ブラック–リッターマン・モデル
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ブラック–リッターマン・モデル(英: Black–Litterman model)とはファイナンスにおけるポートフォリオ選択についての数理モデルである。証券会社のゴールドマン・サックスに所属していたフィッシャー・ブラックとロバート・リッターマンによって1990年に考案され、1992年に出版された。ブラック–リッターマン・モデルでは、機関投資家が現代ポートフォリオ理論を実践するに当たって出くわす問題が克服されている。ブラック–リッターマン・モデルは代表的個人の資産配分が利用可能な資産の時価に比例しているという均衡の仮定に立脚しており、オーダーメイドの資産配分をもたらすために、投資家の'view'(つまり、資産のリターンについての特定の意見)を考慮にいれるようになっている。
背景
資産配分とは、少数のアセットクラス(例えば6つから20個)へのポートフォリオを決めなくてはならない投資家が直面する意思決定である。例えば、国際的な年金基金はメジャーな国ないしは地域(の国債)にどのように配分すべきかを決めなくてはならない。
原理的には現代ポートフォリオ理論(ハリー・マーコウィッツの平均分散分析)は期待リターンと資産の共分散がひとたび分かってしまえば、この問題を解決できる。しかし、現代ポートフォリオ理論は重要な理論的進展である一方でその実用においては一般に次の問題に出くわす。少数の資産の共分散は適切に推定されているものの、期待リターンのもっともらしい推定値を導くのは難しいという問題である。
ブラック–リッターマン・モデルは、期待リターンの推定値を必要としないことでこの問題を解決した。そのかわり、当初の期待リターンは均衡における資産配分が市場で観測されるものと同じとなるような期待リターンであると仮定する。よって期待リターンが市場で観測されるリターンとどれほど違うのかと、代替的な仮定をどれほど信用するのかの程度のみが必要となる。このため、ブラック–リッターマン・モデルは望ましい(平均分散的に効率的な)資産配分が計算可能になるのである。
一般に、ポートフォリオについての制約がある時、例えば、空売りが許容されない時、最適なポートフォリオを組むもっとも簡単な方法は資産の期待リターンを作るためにブラック–リッターマン・モデルを用いて、平均分散分析によって制約つき最適化問題を解くことである。[1]
数式での表現
ブラック–リッターマン・モデルはベイズ統計学のテクニックを利用したものとなる。以下ではSatchell and Scowcroft & (2000)よりブラック–リッターマン・モデルの数式表現を説明する。
まず、市場には
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