間: 6:32:10–6:37:45、6:51:29–6:52:08。2024年12月7日閲覧。
- 1 2 3 4 5 RIKI、荒井正広、風穴尚紀「スーチーチーム・インタビュー」『ゲームラボ』令和元年春の特別号、三才ブックス、2019年5月20日、4-7頁。
- 1 2 3 4 「PRODUCT STAFF」、『P-47II MD ORIGINAL SOUND TRACK』パッケージ、シティコネクション、2025年3月。
- 1 2 3 4 5 6 内田哉、荒井正広、吉川延宏、WASi303『【発売前夜】35年越しの発売『P-47II MD』についてあれもこれも語ります! #はしとま その41(『P-47II MD』の音楽面)』シティコネクション、2025年3月12日、該当時間: 0:48:40–1:06:07。2025年3月12日閲覧。
- 1 2 3 4 5 “ジャレコの未発売タイトル『P-47 II MD』が本日(3/13)発売。MD参入タイトル第1弾として発売予定だった幻の作品が35年越しに蘇る”. ファミ通.com. KADOKAWA Game Linkage Inc. (2025年3月13日). 2025年3月13日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 7 8 McFerran, Damien (2025年3月19日). “P-47 II MD (Mega Drive) - 35 Years Later, Jaleco's Shmup Finally Takes To The Skies”. Time Extension. Hookshot Media. 2025年3月19日閲覧。
- 1 2 “Limited One-Time Production Run of P-47 II MD is Now Available for Pre-Order” (Press release). Retro-bit. 2025年1月14日. 2025年3月12日閲覧.
{{cite press release}}: CS1メンテナンス: url-status (カテゴリ) - 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 簗島 (2024年12月3日). “幻のMD用STGが35年の時を経て復活。MD/MD互換機用ソフト「P-47II MD」,2025年3月13日に発売。予約受付開始”. 4Gamer.net. Aetas, Inc.. 2024年12月3日閲覧。
- 1 2 岐部昌幸 (2016年9月27日). “実際問題、いまさらメガドラ新作ソフトを作れるのか?セガにぶっちゃけ聞いてみた!【いまさらメガドラソフト開発計画】 § 奥成さんのひと言で、事態が急変……!”. 電ファミニコゲーマー. 2025年3月12日閲覧。
- 1 2 3 “ジャレコのスーパーファミコン作品を網羅したサントラCDが発売決定、あのシューティングタイトルの音源も収録!?”. ファミ通.com. KADOKAWA (2015年2月18日). 2015年2月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年12月2日閲覧。
- 1 2 戸塚伎一 (2016年12月14日). “幻の未発売タイトルも遊べた“ジャレコゲーム史”の棚卸し! ゲストトークでは当時の秘話も! ジャレコ展リポート”. ファミ通.com. KADOKAWA DWANGO. 2016年12月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年12月2日閲覧。
- ↑ CITY CONNECTION [@claricedisc] (2023年9月27日). “2023年9月27日の投稿”. X(旧Twitter)より2025年3月16日閲覧.
- ↑ Gamer編集部 (2016年11月28日). “未発売タイトル「ソルダム」「P-47」もプレイ可能!「ジャレコ展 -ジャレコ・アーカイブズ発売記念展示イベント-」が12月10日・11日に開催”. Gamer. ixll. 2025年3月16日閲覧。
- ↑ 『P-47II MD』タイトル画面、シティコネクション、2025年。
- ↑ 「はじめに」『P-47II MD 陸軍航空軍 作戦指令書』(取扱説明書)、シティコネクション、2025年3月。
- 1 2 「ステージ1」–「ステージ6」『P-47II MD 陸軍航空軍 作戦指令書』(取扱説明書)、シティコネクション、2025年3月。
- ↑ 「操作方法」『P-47II MD 陸軍航空軍 作戦指令書』(取扱説明書)、シティコネクション、2025年3月。
- ↑ 「システム」『P-47II MD 陸軍航空軍 作戦指令書』(取扱説明書)、シティコネクション、2025年3月。
- 1 2 3 4 5 「アイテム」『P-47II MD 陸軍航空軍 作戦指令書』(取扱説明書)、シティコネクション、2025年3月。
- 1 2 3 4 5 イケダミノロック、吉川延宏、荒井正広、ちゃんたけ『シティコネクション presents『P-47II MD』情報解禁 SP』ゲーセンミカド、シティコネクション、2024年12月1日、該当時間: 0:42–3:45,5:55–6:05,10:42–14:18,25:50–26:10。2024年12月7日閲覧。
- ↑ Nick Dwyer, Sizlla Okamura (岡村静良) (2017年11月30日). “Interview: Sizlla Okamura The composer of Viewpoint on the Neo-Geo discusses being an unwitting innovator”. Red Bull Music Academy. Red Bull. 2024年6月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年12月2日閲覧。
- 1 2 3 内田哉、荒井正広、吉川延宏、WASi303『【発売前夜】35年越しの発売『P-47II MD』についてあれもこれも語ります! #はしとま その41(『P-47II MD』の開発経緯)』シティコネクション、2025年3月12日、該当時間: 0:12:23–0:14:11,0:21:19–0:23:16,0:32:07–0:39:08,0:39:55–0:41:10。2025年3月14日閲覧。
- ↑ 内田哉、荒井正広、吉川延宏、WASi303『【発売前夜】35年越しの発売『P-47II MD』についてあれもこれも語ります! #はしとま その41(『P-47II MD』の発売経緯)』シティコネクション、2025年3月12日、該当時間: 0:04:05–0:05:35。2025年3月14日閲覧。
- ↑ 奥成洋輔 [@okunari] (2024年12月2日). “2024年12月2日の投稿”. X(旧Twitter)より2025年3月12日閲覧.
- 1 2 3 4 5 6 Handley, Zoey (2025年7月23日). “Review – P-47II MD” (英語). Maximum Utmost. 2026年6月12日閲覧。
- 1 2 「リアル空中戦、2人同時プレイ 撃墜の数を競う UPL製「ムスタング」基板」『ゲームマシン』第384号(アミューズメント通信社)1990年7月15日、23頁。オリジナルの2020年1月31日時点におけるアーカイブ。2025年3月12日閲覧。
- ↑ 「ストーリー」「ゲームの遊び方」、『ファイアームスタング』取扱説明書、タイトー、1991年。
- ↑ 『ファイアームスタング』パッケージ表面、タイトー、1991年
- ↑ 「ファイアームスタング」『Beep! MEGADRIVE』1991年4月号、ソフトバンク、1991年3月8日、43頁。
- ↑ 「”メガシステム32“ 第3弾 実在機で空中戦 ジャレコ「P-47ACES」」『ゲームマシン』第490号(アミューズメント通信社)1995年3月1日、21頁。オリジナルの2020年5月23日時点におけるアーカイブ。2025年3月20日閲覧。
- ↑ シティコネクション(編)「P-47 ACES」『ジャレコ・アーカイブズ』、実業之日本社、2016年12月1日、136頁、 ISBN 9784408112039。
外部リンク
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