分散音響センシング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/25 13:45 UTC 版)
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DASの仕組みを示す図解。光ファイバーを使って音響波を検出する技術の基本動作を視覚的に説明している。レーザーパルスがファイバー内を進み、散乱光が戻る過程を示し、音響信号の検知原理を理解しやすくしている。
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分散型音響センサリング(英語: Distributed Acoustic Sensing、略称 DAS)は、光ファイバーケーブルを広範囲にわたる音響センサーとして利用する技術である。ファイバー内を進むレーザーパルスの散乱光を分析し、振動や音波を高解像度で検出する。
原理
DASは、レイリー散乱(Rayleigh scattering)を利用している。ファイバー内を通過するレーザーパルスは光ファイバーの微細な不均一により散乱され、一部の光が送信源に向かって戻る。これらの散乱光の時間遅延と変化を検出し、ファイバーの各区間での音響振動をリアルタイムに解析する。
用途
- インフラ監視:パイプラインや送電線の異常検知
- 地震観測および地質調査
- 境界警備および周辺監視
- 鉄道や道路の交通監視
- 石油・ガス産業における漏洩検知
利点
- 広範囲にわたる連続的な監視が可能
- 電気的信号を使わないため、電磁干渉に強い
- 既存の光ファイバーインフラを活用可能
参考リンク
- FOTASによる分散型音響センシング技術の詳細
- "Distributed Acoustic Sensing for Pipeline Monitoring", IEEE Transactions on Instrumentation and Measurement, 2018
- "A review of distributed acoustic sensing technology and its applications", Optics Communications, 2018
- "Distributed acoustic sensing for seismic monitoring of near-surface processes", Nature Communications, 2019
参考文献
- 分散音響センシングのページへのリンク