PV-1 (航空機) 開発

PV-1 (航空機)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/30 08:39 UTC 版)

開発

沿岸哨戒機としてロッキード・ハドソンを大量発注していたイギリス海軍は、ロッキード社に対してハドソンの後継機となるさらに強力な哨戒爆撃機の開発を要請した。ロッキード社への発注は1940年に行われ、ロッキード社では、L-18 ロードスターをベースとした機体をModel37の社内名称で開発した。

基体となったロードスターはハドソンの原型であるロッキード L-10 エレクトラ旅客機の改良型であるスーパーエレクトラの発展型ということもあり、ベンチュラの機体形自体はハドソンに類似していたが、エンジンは強力なプラット&ホイットニーSIA4-G ダブルワスプ(離昇出力1,800馬力)を搭載した。武装は機首前面の爆撃手席に連装の7.7mm機関銃、胴体背面にボールトンポール製7.7mm連装動力機銃塔の位置を変更して射界を改良し、胴体後方下面にも本格的な7.7mm連装の銃座が設けられた。爆弾搭載量は爆弾倉に2,500ℓb(1,135Kg)である。イギリス軍はこの機体にベンチュラVenturaアメリカの都市名)という愛称を与え、生産された型をベンチュラI(またはベンチュラMK.1)と呼んだ。

ベンチュラは合計675機が発注され、試作1号機は1941年7月に初飛行した。しかし、同年の暮れには対日戦が開戦、ロッキード社はアメリカ本国向けの各種軍用機の開発と生産に全力を傾けねばならなくなり、生産の遅れから1号機がイギリス軍に引き渡されたのは1942年の夏のことであった。

ベンチュラIは発注された675機のうち188機生産されたところで発展型のベンチュラII(またはベンチュラMK.2)の生産に切り替えられることになった。ベンチュラIIはエンジンがさらに強化され、民間型から軍用型のR-2800-31ダブルワスプ(離昇出力2,000馬力)に換装され、武装もベンチュラIと同じだったが、生産200機目から規格を米軍仕様に改め、これをベンチュラIIAと呼称した。

ベンチュラIIAは機首をソリッドノーズ化して12.7mm機関銃を2挺固定配置して、機首下に12.7mmを3挺固定装備するガンパックを追加。旋回機銃塔をマーチン社製に換装して12.7mm連装に強化。下面の銃座も7.62mm機関銃連装に換装した。爆弾搭載量も3,000ℓb(1,363Kg)に増加し、爆弾倉内へ2,953ℓ入りのフェリータンクが装備可能となり、これは必要に応じて1,855ℓ入りの二分割式フェリータンクと交換可能だった。なお、フェリータンクは爆弾倉を占有するので使用時は爆裝不可能になる(二分割式は片方だけ使えば、搭載量は半減するが爆裝可能になる)。

機体自体の燃料搭載量もベンチュラIIから増加しており、5,090ℓから6,083ℓになり、標準で外翼下面に587ℓ入りの増槽が1本ずつ懸架可能になった。主翼には各4基の5inロケット弾(HVAR)が懸架可能になり、爆弾倉に爆弾に変えてMk13魚雷、または11,75in大型ロケット弾ティニー・ティムが搭載可能になっていた。これらは重量的には2本搭載可能だが、爆弾倉のサイズが小さいので1本しか搭載できず、後のPV-2では爆弾倉が拡大される原因となった。

イギリス空軍の発注分の残り487機がベンチュラIIとして完成したが、この内イギリス空軍に引き渡されたのは196機だけで、残りは本機に注目したアメリカ軍により買い上げられ、陸軍と海軍により装備された。イギリス空軍ではさらに200機の追加発注を行ったが、これもイギリス空軍に引き渡されたのは25機のみで、残りはアメリカ陸軍に引き渡された。







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