ビリヤード ビリヤードのプレイ

ビリヤード

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/12 12:55 UTC 版)

ビリヤードのプレイ

ビリヤードのゲームのほとんどは二人(それ以上のこともある)で行い、一方のプレイヤーがミスショットをすることによってプレイヤーが交代する。言い換えると相手が失敗しない限り自分がプレイすることはできないし、自分が失敗しない限り主導権を握り続けることができる。それはすなわちビリヤードとはいかにミスショットをしないゲームかということを表すともいえる(ここでいうミスショットとは、ファウルのほかに得点とならないショットを含む)。ナインボールで例えるならば、バンキングによって先攻を得た後、1番から9番までノーミスで突き切り、それを定められたセット数繰り返すことが一番確実な勝利方法といえる。

ミスショットをしないためには常に正確な狙い(エイミング)、ショットを毎回行う必要があるが、非常に強いプレッシャーのかかる場面においては普段どおりのショットができないことも多い。どのような局面であっても一定の精神状態を保ち続けることが安定したショットをする上で重要となることから、ビリヤードはメンタル・スポーツであるとされている。

またあるショットによって得点を上げたとしても、その次のショットを行うに当たってどの位置に手球を持っていくと自分にとって有利になるのかを考えておく必要があり、これをポジショニング・プレーと言う。 ポケット競技では的球をポケットし、手球を次の的球を狙いやすい位置に持っていくことを「ネキストを出す」と表現する。ネキストとは「next」(ネクスト)がなまったものと考えられており、「ネキ」と省略することも多い。ポジショニング・プレイを「ネキ出し」と言うこともある。ポケットすることを「入れ」、ポジショニングプレーを「出し」と言うこともある。 キャロム競技ではポケット競技と異なり、テーブルの上から的球が消えることはないため手球の止まる位置だけではなく、的球が止まる位置や、それぞれの球が走るコースなども考慮しなければならず、より高度なポジショニング・プレーが求められる。3つ球、4つ球競技において極力球の位置を動かさずに連続して得点を上げるセリー突きもポジショニング・プレーの一つといえる。

マナー

各ゲーム共通のマナーとして以下のようなものがあげられる。

  • くわえタバコでプレイしない。
  • テーブルに飲食物を置かない。
上記2点についてはビリヤードのラシャを参照。
  • 空いているテーブルにもたれない。
  • プレイヤーの意識を引くような言動をしない。
大声で騒いだりしないことも当然であるが、他のプレイヤーの正面あたりに入り込まないように心がける、やむを得ず入ってしまった場合はむやみに動いたりしないことが推奨される。
  • 道具を乱暴に扱わない。
  • カラーボールをキューで突かない。

体格差について

ビリヤードは非常に大きなテーブルを使用するため、どうしても手の届かないところに手球が行くことがある。身長の高い人間・手足の長い人間は小柄な人間・手足の短い人間よりもそういう場合は普段と同じフォームでプレイできる範囲が大きくなるため、若干有利になるといえる。また威力のあるブレイクや強い回転をかけるショットを求める場合は、ある程度の筋力と体重があったほうがのぞましいとされる。

しかしどれほど大柄な人間であっても手球と的球の位置によってはレスト(メカニカル・ブリッジ)を使わざるを得ない状況になるため[注 8]、大柄な人間が小柄な人間より圧倒的に有利であるとは言い切れない。また車椅子を使用するプレイヤーもいることから、プレイヤー自身の努力によって肉体の体格差をかなりのところまで跳ね返すことができると考えられる(これはプロのビリヤード選手をみても、体格などに統一性が見られないことからも推測できる)。

ビリヤードにおいては体格差よりも、正確なショット、プレッシャーに負けない精神力の方が重要といえる。


注釈

  1. ^ 「POOLPLAYER ISABU」(著:山下東七郎)によると、ビリヤードの才能の一つとして「決して揺れない心」と表現されている。
  2. ^ ロバートバーンが自著で語ったところによれば「ビリヤードの要素の大半は精神力と集中力で占められる」としている。ロバートバーン(1999) p.33
  3. ^ 日本では緑や青地のラシャを見かけることがほとんどであるが、赤やベージュといった色も存在する。
  4. ^ ポケットビリヤード用の9フィートテーブルはスレート重量も併せて総重量が400kg程度になる。
  5. ^ 9フィートサイズのポケットテーブルは概ね3枚のスレートで構成される。
  6. ^ 英語ではshotと表現されるが、日本では「打つ」と表現されることは少ない。
  7. ^ キャロム競技では黄色のものを利用している場合もある。また、ロシアン・ピラミッドでは的球が全て白色となっているためバーガンディなどの色を使っている。
  8. ^ 人によっては状況次第で利き腕と逆のフォームを作ってプレイする人もいる
  9. ^ ショット毎にどちらの白球でも自由に選んで撞いて良い「エニーエニー」と呼ばれるルールも存在する
  10. ^ プールという言葉には長年悪いイメージがついていたが、それは競馬の「ノミ屋」を指す言葉 poolroom の意味合いが変化したため。観客がレースの合間に遊べるようにノミ屋達がビリヤード台を設置したことが始まりである。長い時間を経て poolroom は「ビリヤードをするための部屋」という印象が強くなり、ビリヤードは次第にギャンブル色が強いものへと認識されるようになった(以上はCUE'S(2006年5月号 p.114)の記述を参照)。また「pool」という単語自体にも「プール賭博」という意味がある。
  11. ^ 1950年代のアメリカでは10フィートサイズのものが公式テーブルとして採用されていた。(CUE'S(2007年7月号 p.25)を参照のこと)
  12. ^ 全日本ポケットビリヤード選手権大会は主なアマチュア全国大会の優勝者や、国内オープン戦のベストアマなどに限定される。
  13. ^ 作者死去のため未完という説が流れたが、実際は原稿を落とし続けたことで連載中止となった。1~4巻のみ刊行。

出典

  1. ^ 千葉国体資料:ビリヤード競技のご紹介
  2. ^ 赤垣 昭『図解コーチ ビリヤード』成美堂出版、1987年4月10日、165頁。ISBN 4-415-00249-8 
  3. ^ NBAルールブック(初版、キャロムビリヤード競技規定 第2章 第2条 第3項、および第4項)
  4. ^ Billiard Wave(2002/03/16放送)
  5. ^ [1]
  6. ^ 『キング・オブ・ザ・ハスラー』(谷津太郎)で詳しく描写されている。
  7. ^ 袴田p.93
  8. ^ 新村p.1674





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