CODESYS
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/09/03 03:56 UTC 版)
| Controller Development System | |
| |
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| 開始年 | 1994年 |
|---|---|
| 組織 | CODESYS Group |
| ウェブサイト | www |
CODESYS(コーデシス[1] )は、国際産業規格IEC 61131-3に準拠した自動化プラットフォームおよびソフトウェア統合開発環境である。 ソフトウェアPLC、モーション制御、HMI、フィールドバスといった機能を統合して扱うことができる[2][3]。
CODESYSは、ドイツ・ケンプテンに本社を置くCODESYS Groupによって開発・販売されている。同社は1994年に3S-Smart Software Solutionsとして設立され、2020年にCODESYS Groupへと組織体制を移行した[4]。
機能
開発環境
開発環境であるCODESYS Development System自体は無償で利用できる。
プログラミング言語
IEC 61131-3で定義されているアプリケーションプログラミング用の5つのプログラミング言語は全て、CODESYS統合開発環境で利用可能である。またIEC61131-3規格外のCODESYSオリジナルのプログラミング言語であるCFCも利用できる。
- IL(Instruction List)
- アセンブリ言語に似たプログラミング言語である。IEC 61131-3 第3版では非推奨となり、第4版からは削除された。STへの移行が促されている[5]。
- ST(Structured Text)
- PascalやC言語に似た高級言語である[6]。
- LD(Ladder Diagram)
- リレー回路をグラフィカルに記述する言語[7]。
- FBD(function block diagram)
- ファンクションブロックを用いるプログラミング言語。ファンクションブロックの機能はシステムやライブラリから提供され、独自実装によって拡張することもできる[7]。
- SFC(Sequential Function Chart)
- 個々の処理ステップを時系列的に記述するプログラミング言語[8]。
- CFC(Continuous Function Chart)
- 一種のフリーハンド型FBDエディタである。オブジェクトの配置や結線方向に制限がなく、あるブロックの出力から別のブロックの入力へ戻るフィードバック配線を中間変数を用いることなく実現できる[9]。
コンパイルとCPUサポート
CODESYSには統合コンパイラが搭載されており、CODESYSで作成したアプリケーションコードをコントローラ上で実行可能なネイティブマシンコード(バイナリコード)へ変換し、コントローラへダウンロードする。対応するCPUアーキテクチャは、Intel x86、ARM、PowerPC、Infineon TriCoreなどが選択可能である[10]。
デバッグ機能
また、CODESYSをコントローラに接続すると、変数の監視・書き込み・強制変更(Force)、ブレークポイントの設定、ステップ実行(シングルステップ実行)、コントローラ上のリングバッファを用いた変数値のオンライン記録(Sampling Trace)、例外発生時のコアダンプ取得など、豊富なデバッグ機能を利用できる[11][12]。
オプション
CODESYS Professional Developer Edition
CODESYS Professional Developer Editionオプションは、CODESYS development systemに追加ツールを提供する。AI搭載のMCPサーバー、Gitバージョン管理、静的コード解析、シミュレーション用インターフェース、テスト自動化、プロファイラなどが含まれる[13]。
CODESYS Application Composer
CODESYS Application Composerはコントローラアプリケーションを効率的に作成するためのツールである。機能はモジュール単位に細分化され、繰り返し利用が多いアプリケーションに特に適している[14]。
ランタイム
実行エンジンである「ランタイム」は、CODESYSが標準ランタイムを用意しており、サポートされているデバイスのうち代表的なものは以下の4つである[15]。
- CODESYS Control Win SL:Windows環境向け。CODESYS統合開発環境をインストールすると同時にインストールされる。
- CODESYS Control RTE SL:Windows環境でリアルタイム性を必要とする場合に使用する。
- CODESYS Control for Linux SL:Debian系Linux/X86CPU環境で使用。
- CODESYS Control for Linux ARM SL:Debian系Linux/ARM環境で使用。
その他にも、以下のようなランタイムもある[16]。
- CODESYS Control for Raspberry Pi SL : Raspberry Pi用。I²C、SPIや1-Wireといったインターフェースをサポートしている。
- CODESYS Control for emPC-A/iMX6 SL : JanzTec社のemPC-A/iMX6産業コントローラー向け。
- CODESYS Control for PFC100 SL : Wago社のPLC PFC100向け。
- CODESYS Control RTE SL (for Beckhoff CX) : Beckhoff社の組込みPC CXシリーズ向け。
- CODESYS Control for PLCnext SL : Phoenix contact社のPLCnext向け。
- CODESYS Control for IOT2000 SL : Siemens社の産業用IoTゲートウェイSIMATIC IOT2000向け。
フィールドバス
フィールドパスはPLCと計測・制御用機器(センサーやアクチュエーター)間の通信ネットワークである。CODESYSでは、さまざまなフィールドバス規格を直接利用することができる。
- PROFIBUS
- PROFINET
- CANopen
- EtherCAT
- EtherNet/IP など[17]
ビルオートメーション向けのBACnetやKNX、電力や水道などの遠隔制御向けのDNP3など、特定業界向けの通信プロトコルに対するサポートもオプションで提供している[18][19][20]。
通信
制御ネットワーク内の他のデバイスとのデータ交換において、CODESYSは通信プロトコルをシームレスに統合・利用することができる[21]。
可視化
モーション制御
CODESYS SoftMotion機能は、単軸制御から複数軸の補間動作、電子カムなどを利用した制御から、様々なキネマティクスをもったロボットの制御やGコードによるロボット制御など幅広いモーション制御を可能とする[22]。
機能安全
国際安全規格IEC 61508では、SIL1からSIL4までの安全度水準が定義されている。そのうちSIL2およびSIL3のコントローラー開発向けにCODESYSは事前認証済みのランタイムパッケージを提供する。このパッケージを利用することにより、機能安全コントローラー開発におけるソフトウェア認証工程を大幅に削減できる[10]。
機能安全の世界的認証機関であるドイツのTÜV Südは、特定のハードウェアに依存しない仮想安全PLCソリューションに対してIEC 61508 SIL3の認証を与えた[24]。
オートメーションサーバー
インダストリー4.0プラットフォームとしてCODESYS Automation Serverが提供されている。例えば、Webブラウザを介してソースコードやバイナリコード形式のプロジェクトを保存し、接続された複数のデバイスにダウンロードすることができる。クラウドとコントローラー間の通信は、専用のソフトウェアCODESYS Edge Gatewayを介して行われる[25]。
ライセンス販売
CODESYSを利用するには、CODESYS統合開発環境、デバイス(いわゆるパソコン)、CODESYSランタイム、そしてライセンスの4つが必要になる[15]。CODESYS統合開発環境は無料で提供されているが、実行のためのランタイムライセンスは基本的に有償である。ライセンスはCODESYS社が運営しているウェブストア(CODESYS Store)または国内代理店で購入できる[15]。
2023年末にCODESYS Groupはライセンスモデルをプラットフォームベースからアプリケーションベースライセンスに変更した。この変更によりライセンスがOSやハードウェアなどのプラットフォームの種類に依存しなくなった[26]。
アプリケーションベースライセンスはベースライセンスとオプションライセンスから構成されている。ベースライセンスはPLC機能として必ず1つを選択し、オプションライセンスは可視化、OPC UA通信、モーション制御といった付加機能を使う場合に選択する[15]。
ベースライセンスは種類に応じて以下が異なる[15]。
- 使用するフィールドバス規格とそのインスタンス数
- I/Oの使用点数
- プロジェクトコードのサイズ規模
- パフォーマンス、リアルタイム性
採用状況
全世界で400社以上のOEMメーカーに採用され、年間100万本以上のライセンスが出荷されている[27]。
ヨーロッパ
欧州ではCODESYSをはじめとしたソフトウェアPLCの導入が増加している。理由の1つとしてハードウェアPLCに対するCODESYSライセンスコストの安さが挙げられている[28]。
北米
2026年時点、ロックウェル・オートメーション社のアレン・ブラッドリーブランドがPLC市場で支配的な地位を占めており、CODESYSベースのプラットフォームはニッチな存在に留まっている[29]。
アジア
日本では、ハードウェアPLCの人気が根強く、ソフトPLC・PC制御の爆発的な普及には至っていないが、ファナックやヤマハ発動機、山洋電気、コンテック、ハイバーテックをはじめとする多くのロボットメーカーやFA機器メーカーでOEMされ着実な広がりを見せつつある[1]。
中国では、CODESYSは大きな関心を集めており[30]、中国FA大手のイノバンスをはじめ、Kinco、WeconなどのメーカーがCODESYS対応コントローラーを展開している[31][32][33]。
関連項目
脚注
- 1 2 “【リンクス】PLCこれからどうなる?ソフト制御・PC制御の行方②PLCは機械の心臓部。PC制御の本格普及はもう少し先に 水面下で採用広がるCODESYS ラズパイきっかけで加速も”. オートメーション新聞 (2024年7月29日). 2026年7月19日閲覧。
- ↑ “モーションコントロール_ ソリューション特設サイト”. Panasonic Industry. 2026年7月18日閲覧。
- ↑ “ハードウェア/担当者に依存しないMotion制御ノウハウの蓄積を可能にするCODESYS SoftMotion”. Linx Express (2017年8月25日). 2026年7月18日閲覧。
- ↑ “CODESYS - Facts and Figures”. 2026年7月18日閲覧。
- ↑ “PLC Programming Languages Guide”. PLC Programming.io (2025年9月18日). 2026年7月17日閲覧。
- ↑ “構造化テキスト(ST)、拡張構造化テキスト(ExST)”. CODESYSオンラインヘルプ. 2026年7月18日閲覧。
- 1 2 “CODESYS LD FBD”. CODESYSオンラインヘルプ. 2026年7月18日閲覧。
- ↑ “CODESYS SFC”. CODESYSオンラインヘルプ. 2026年7月18日閲覧。
- ↑ “温調装置メーカ A社:導入事例:IoT対応産業用コントローラ”. 日立産機システム. 2026年7月18日閲覧。
- 1 2 3 4 “CODESYS”. LINX. 2026年7月18日閲覧。
- ↑ “デバッグ”. CODESYSオンラインヘルプ. 2026年7月18日閲覧。
- ↑ “コマンド:コアダンプを生成する”. CODESYSオンラインヘルプ. 2026年7月18日閲覧。
- ↑ “CODESYS Professional Developer Edition - integrated productivity enhancement”. CODESYSオンラインヘルプ. 2026年7月18日閲覧。
- ↑ “CODESYS Application Composer”. CODESYSオンラインヘルプ. 2026年7月18日閲覧。
- 1 2 3 4 5 “CODESYSをPCで手軽に使うためのアプリケーションベースライセンスのご紹介”. LINX (2026年4月15日). 2026年7月17日閲覧。
- ↑ “CODESYS Store - SoftPLC”. CODESYS store. 2026年7月18日閲覧。
- ↑ “CODESYS Fieldbus”. 2026年7月19日閲覧。
- ↑ “CODESYS BACnet SL”. 2026年7月19日閲覧。
- ↑ “CODESYS KNX SL”. 2026年7月19日閲覧。
- ↑ “CODESYS DNP3 SL”. 2026年7月19日閲覧。
- ↑ “CODESYS Communication”. EMEA Technology. 2026年7月19日閲覧。
- ↑ “ソフトウェアPLC / Motion / HMI 【CODESYS】 無償体験トレーニングの定期開催が決定!” (2017年4月27日). 2026年7月19日閲覧。
- ↑ “SoftMotionとは何ですか。” (2024年3月19日). 2026年7月19日閲覧。
- ↑ “Zertifikatsdatenbank”. 2026年7月19日閲覧。
- ↑ “CODESYS Automation Server”. 2026年7月19日閲覧。
- ↑ toitoy8 (2025年4月27日). “ソフトウェアPLC Codesysのライセンス形態が変更になった件”. 2026年7月19日閲覧。
- ↑ “世界標準のソフトウェアPLC CODESYS搭載 Raspberry Pi 4 ベースの小型組み込み用PLCでのビジネスソリューション”. CONTEC (2025年4月21日). 2026年7月19日閲覧。
- ↑ “ヨーロッパプログラマブルロジックコントローラー(PLC)市場規模・シェア分析 - 成長トレンドと予測(2026年~2031年)”. 2025年12月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年7月19日閲覧。
- ↑ Jason IP P.E. (2026年1月18日). “北米におけるPLCプログラミングソフトウェア:市場支配、技術比較、キャリア戦略”. 2026年7月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年7月19日閲覧。
- ↑ “Top 10 Codesys PLC Manufacturers from China at the 137th Canton Fair”. Suzhou Lingchen Acquisition Computer (2025年6月5日). 2026年7月20日閲覧。
- ↑ “Inovance has worked with CODESYS since 2015 & is now listed on the CODESYS website”. Inovance (2023年8月2日). 2026年7月20日閲覧。
- ↑ Codesys PLC Training: Controlling Two Axes via EtherCAT Bus Like a Pro in Minutes!. Kinco Automation. 2024年9月10日. 2026年7月20日閲覧.
- ↑ “Wecon LX6C CODESYS Programming PLC”. Wecon (2023年8月31日). 2026年7月20日閲覧。
書籍
- Dariusz Wrebiak (2026): Practical PLC Programming for Beginners - A Hands-On Guide to Learning PLC Programming with CODESYS. Apress, 2026, ISBN 979-8868824296
- Gary L. Pratt (2025): The BOOK of CODESYS 2nd Edition. self-published, 2025. ISBN 978-1737821434
- Stefan Henneken (2023): Use of the SOLID principles with the IEC 61131-3 - 5 Principles for Object-Oriented Software Design in the PLC Programming, 2023 (Paperback). ISBN 978-3-7578-9222-7 / E-Book ISBN 978-3-7583-5614-8
- Gary L. Pratt (2021): The BOOK of CODESYS. self-published, 2021. ISBN 978-1737821403
- Prof. Dr. Birgit Vogel-Heuser (2008) Automation & Embedded Systems, Oldenbourg Industrieverlag.
- Igor Petrov: Controller Programming: The standard languages and most important development tools. Solon Press, 2007 (Russian)
- Jürgen Kaftan: "Practical Examples with AC500 from ABB: 45 Exercises and Solution programmed with CoDeSys Software". IKH Didactic Systems ISBN 978-3943211061
- Tom Mejer Antonsen: "PLC Controls with Structured Text (ST): IEC 61131-3 and best practice ST programming", ISBN 978-87-4301-855-1
外部リンク
- CODESYSのページへのリンク