NGC_1365とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > NGC_1365の意味・解説 

NGC 1365

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/09/13 06:49 UTC 版)

NGC 1365
ビクター・M・ブランコ望遠鏡のダークエネルギーカメラ (DECam) が取得したデータをもとに作成された画像。
ビクター・M・ブランコ望遠鏡のダークエネルギーカメラ (DECam) が取得したデータをもとに作成された画像。
星座 ろ座
見かけの等級 (mv) 10.32[1]
視直径 11.2' × 6.2'[1]
分類 (R')SBb(s)b[1]
位置
元期:J2000.0[1]
赤経 (RA, α)  03h 33m 36.4071s[1]
赤緯 (Dec, δ) −36° 08 24.669[1]
赤方偏移 0.005457[1]
視線速度 (Rv) 1636±1 km/s[1]
距離 6,070万光年
(18.6 Mpc)[2]
物理的性質
直径 24万7,000光年
(75.7 kpc)[1][注 1]
他のカタログでの名称
PGC 13179、ESO 358-17、MCG-06-08-026、FCC 121、VV 825、2MASS J03333638-3608257、PKS 0331-363、2E 794[1]
Template (ノート 解説) ■Project

NGC 1365は、地球からろ座の方向に約6,000万光年離れた位置にある棒渦巻銀河である。明瞭な棒状構造を持つため、Great Barred Spiral Galaxy とも呼ばれる[3][4]。また、スターバースト銀河セイファート銀河の両方に分類される銀河であり、中心には超大質量ブラックホールが存在すると考えられている。

観測・研究史

天文学者のジェームズ・ダンロップ英語版によって1826年9月2日に発見された。彼は、オーストラリアのパラマタで自作の反射望遠鏡を用いて発見し、「かなり大きく、かつ淡く丸い星雲。中心に向かうにつれて徐々に濃くなるが、外縁部はとても淡い。」と記した。1837年11月28日には、天文学者のジョン・ハーシェルによって観測された。彼は、滞在先のケープ植民地で観測し、「とても素晴らしい星雲。M27M51の中間的な性質を持つ。中心部はとても明るく、やや広がっている。」と記した[5]。その後、ジョン・ドライヤーによってニュージェネラルカタログに加えられた。1999年には、棒状構造やガス運動、活動銀河核などについてまとめた総説論文が天文学者のP・O・リンドブラッドによって発表された[2][6][7]。近年では、スターバースト(爆発的な星形成)領域周辺の分子ガスやスペクトルに変動が見られる活動銀河核に関する研究が行われている。また、多波長かつ高解像度で近傍の銀河を観測することで、星形成に対する理解を深めることを目的とした Physics at High Angular resolution in Nearby GalaxieS (PHANGS) と呼ばれるプロジェクトで観測対象となった[8]。このプロジェクトには、ハッブル宇宙望遠鏡ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡などが関わっている。

特徴

ドゥ・ボークルール分類では SB(s)b に分類される棒渦巻銀河であり、東西に伸びる棒状構造とそこから南北に伸びる渦状腕は全体として「Z」の形を連想させる[9]。渦状腕は2つの主要な腕とそれに先行する2つの未発達の腕からなる[5]銀河円盤は天球面に対して約55度傾いており、さらに棒状構造の位置角は銀河の短軸から約35度ずれている[10]

ろ座とその周囲に存在する銀河の分布図。

美しい棒渦巻銀河ではあるものの、表面輝度が低いため、郊外からの観測は困難である。口径10 cmの望遠鏡を用いて観測すると、低倍率では中心部が明るく輝くレンズ状銀河のように見えるが、棒状構造と渦状腕の区別は容易ではない。中心部から北西に1.3分離れた位置には、超新星と見間違える可能性のある14等星が存在する[5]

ろ座銀河団に属する銀河であり、楕円銀河のNGC 1399や、レンズ状銀河のNGC 1316英語版と並び、ろ座銀河団で最も明るい銀河の一つである。付近には、NGC 1366、NGC 1379、NGC 1387、NGC 1389、NGC 1399などの銀河や、6等星のろ座Χ2英語版ろ座Χ1英語版が存在する[5]

棒状構造

NGC 1365の内部構造をわかりやすく示した画像。

棒状構造の長さは約3分(5 - 6万光年に相当)である。2つのダストレーンを伴っており、この構造を介してガスが銀河の中心部へ供給されることで、後述するスターバーストが促進されている[6][11]

棒状構造の内側に小さな棒状構造が埋め込まれているため、NGC 1365は二重の棒状構造を持つ銀河である。小さな棒状構造は、視直径が50秒 × 40秒の中心核を含み[9]、赤外線画像上でより鮮明に現れる。二重の棒状構造の誕生には、恒星軌道や密度波英語版、銀河円盤の回転などに起因する力学的な不安定性が関与した可能性が指摘されている[12][13]。また、小さな棒状構造は大きな棒状構造とは独立して回転している[13]

その他

  • 多くの円盤銀河では、回転速度は円盤の外側までほぼ一定であり、回転曲線も水平を保つことで知られている(銀河の回転曲線問題)。しかし、中性水素ガスが放つ21cm線の観測により、この銀河の外側の回転速度がケプラーの法則に従って低下していることが明らかになった。回転曲線は、銀河中心から20 - 35 kpc (観測限界) の範囲にわたって落ち込んでいる。また、銀河の質量と光度から求められた質量光度比 (超大型望遠鏡VLTに搭載されたFORS1によるNGC 1365の可視光画像Credit: ESO.
超大型望遠鏡VLTに搭載されたFORS1によるNGC 1365の可視光画像
Credit: ESO.
  • デンマーク1.54m望遠鏡によるNGC 1365の可視光画像Credit: ESO/IDA/Danish 1.5 m/ R. Gendler, J-E. Ovaldsen, C. Thone, and C. Feron.
    デンマーク1.54m望遠鏡によるNGC 1365の可視光画像
    Credit: ESO/IDA/Danish 1.5 m/ R. Gendler, J-E. Ovaldsen, C. Thone, and C. Feron.
  • GALEXによるNGC 1365の紫外線画像Credit: GALEX/NASA.
    GALEXによるNGC 1365の紫外線画像
    Credit: GALEX/NASA.
  • 超大型望遠鏡VLTに搭載されたHAWK-IによるNGC 1365の赤外線画像Credit: ESO/P. Grosbol.
    超大型望遠鏡VLTに搭載されたHAWK-IによるNGC 1365の赤外線画像
    Credit: ESO/P. Grosbol.
  • 脚注

    注釈

    1. 出典元の値は、距離

    「NGC 1365」の例文・使い方・用例・文例

    Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


    英和和英テキスト翻訳

    英語⇒日本語日本語⇒英語

    辞書ショートカット

    すべての辞書の索引

    「NGC_1365」の関連用語

    NGC_1365のお隣キーワード
    検索ランキング

       

    英語⇒日本語
    日本語⇒英語
       



    NGC_1365のページの著作権

       
    ウィキペディアウィキペディア
    All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
    この記事は、ウィキペディアのNGC 1365 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
    Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
     Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
    この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
    浜島書店 Catch a Wave
    Copyright © 1995-2026 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
    株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
    Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
    研究社研究社
    Copyright (c) 1995-2026 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
    日本語WordNet日本語WordNet
    日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
    WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
    日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
    Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
    「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
    EDRDGEDRDG
    This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

    ©2026 GRAS Group, Inc.RSS