P-38 (航空機) 派生型

P-38 (航空機)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/14 00:58 UTC 版)

派生型

機体性能や装備に変更がない場合は記述を省略。

YP-38

  • 最高速度:630 km/h
  • 発動機:アリソンV-1710-17/29(それぞれ右/左エンジン、以下同じ)、離昇出力1,150馬力
  • 全備重量:6,900 kg
  • 武装:T-9 37 mm 機関砲×1(弾数15発)、AN/M2 12.7 mm 機関銃×2(弾数、各200発)、AN/M2 7.62mm機関銃×2(弾数、各500発)
  • 生産数:13機

武装を施した増加試作機。胴体ブームのラジエーターが外側のみであったのを、両側に装備して冷却能力を高めている。また発動機を左右入れ換えて、XP-38とはプロペラ回転方向が逆回りとなり、以後、標準となった。

P-38

  • 武装:T-9 37 mm 機関砲×1(弾数15発)、AN/M2 12.7 mm 機関銃×4(弾数、各200発)
  • 生産数:36機

初期生産型。武装が変更され、操縦席後方に防弾鋼板が装備された。本来は66機発注されたが、内30機はP-38Dに振り分けられ、完成したのは36機のみだった。後に1機が与圧キャビンを装備したXP-38Aとして改修されている。

P-38D

P-38に防弾燃料タンクを装着。水平尾翼の取り付け角度を変えて、XP-38以来続いていた尾部のバフェッテング(振動)を改善したモデル。なお、P-38BとC型は欠番である。

P-38E

  • 武装:M1 20 mm 機関砲×1(弾数、150発)、12.7 mm機関銃×4(弾数 各500発)

実戦投入を想定し、それまでの37mm級大口径砲の搭載を諦め、発射速度が高く装弾数も多い20mm機関砲へ武装を換装したタイプ。プロペラをハミルトン油圧式からカーチス電動式に変換。1941年10月に量産機がロールアウト。生産数は210機。生産された機のうち99機が武装をカメラ4台に置き換えた写真撮影偵察機に改造され、F-4と名づけられた。

P-38F

  • 最高速度:650 km/h
  • 航続距離:3,100 km
  • 発動機:アリソンV-1710-49/53、離昇出力1,225馬力

1942年4月より生産開始。エンジンを離昇出力1,225馬力にパワーアップ。合計900kg(2,000ポンド)の爆弾か燃料タンクを搭載するために爆弾倉を双胴に設置し、空戦フラップを装備。生産数は527機。内20機が、非武装の写真偵察機型F-4Aへ改造された。

P-38G

P-38G
  • 発動機:アリソンV-1710-51/55、離昇出力1,325馬力
  • 航続距離:3,800 km

1943年前期頃からP-38Fに続いて1,082機が生産された。1,325馬力に出力を向上したアリソンV-1710-51/55エンジンと性能向上した通信機を搭載。181機が非武装の写真偵察機F-5Aに改造されている。

P-38H

  • 発動機:アリソンV-1710-89/91、離昇出力1,425馬力
  • 航続距離:3,640 km
  • 爆装:1,450 kg(3,200ポンド)

G型のパワーアップタイプ。601機生産された。同じく写真偵察機仕様のF-5Cに128機が改造。

P-38J

I型は欠番。インタークーラー(中間冷却器)の位置を変更し、電動式ダイブブレーキを装備した。1943年8月に生産を開始。生産数は2,970機。また、本型を改修し、武装を全廃して機首に爆撃手席を設けたパスファインダー(爆撃先導機)型「ドループスヌート」や、爆撃照準レーダーを搭載した「ミッキー」が若干生産されている。他、写真偵察機F-5Eとして205機が改造。

P-38K

  • 発動機:V-1710-75/77エンジン、離昇出力1,425馬力

1機のみ作られた試作機。G型の機体にV-1710-75/77エンジンを搭載し、出力の向上を図った機体。

P-38L

  • 最高速度:667 km/h
  • 発動機:アリソンV-1710-111/113、離昇出力1,475馬力(水噴射時、1,600馬力)
  • 航続距離:4,180 km

P-38シリーズで最多の3,923機が生産された。113機はバルティ社で生産され、P-38L-VLと呼称された。エンジンは水噴射装置付きとなり、数分が限界であるものの、ブースト時は実に1,600馬力を発生した。P-38Lは900kgの爆弾か1,140リットルのドロップタンクを搭載するためのパイロンを備えた。また油圧ダイブフラップと補助翼を装備し、それらは高速時に効果を発揮した。翼下へ各5発ずつ、対地攻撃用の5インチロケット弾を搭載できるクリスマスツリー型のランチャーを装備可能になった。他、本型をベースに写真偵察型のF-5Eが500機。F-5F(機数不明)。F-5Gが64機改造されている。

P-38M

最終生産型の夜間戦闘機。機首下へレーダーポッドを装備し、機首武装を確保するために中央胴体後部へレーダー手席を設置。L型の生産ラインから74機が改造された。1945年2月5日に初飛行したため、活動時期は主に戦後となったが、間もなくより高性能な全天候双発戦闘機P-82「ツインムスタング」が戦力化されたために活躍期間は短かった。

XP-58

P-38をベースに開発された複座長距離戦闘機。1944年に試作機が初飛行したが、その後開発中止となった。


  1. ^ Knaack MS (1978). Encyclopedia of US Air Force aircraft and missile systems. Office of Air Force History 
  2. ^ 坂井三郎、『大空のサムライ上-死闘の果てに悔いなし』、講談社<講談社+α文庫>、2001年4月20日、187頁。
  3. ^ ジョー・クリスティ 1984, p. 232
  4. ^ ジョー・クリスティ 1984, pp. 218–220
  5. ^ ジョー・クリスティ 1984, pp. 212–213
  6. ^ a b 鈴木五郎 1976, p. 91
  7. ^ ジョー・クリスティ 1984, p. 97
  8. ^ ジョー・クリスティ 1984, p. 161
  9. ^ ジョー・クリスティ 1984, p. 163
  10. ^ a b ジョー・クリスティ 1984, p. 181
  11. ^ 鈴木五郎 1976, p. 97
  12. ^ 鈴木五郎 1976, p. 100
  13. ^ Flying Magazine 1946年2月 P.108
  14. ^ 秦郁彦 『太平洋戦争航空史話 (上)』 中央公論社、1995年、pp.43-46, 50-52
  15. ^ Loftin, LK, Jr.. “Quest for performance: The evolution of modern aircraft. NASA SP-468”. 2006年4月22日閲覧。





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