阪神8701・8801・8901形電車 阪神8701・8801・8901形電車の概要

阪神8701・8801・8901形電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/20 16:01 UTC 版)

阪神8701・8801・8901形電車
8901形 尼崎駅にて(2007年)
基本情報
運用者 阪神電気鉄道
製造所 武庫川車両工業
種車 3801・3901形
製造年 1974年 - 1977年
改造年 1986年
改造数 6両
運用終了 2008年
廃車 2009年
主要諸元
編成 6両編成 (4Ⅿ2T)
最高運転速度 106 km/h
設計最高速度 110 km/h
車両定員 先頭車140人 中間車150人
自重 37.5t - 30.0t
全長 18,880 mm
(8902のみ18,980 mm)
全幅 2,800 mm
全高 8701・8901形 4,067 mm
8801形 4,089 mm
制御装置 三菱電機製 ABFM-138-15-MDHA
保安装置 阪神・山陽・阪急形ATS
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概要

1974年に西大阪線延伸用として登場した急行用車両の3801・3901形は、1977年までに4両編成3本の12両が製造されたが、1986年に第1編成の4両が脱線事故の頻発により廃車となり、6両編成での運転時に併結していた3501形の老朽廃車も開始された[3]。1984年には6両固定編成の8000系が登場しており、本線の急行用車両は将来的に6両編成に統一される方向にあった[3]

第1編成4両の廃車で4両編成2本の8両が残った3801・3901形は、6両編成1本に組成変更されることとなった[3]。3903Fの大阪方3両と3905Fの神戸方3両を組み合わせ、本線急行用として改造・改番が行われたのが8701・8801・8901形である[3]。残る先頭車2両は、1両を電動車化の上で武庫川線専用として7890・7990形の2両編成1本に改造されている[2]

改造内容

ユニット端部となる8701の神戸方と8802の大阪方に簡易運転台が設置され、連結器は従来の棒連結器からバンドン型密着連結器に変更された[4]。先頭車の8902の車体側にあったジャンパ栓受は撤去された[5]

形式変更後も性能に大きな変化はなく、制御方式も従来の抵抗制御のままである[1]。補機類の配置にも変更はなく、電動発電機 (MG) は70kVAのCLG-346を8701・8901・8902の3両に、空気圧縮機 (CP) はDH-25Dを8701・8901に、C-2000-Mを8902に引き続き搭載した[6]

神戸方先頭車の8902は3906が種車であるため、大阪方先頭車の8901(旧3903)より車体長さが100mm長くなっている[2]

大阪方ユニットと神戸方ユニットの間に母線が引き通されたため、8802の神戸方パンタグラフが撤去された[7]。パンタグラフ撤去跡への冷房装置の増設は行われず、8802の冷房装置搭載数は6個のままである。

内装では、客室の化粧板が8000系タイプII以降と同じベージュ系ドット模様に改装された[2]

本形式の改造内容は、翌1990年から実施された7001形および7801形3次車の2000系への改造時に応用のうえ採り入れられた。

編成構成

編成は3両ユニットを2組組み合わせた Tc-M-M'+M-M'-Tc の6両編成である[2]。末尾奇数番号のユニットが大阪方に、偶数番号が神戸方に連結されるのは8000系と同様であるが、ユニット間は8000系とは異なり背中合わせになっていない。

形式は両端の制御車が8901形、中間電動車のうちパンタグラフを搭載している車両は8801形、パンタグラフのない車両は8701形にそれぞれ改番された。6両編成で車両番号が8000番台であるなどの8000系との類似点から、社内の乗務員の間では「ニセ8000」と呼ばれることもあった[8][3]

新旧車両番号の対応は以下のとおり[9]

車両番号対照
梅田
元町
竣工[10] 備考
車種 クハ

Tc

モハ

M

モハ

M'

モハ

M

モハ

M'

クハ

Tc

新番号
(旧番号)
8901
(3903)
8801
(3803)
8701
(3804)
1986年9月24日  
8802
(3805)
8702
(3806)
8902
(3906)
1986年8月7日  

  1. ^ a b レイルロード『サイドビュー阪神』48頁。
  2. ^ a b c d e 阪神電車鉄道同好会「私鉄車両めぐり (157) 阪神電気鉄道」『鉄道ピクトリアル』1997年7月臨時増刊号、195頁。
  3. ^ a b c d e f 河渕則彦「阪神赤胴車(急行用高性能鋼製車)の系譜」『鉄道ピクトリアル』2020年10月号、p.20。
  4. ^ a b 阪神電車鉄道同好会「私鉄車両めぐり (157) 阪神電気鉄道」『鉄道ピクトリアル』1997年7月臨時増刊号、196頁。
  5. ^ a b レイルロード『サイドビュー阪神』49頁。
  6. ^ レイルロード『サイドビュー阪神』52頁。
  7. ^ a b レイルロード『サイドビュー阪神』50頁。
  8. ^ a b 木下和弘「赤胴車時代の乗務日誌あれこれ」『鉄道ピクトリアル』2020年10月号、p.88。
  9. ^ 阪神電車鉄道同好会「私鉄車両めぐり (157) 阪神電気鉄道」『鉄道ピクトリアル』1997年7月臨時増刊号、193頁。
  10. ^ 「阪神電気鉄道車両履歴表(高性能車以降:1954年〜)」『鉄道ピクトリアル』1997年7月臨時増刊号、電気車研究会。218頁。
  11. ^ レイルロード『サイドビュー阪神』53頁。
  12. ^ 阪神8901形が東二見へ 鉄道ニュース(railf.jp)、2008年11月24日。
  13. ^ a b ジェー・アール・アール編『私鉄車両編成表 2009』交通新聞社、2009年、175頁。
  14. ^ 孤高・8901形が引退 まにあっく・阪神 2009年2月(ウェブアーカイブ
  15. ^ ジェー・アール・アール『私鉄車両編成表 '06年版』2006年、130頁。


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