開山斧
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/13 06:16 UTC 版)
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開山斧(かいざんふ)は、中国神話に登場する聖王・禹(う)が治水事業で使用したとされる神斧。山岳を劈(ひら)き河道を開削する超自然的な力を有するとされ、後世に「自然征服」の象徴として文学・宗教儀礼で再解釈された。
神話的起源
- 治水神器
- 『拾遺記』卷二「夏禹」条に「禹鑿龍関之山,揮斧裂石,通九淵之洪流」と記述[1]。斧の威力を「雷公打鉄、雨娘淋水」と神格化する描写も見られる[2]。
- 道教儀礼
- 道教の「鎮山科儀」で悪龍・山魈(さんしょう)を封じる法器として用いられ[3]、鉱山労働者の守護神としても奉納された。
文学的展開
- 『封神演義』
- 第三十九回にて、黄飛虎の部下・周紀が「開山斧」を使用し、山道を開削する場面が描写される[4]。ただし「千鈞」の表現は武器の重量ではなく「威力」を強調する修辞である。
- 『西遊記』
- 第四回で巨霊神が「宣花斧」で花果山を劈こうとする場面は、開山斧のイメージを継承[5]。
- 構造的特徴:
- 斧身に「雷紋」や「雲文」を刻み、柄部は青銅製とされる[6]。
文化的意義
- 自然克服の象徴:
- 治水神話を通じ、古代中国の土木技術を「神意による業」として正当化する役割[7]。
- 労働信仰の対象:
- 鉱夫・治水工事従事者が安全祈願のため「開山斧」の小像を携帯する習俗が明代まで残る[8]。
関連項目
脚注
- ^ 王嘉『拾遺記』卷二「夏禹」条
- ^ 『越絶書・外伝記宝剣』
- ^ 『道蔵・正一部』「鎮山秘法」
- ^ 許仲琳『封神演義』第三十九回
- ^ 呉承恩『西遊記』(人民文学出版社、1955年)第四回「官封弼馬心何足」
- ^ 李約瑟『中国の科学と文明』第5巻(冶金篇)
- ^ 魯迅『中国小説史略』(岩波文庫、2001年)「神話と伝説」
- ^ 宋応星『天工開物』「錘鍛・斧鑿」条(1637年)
外部リンク
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