城みさをとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 城みさをの意味・解説 

城みさを

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/17 09:03 UTC 版)

じょう みさを

城 みさを
生誕 1913年4月27日
死没 2018年1月10日(満104歳没)
職業 染織家、教育者
著名な実績 さをり織りの創始・普及
テンプレートを表示

城 みさを(じょう みさを、1913年〈大正2年〉4月27日 - 2018年〈平成30年〉1月10日)は、日本の染織家、教育者。「さをり織り(SAORI)」の創始者として知られる。大阪府堺市出身。57歳から独学で手織りを始め、1960年代末に「布を織るのではなく、自分を織る」という理念を掲げた自由織りの運動を提唱し、国内外へ普及させた。

生涯

大阪府堺市に生まれる。主婦業のかたわら57歳で手織りに取り組む。1968年に大阪府和泉市で独自の手法と理念を提示し、「さをり織り」としての創始年は1969年。その発端として、タテ糸が1本抜けた「傷もの」と見なされたショールを欠陥ではなく美として評価し直した体験が語られており、のちの「キズも個性とする」美意識につながった。1970年代は一般の主婦層に指導を広げた。1980年代からは障害のある人への指導・就労支援にも活動を拡大した。 こうした実践は1990年代以降の生涯学習やインクルーシブな芸術活動の場でも取り入れられ、教育・福祉領域での活用が研究対象となっている。 2018年1月10日、老衰のため死去。満104歳。葬儀は近親者で執り行われ、同年3月に「偲ぶ会」が開かれた。

思想と手法

城は「布を織るのではなく、自分を織る」と掲げ、規則性や均一性よりも、偶然性・不均整・などの従来の一般的手織りでは否定されていた価値観に、織り手の個性と生命感を見いだした。「見本がない/間違いがない」という原則は、作り手の感性(感力)を「教えないで引き出す」指導法と一体化し、教育・リハビリ・コミュニティ形成の場で受容された。また、理念を要約する「さをり四つの願い」として、①機械と人間の違いを考えよう、②思い切って冒険しよう、③キラキラと輝く目を持とう、④グループのみんなで学ぼう、提唱した。

普及と影響

城の方法は国内外で広がり、家族・学校・福祉事業所・市民講座・アートスペースなど多様な場で実践された。国内拠点(手織適塾・さをりの森 ほか)を通じ、海外にも学習・展示・ワークショップのネットワークが形成された。国内外での普及は「世界50か国以上」に及ぶ。

受賞・顕彰

さをり織りの社会的普及により、1990年に厚生大臣表彰、1992年に内閣総理大臣表彰、2016年に和泉市宝賞。

著作

  • 『私の手織り—自由な発想を生かす基礎技術から応用まで』 中経出版、1977年。ISBN 4806100668
  • 『わたし革命—感性を織る』 神戸新聞出版センター、1982年。ISBN 4875216106
  • 『さをり織り好きですねん—心障者に手織りを』 ぶどう社、1986年。ISBN 4892400629
  • 『私の手織り「Saori」—布を織るのではなく、自分を織る』 ぶどう社、1989年。ISBN 4892400874
  • (共著:城研三)『新・私の手織りSAORI—布を織るのではなく、自分を織る』 ぶどう社、2000年。ISBN 4892401447

脚注




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  城みさをのページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「城みさを」の関連用語

城みさをのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



城みさをのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの城みさを (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS