AWS Budgets
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/09/07 13:52 UTC 版)
| URL | aws |
|---|---|
| タイプ | 予算管理サービス |
| 運営者 | Amazon.com |
| 営利性 | 営利 |
| 登録 | 必要 |
| 開始 | 2015年6月29日 |
AWS Budgets(エーダブリューエス バジェッツ)は、Amazon.comがAmazon Web Services(AWS)の一部として提供する、クラウド利用の予算管理サービスである。AWSの利用料金や使用量にあらかじめ予算(上限の目安)を設定し、実績またはその期間の予測が設定したしきい値を超えたときに通知を受け取れる[1][2]。2015年6月29日に予算(Budgets)と予測(Forecasts)の機能として追加され[3]、2016年10月に使用量の予算やプログラムから操作するためのAPIを備えた形に拡張された[4]。
概要
AWSは従量課金であり、利用者は実際に使った分だけ料金を支払う。そのため、利用が想定より増えると請求額も想定を超えることがある[3]。AWS Budgetsは、利用者が自分で決めた予算額と実際のコストや使用量を突き合わせ、超過またはその見込みを知らせる役割を担う[1]。IT情報サイトのTechTargetは、同じAWSのコスト管理機能であるAWS Cost Explorerがコストの内訳を分析・可視化する道具である一方、AWS Budgetsはしきい値を超えたときの通知を担うとし、Amazon CloudWatchの請求アラームもよく似た機能であるとしている[5]。
AWS Budgetsの情報は1日に最大3回、通常は前回の更新から8〜12時間後に更新される[1]。なお、リソースの利用が請求に計上されるまでには時間差があるため、費用が発生してから通知が届くまでには遅れが生じる[1]。
料金については、予算のモニタリングと通知の受信は無料である。後述する「予算アクション」を設定した予算は月あたり2件までが無料で、それを超える分と「予算レポート」の配信には料金がかかる[6]。2020年10月15日には料金体系が改められ、アクションを設定しない予算のモニタリングは無料に、アクションを設定した予算は期限のない一定の無料枠を超えた分が有料となった[7]。
予算の通知先にはAmazon SNSのトピックを指定できるため、通知を他のサービスやアプリケーションから受け取ることもできる[1][5]。これとは別に、DatadogやNew Relicなどのサードパーティーのオブザーバビリティサービス(システムの状態を外部から観測・把握するための監視サービス)は、AWSの請求と予算のデータを読み取るインテグレーションを提供しており、AWS Budgetsで設定した予算の上限額・実績・予測をメトリクス(測定値)として扱う[8][9]。
予算の種類
AWS Budgetsでは、次の種類の予算を作成できる[1]。
- コスト予算
- 支出の上限を設け、コストがしきい値に近づいたとき、または超えたときにアラートを受け取る。
- 使用量予算
- 1つ以上のサービスについて使用量の上限を設け、使用量がしきい値に近づいたとき、または超えたときに通知を受け取る。
- リザーブドインスタンスの使用率・カバレッジ予算
- リザーブドインスタンス(一定期間の利用を先に約束して割引を受ける購入方式)について、購入分が実際に使われた割合や、利用のうち予約で賄われた割合がしきい値を下回ったときにアラートを受け取る。
- Savings Plansの使用率・カバレッジ予算
- Savings Plans(1時間あたり一定額の利用を先に約束して割引を受ける購入方式)についても、同様に使用率とカバレッジの割合を監視できる。
通知とアクション
予算の期間は日次・月次・四半期・年次から選べるほか、会計年度やプロジェクトの期間に合わせて任意の開始日と終了日を指定することもできる[2][1][10]。予算額の決め方には、固定額を置く方法、期間ごとに異なる額を計画する方法、指定した過去の期間の実績から自動で算出する「自動調整予算」の3通りがある[11]。アラートは実績がしきい値を超えた場合だけでなく、期間内に超えると予測される場合にも出せる[1]。通知先は電子メールとAmazon SNSのトピック、またはその両方であり[1]、SNSのトピックをAmazon Q Developerに対応付けると、Slackなどのチャットアプリケーションでもアラートを受け取れる[12]。
予算がしきい値を超えたときには、通知に加えて処理を自動実行させることもできる。この機能は「予算アクション」と呼ばれ、IAMポリシーまたはサービスコントロールポリシー(SCP、組織内のアカウントで使える操作の範囲を定める設定)の適用と、アカウント内の特定のAmazon EC2・Amazon RDSインスタンスを対象とする操作を、自動または手動の承認を経て実行する[13][14]。
このほか、選んだ複数の予算の状況をまとめた「予算レポート」を、日次・週次・月次で指定した宛先に電子メール配信できる[15][6]。
AWS Organizationsで複数アカウントの請求をまとめており管理アカウントを所有している場合は、IAMのポリシーでメンバーアカウントによる予算の作成・編集・閲覧を制御できる[1]。
歴史
AWSは2014年に提供を始めたAWS Cost Explorerに続き、2015年6月29日に予算と予測の機能を追加した。当初はコストの予算を定義して最大3か月先までのコストを予測し、実績または予測が予算を超えたときに電子メールで通知するもので、アベイラビリティーゾーンや連結アカウント、サービス、タグによって対象を絞り込めた[3]。
2016年10月21日の更新で、コストに加えて使用量を対象とする予算、支払いアカウントあたり最大20,000件の予算、電子メールに加えたAmazon SNSでの通知、および予算を操作するAPIとコマンドラインからの設定に対応した[4]。TechTargetは2018年に、AWS Budgetsは多くのAWS利用者にとってまだなじみが薄いと述べている[16]。
その後も機能の追加が続き、2017年8月にリザーブドインスタンスの使用率に対するアラート[17]、2019年7月に予算レポートとAWS Chatbotを介したチャットへの通知が加わった[15][18]。2020年9月にはコスト予算と使用量予算でも日次を選べるようになり[19]、2020年10月に予算アクション[14]、2022年2月に自動調整予算[11]、2025年9月にカスタム期間が加わった[10]。InfoQは予算アクションについて、AWSアカウントでの意図しない使い過ぎを減らすためにAWS Budgetsをより細かく制御できるようになったと報じた[20]。
関連項目
脚注
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 “AWS Budgets によるコストの管理”. AWS請求とコスト管理ユーザーガイド. Amazon Web Services. 2026年9月7日閲覧。
- 1 2 “コストと使用量のカスタム予算を設定する – AWS Budgets”. Amazon Web Services. 2026年9月7日閲覧。
- 1 2 3 Jeff Barr (2015年6月29日). “New – AWS Budgets and Forecasts” (英語). AWS News Blog. Amazon Web Services. 2026年9月7日閲覧。
- 1 2 Jeff Barr (2016年10月21日). “AWS Budgets Update – Track Cloud Costs and Usage” (英語). AWS News Blog. Amazon Web Services. 2026年9月7日閲覧。
- 1 2 Ernesto Marquez (2026年3月9日). “Top AWS tools for cloud cost forecasting” (英語). TechTarget. 2026年9月7日閲覧。
- 1 2 “AWS Budgets Pricing” (英語). Amazon Web Services. 2026年9月7日閲覧。
- ↑ “Announcing AWS Budgets price reduction” (英語). Amazon Web Services (2020年10月15日). 2026年9月7日閲覧。
- ↑ “AWS Billing and Cost Management” (英語). Datadog Docs. Datadog. 2026年9月7日閲覧。
- ↑ “AWS Billing monitoring integration” (英語). New Relic Documentation. New Relic. 2026年9月7日閲覧。
- 1 2 “AWS Budgets now supports custom time periods” (英語). Amazon Web Services (2025年9月17日). 2026年9月7日閲覧。
- 1 2 “Introducing auto-adjusting budgets” (英語). Amazon Web Services (2022年2月17日). 2026年9月7日閲覧。
- ↑ “チャットアプリケーションでの予算アラートの受信”. AWS請求とコスト管理ユーザーガイド. Amazon Web Services. 2026年9月7日閲覧。
- ↑ “予算アクションを設定する”. AWS請求とコスト管理ユーザーガイド. Amazon Web Services. 2026年9月7日閲覧。
- 1 2 “Announcing AWS Budgets Actions” (英語). Amazon Web Services (2020年10月15日). 2026年9月7日閲覧。
- 1 2 “Introducing AWS Budgets Reports” (英語). Amazon Web Services (2019年7月9日). 2026年9月7日閲覧。
- ↑ Ofir Nachmani (2018年5月22日). “Implement AWS billing alerts to stay on budget” (英語). TechTarget. 2026年9月7日閲覧。
- ↑ “Monitor your Reserved Instance utilization by receiving alerts via AWS Budgets” (英語). Amazon Web Services (2017年8月21日). 2026年9月7日閲覧。
- ↑ “AWS Budgets Announces AWS Chatbot Integration” (英語). Amazon Web Services (2019年7月24日). 2026年9月7日閲覧。
- ↑ “AWS Budgets now offers Daily Granularity for Cost & Usage Budgets” (英語). Amazon Web Services (2020年9月16日). 2026年9月7日閲覧。
- ↑ Steef-Jan Wiggers (2020年10月29日). “Better Managing Cost in AWS with Budgets Actions” (英語). InfoQ. 2026年9月7日閲覧。
外部リンク
- AWS Budgets(日本語)
- AWS Budgets(英語)
- AWS Budgetsによるコストの管理(AWS請求とコスト管理ユーザーガイド・日本語)
- AWS Budgetsのページへのリンク