雨を降らせて殺された竜とは? わかりやすく解説

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雨を降らせて殺された竜

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/06 00:19 UTC 版)

雨を降らせて殺された竜(あめをふらせてころされたりゅう)では、主に日本各地の伝承や民話などに登場する、旱魃から人々を救うためにを降らせて殺された[1]について記述する。


注釈

  1. ^ 法華八講は、『法華経』全8巻を講義する法会で、法会1回ごとに1巻を取り上げる。中国で始まったとされており、日本では786年(延暦15年)に奈良の石淵寺で4日間にわたって行われたのが最初だと言われている[4]
  2. ^ この伝承とは別に、人々に悪さをする竜を退治して体を裂き、それぞれの部位を寺に納める伝承が残っている。たとえば、奈良県五條市の伝承では、行者が呪術で悪竜の体を3つに裂き、その後龍頭寺、龍胴寺、龍尾寺の3寺を建てられた[3][6]。これら3寺は後に草谷寺(北山町)に統合されたという[6]。奈良市柴屋町の伝承では、柴屋の池に住む人食い竜を武士が退治した。バラバラになった死骸は1箇所にまとめて埋葬し、龍象寺(宝寿山龍象資聖禅寺)を建立したという。また、この武士の正体は春日明神であったという[3][7]高谷 (1970) によれば、奈良県のこの3つの話は同じ伝承から分かれたものと推定されるという[3]
  3. ^ 四條畷市の龍尾寺は、建立時は真言宗であったが江戸時代初期に曹洞宗となっている[8]

出典

  1. ^ a b 仲倉 1989, pp. 361-363.
  2. ^ 愛知県教育会編 1937, pp. 297-298.
  3. ^ a b c d e f g h 高谷 1970, p. 13.
  4. ^ 法華八講(ほっけはっこう)”. ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典. コトバンク. 2016年12月11日閲覧。
  5. ^ 横山 1998, pp. 25-26.(日本【奈良】 1 龍腹寺の由来 奈良市北之庄町)
  6. ^ a b 山崎しげ子 (2006年8月号). “龍の寺 (PDF)”. 県政だより奈良. 奈良県. p. 3. 2016年12月11日閲覧。
  7. ^ 横山 1998, p. 26.(日本【奈良】 2 龍象寺の龍伝説 奈良市柴屋町)
  8. ^ a b c 【四條畷】龍の語り継がれる所。(龍光寺・龍間寺跡・龍尾寺)~龍伝説を残して唯一お寺として存続されている龍尾寺~”. 号外ネット 大東・四條畷. 本気メディア (2015年3月28日). 2016年10月5日閲覧。 “龍王は...身は三分されて天空より落下した。...尾の所に龍尾寺を建て...当市の龍尾寺となって、...観音山に真言宗として建立され、滝尾寺を称し、鎌倉時代に起山寺龍尾寺へ名称は定着、江戸初期に現在地へ転じた時、禅宗の曹洞宗へ改まった。(四条畷市史第四巻より抜粋)
  9. ^ 岩瀬 1984, p. 114(29 行基)。同ページによれば、出典は井上正雄 『大阪府全志』(1922年)
  10. ^ 名所・旧跡「龍尾寺」”. 四條畷市. 2016年10月5日閲覧。
  11. ^ 沿線各線紹介 四條畷「権現の滝/四條畷市」”. 学研都市線で行こう. 片町線複線化促進期成同盟会. 2016年10月5日閲覧。
  12. ^ a b 五十嵐行男「龍の来た道 - 龍角寺、龍腹寺、龍尾寺説話の成立について」『房総の郷土史』第40巻、千葉県郷土史研究連絡協議会、2012年5月、 pp. 25-26、 ISSN 09126791(参照ページ:p. 26)
  13. ^ “干ばつの村に雨降らせた伝説 龍の尾が100年ぶり開帳 大阪・四条畷の龍尾寺”. 読売新聞 大阪朝刊: p. 33. (2000年11月22日). "「龍尾寺」で二十三日、...龍の伝説に基づく寺宝の〈龍の尾〉が約百年ぶりに開帳される。...三年前に、この伝説が絵本「さかれた龍」として出版されたのを機に、〈龍の尾〉が話題になり、...開帳することにした。〈龍の尾〉は、長さ約一メートル。木の株に巻きつき、...昭和初期に当時の住職が動物学者に調べてもらったところ、「正体不明の海生動物のミイラ」と鑑定されたという。代々の住職が寺の宝として大切にしており..." 
  14. ^ a b c d 高谷 1970, p. 14.
  15. ^ “全国手づくり絵本コンクール 最優秀賞は大阪の主婦、東口恵子さんの作品/北陸”. 毎日新聞: p. 地方版/福井. (1997年12月17日) 
  16. ^ “あふれる「子供の世界」 手作り絵本コンクール入賞作決まる/富山”. 朝日新聞: p. 東京地方版/富山. (1997年12月6日) 
  17. ^ a b c 横山 1998, p. 35.(日本【奈良】 解説)
  18. ^ 今昔物語集 巻第13 竜聞法花読誦依持者語降雨死語第三十三
  19. ^ 笹間 2006, p. 131.(今昔物語の龍「雨を降らせて死んだ龍」)
  20. ^ a b c 今昔物語集 巻第13 竜聞法花読誦依持者語降雨死語第三十三(p. 253、注釈)
  21. ^ 高谷 1970, pp. 13-14.
  22. ^ 竜海寺の沙門某
  23. ^ 三条実房、観厳. “東大寺要録 巻四 諸院章第四”. 水野忠央 『丹鶴叢書 辛亥帙』(中屋徳兵衛ら、1851年刊行). 佛教大学図書館デジタルコレクション. p. 四之十四. 2016年12月11日閲覧。 “必訪後世"”(コマ番号16)
  24. ^ 師錬 『元亨釈書』 30巻 [2]、下村生蔵、1605年。doi:10.11501/2544560NDLJP:2544560/48https://iss.ndl.go.jp/books/R100000039-I001124565-00 
  25. ^ 師錬 『元亨釈書』 30巻 [3]、大菴呑碩・写、1558年。doi:10.11501/2545136NDLJP:2545136/49https://iss.ndl.go.jp/books/R100000039-I000051129-00 
  26. ^ 一円(無住)「冥衆仏法ヲ崇ル事」 『説教至要雑談集』 第5巻、大高文進・校、永田文昌堂、1882年4月。全国書誌番号:40048584NDLJP:822997/11 
  27. ^ 丸山顕徳 著「伝説五十四選 11 行基」、野村純一 編 『昔話・伝説必携』学灯社、1992年5月、72頁。ISBN 978-4-312-00532-8 


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