ユークリッド・オイラーの定理
ユークリッド・オイラーの定理(ゆーくりっどおいらーのていり、英: Euclid-Euler theorem)は、数学の整数論における偶数の完全数に関する必要十分条件を述べた定理である[1] 。ここで完全数とは、自分以外の約数すべての和が自分自身に等しい整数のことである。例えば整数6は完全数で、1+2+3=6となっている。さらに、整数6は2の冪乗と素数3の積の形をしている。この事実を一般化して特徴つけた定理がユークリッド・オイラーの定理である。
ユークリッド・オイラーの定理の前半は、ユークリッドが示した偶数の完全数に関する以下の十分条件である。
- が素数ならば、は偶数の完全数である。
ユークリッド・オイラーの定理の後半は、オイラーが示した偶数の完全数に関する以下の必要条件である。
- 偶数の完全数は、が素数で、の形をしている。
ちなみに完全数については、偶数の完全数が無数にあるかどうか、奇数の完全数が1つでも存在するかどうかは未解決問題である。
約数関数
ユークリッド・オイラーの定理の証明に必要な概念をまとめておく。 整数の約数関数の定義は次の通りである。
=整数のすべての約数の和
例えば=1+2+3+6=12である。
整数の約数関数の基本的性質は次の通りである。
- が完全数ならば、である。
- が素数ならば、である。
- が2の冪乗ならば、である。
- とが互いに素ならば、である。
ユークリッドの十分条件
が素数ならば、は偶数の完全数であるという証明は以下の通りである。ここでは、2の冪乗と素数は互いに素であること、ならばは完全数であることを利用している。
オイラーの必要条件
偶数の完全数は、が素数で、の形をしているという証明は以下の通りである。ここでは、ならば、は素数であるという性質を利用している。
偶数の完全数をとする。ただしは約数2を持たない整数とする。 は完全数なので、
である。
ここでで割り算をすると、 である。
もも整数なので、その差は整数dで表せる。
しかしdはの約数でもある。ここでとすると、整数1は必ずの約数なので、
となり、という事実と矛盾する。
したがって、で、で、である。 つまりは素数である。
すなわち偶数の完全数は、 が素数で、の形をしている。
出典
- ^ Voight, J.; "Perfect numbers: an elementary introduction (1998)
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