マイケル・マイヤーズ リメイク版『ハロウィン』

マイケル・マイヤーズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/01 01:40 UTC 版)

リメイク版『ハロウィン』

リメイク版の『ハロウィン』では、マイケルが殺人鬼へと変貌した経緯やその家庭環境について、より鮮明に描かれている。比較的にマイケルに優しく接する母親は、ストリッパーとして活躍し生計を立てていたが、居候している母親の愛人ロニーは職にも就かず自堕落な日々を送っていながらマイケルを邪魔者扱いし、姉のジュディスに至ってはいつも男友達を自宅に引き込んでマイケルを馬鹿にしてばかりで、マイケルにとって唯一心を許せる存在は、まだ赤ん坊の妹のローリーだけであった。このような劣悪な家庭環境から、やがて幼いながらも、マイケルは動物を八つ裂きにすることで、そのストレスを解消するようになった。

ハロウィン前日、マイケルは、自分の母親を侮辱したうえにジュディスが不純異性交遊で先生から大目玉を食らったことをネタにゆすってきた学校のいじめっ子を木の枝を使って撲殺し、ハロウィンの日には、母親の愛人の喉を包丁でかき切り、ジュディスの男友達を金属バットで撲殺。後にトレードマークとなる白塗りのハロウィンマスクを被り、ジュディスを包丁で殺害する。

そして、精神病院に収容され、ルーミス医師の治療を受けるが、徐々に内に秘められた魔性が開花していき、最終的に成人時に殺人鬼へと変貌した。母親はマイケルが精神病院に収容されて以降、たびたび息子に面会しに行くが、世間から「悪魔の母親」と言われることに疲れ、さらには凶暴化したマイケルが看護師に襲い掛かる姿を見て、絶望。優しい笑顔を浮かべていた幼い頃のマイケルの映像を泣きながら見て、まだ赤ん坊のローリーを残して拳銃自殺した。残されたローリーを不憫(ふびん)に思った警官によって、彼女は身元不明の孤児として病院に届けられた後、ストロード夫妻に引き取られた。

リメイク作品ではあるが、本作の設定は旧作に完全に準じたものではなく、旧作の設定を大幅に脚色している。そのことを最も顕著に表しているのがマイケルがローリーへは殺意を抱いていない点にある。旧作ではマイケルは妹であるローリーの殺害を目的に行動していたため、彼女を見つければ、すぐさま、包丁を振りかざしていたが、本作では彼女を見つけても殺害せず自身の生家に連れ込もうとする描写が目立つため、妹との再会が行動目的であると言える。原作版での『ハロウィンII』以降は、声も出さず息の音もしなかったが、リメイク版では幼少期には普通に会話をして、成人期は会話こそしないものの、人を殺す際にうなり声を上げている。また、原作版と異なって車の運転もしない。成人後の素顔は旧作と違って髪や髭(ひげ)が顔を覆い被すほど非常に伸びており、その外見から27歳の設定でありながら中年男性にも見えている。

白塗りのハロウィンマスクに作業つなぎの外見は原作と同じであるが、『ハロウィンII』からはその上にフード付きのコートを着ている。殺人をしていない普段はマスクを外しており、自分に絡んできた相手などに殺意を抱いた時に、マスクを被って殺人を行う。

リメイク版『ハロウィン』には、監督の意向でカットされた別のエンディングが存在する。マイケルがルーミス医師の説得に応じ、最後は恐怖に怯(おび)える妹を見かねて、凶器である包丁を放り棄てるという結末であった。以上のことから、本作のマイケルは旧作よりは理性が働き、人間味のある人物として描かれている。

リメイク版の『ハロウィンII』にも、監督が個人的に再編集を行ったアンレイテッド版が存在。マイケルが素顔を見せているシーンが非常に多く、殺人前後の描写においても異なるものがある。エンディングも大幅に変更されており、納屋でルーミスともみ合いになって壁を突き破り、失神しているルーミスに止めを刺そうとするものの、警官隊からの一斉射撃を受けて死亡する結末である。また、死の間際、マイケルは成人になって初めて言葉を喋っている。


  1. ^ Fischoff, Stuart; Dimopoulos, Alexandra; Nguyen, François & Gordon, Rachel (June 1, 2003). “The Psychological Appeal of Movie Monsters”. Journal of Media Psychology 22 (4): 401–426. doi:10.2190/CJ94-83FR-7HQW-2JK4. 


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