カエル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/20 16:55 UTC 版)
飼育上の注意
カエルツボカビ症による両生類の絶滅が危惧されている。致死率は種類によっては90%にもなる。麻布大の宇根有美助教授(獣医病理学)は、「飼っている両生類に異変があれば、すぐに獣医師などに相談してほしい。水の管理が最も重要で、水槽の水を消毒せずに排水溝や野外に流さないでほしい」と訴えている[17]。日本産の両生類についても、その蔓延が危惧されたこともあり、実際に多くの地域で存在が確認されている。ただし、それによる被害の報告はない。むしろ、元々日本にも生息していたものらしいと考えられるに至っている。
食物連鎖とカエル
自然界の食物連鎖の中でカエルは下位の昆虫類や節足動物類の捕食者としての位置づけだけでなく、上位の多くの生物に対する餌としてもカエルの占める位置は非常に重要である。ヘビ、鳥類などの餌となり[注釈 2]、陸上における食物連鎖を支えている。特に日本に於いては、耕作農地面積の多くの部分が水田であり稲作の害虫となるウンカを始めとする昆虫類、様々な伝染病を媒介する蚊を含めた生物を大量に捕食し上位生物の餌となっている。水田の圃場整備をする際は、カエルの生息環境に考慮した工法が望まれる[18]。
進化
2020年にカエル改め無尾類の2億年あまりの進化に関する包括的な研究が発表された。この研究は2434種もの無尾類を調べた結果、成長に際して遊泳期 (俗に言うオタマジャクシ) を持つ種は、遊泳期を持たない種 (卵胎生の種) に比べて身体が大きい傾向が強いことが示された。また餌に脊椎動物を含む種 (例→ウシガエル) は、含まない種 (例→アマガエル) よりも身体が大きい可能性が高いことも示されている。こうした研究により無尾類は他の四肢動物とは全く違う地理的・生態学的適応を遂げていたことが判明した[19]。
脚注
注釈
出典
- ^ a b c d e f g h 日本爬虫両棲類学会 (2020) 日本産爬虫両生類標準和名リスト(2020年11月16日版). http://herpetology.jp/wamei/ (2020年12月17日閲覧)
- ^ a b c d e f g h i j Anthony Arak 「カエル類」松井正文訳『動物大百科 12 両生・爬虫類』深田祝監修 T.R.ハリディ、K.アドラー編、平凡社、1986年、42 - 63頁。
- ^ Skulls gone wild: How and why some frogs evolved extreme heads https://www.floridamuseum.ufl.edu/science/how-frogs-evolved-extreme-skulls/
- ^ “Amphibiaweb”. 2014年12月12日閲覧。[出典無効]
- ^ a b フジテレビトリビア普及委員会『トリビアの泉〜へぇの本〜 2』講談社、2003年。
- ^ Grant, Rachel A.; Chadwick, Elizabeth A.; Halliday, Tim (2009-08-01). “The lunar cycle: a cue for amphibian reproductive phenology?” (英語). Animal Behaviour 78 (2): 349–357. doi:10.1016/j.anbehav.2009.05.007. ISSN 0003-3472 .
- ^ a b c 倉本満 「すべてのオタマジャクシ期を経るわけではなく、繁殖様式は変化に富み多様である。」『動物たちの地球 両生類・爬虫類 3 トノサマガエル・モリアオガエルほか』第5巻 99号、朝日新聞社、1993年、66-67頁
- ^ 21世紀研究会 (2004, p. 235)
- ^ a b 嶋内博愛、松枝到(編)「カエルをめぐる象徴性:グリム童話集を起点に」『象徴図像研究:動物と象徴』 言叢社 2006 ISBN 4862090079 pp.147-168.
- ^ 齋藤 & 阿久根 (1997)
- ^ “歌舞伎用語案内 照明と音響”. 松竹、国立国会図書館、歌舞伎. 2020年1月2日閲覧。
- ^ “身近な音具たち かえる”. 京都教育大学. 2020年1月2日閲覧。
- ^ 『母を讃える』、1949年7月5日発行、高知県教員組合、P34
- ^ 『図解アイヌ』 角田陽一 新紀元社 2018年 p92
- ^ JICA (2011, p. 16f)
- ^ 「「隣家の池のカエル、鳴き声耐えられない」と訴え…東京地裁「自然音」と請求棄却」【読売新聞】2021年4月24日付
- ^ “<カエル・ツボカビ症>国内で初確認 両生類絶滅の危険性も”. 毎日jp (毎日新聞). (2007年1月12日). オリジナルの2007年1月15日時点におけるアーカイブ。 2013年1月10日閲覧。
- ^ 東 (2002)
- ^ 200 million years of anuran body size evolution in relation to geography, ecology, and life history
- カエルのページへのリンク