第一の警察隊長の語った物語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 10:08 UTC 版)
「千夜一夜物語のあらすじ」の記事における「第一の警察隊長の語った物語」の解説
第一の警察隊長は名をモイン・アル・ディーンといい、アラム・アル・ディーン・サンジャルが警察の長をしていた時に隊長になった者だったが、次のように語った。 ある日、モインが奉行(ワーリー)の屋敷の中庭に座っていると、100ドラクムの入った財布が落ちてきた。次の日も同じ場所に座っていると、100ドラクムの入った財布が落ちてきたが、誰が投げたものかは分からなかった。その次の日、同じ場所にいると、美しい女が現れ、頼みを聞いて欲しいと言って来た。モインが承諾すると、女は次のように話した。 その女は、法官(カーディー)の若い娘と恋仲であったが、法官が気付き、同性の恋愛を許さなかったので、会えなくなってっしまった。そこで明日の夕方、ベールで顔を隠し法官の家の近くにいるので、「夜道を女一人帰るのは危険だ」と保護し、法官の家に一晩預けて欲しい。 モイン隊長は女に言われた通りにし、女を法官の家に連れて行き、一晩泊めるよう頼んだ。法官は、ベールのため女が誰であるかに気付かず、女を泊めたが、翌朝、女は6千ディナールを盗んで法官の家から消えていた。法官はモイン隊長を呼びつけ、3日以内に女を捕まえ6千ディナールを弁償するよう言った。モインは女が誰なのかを知らなかったため、探すのを諦め、3日目の朝に覚悟して法官の家に向かったが、途中で例の女を見つけた。女は、モインに大量の宝物を見せ、頼みを聞いてくれれば宝を渡すと言い、次のように頼んだ。 法官の家に行ったら、女はこの家を出ていない可能性があると言って法官の家を探し、最後に台所の油の大甕のふたを開けなさい。すると、そこには血の付いたその女の服が入っているので、それを法官が女を殺した証拠としなさい。すると法官は大金を払い口止めをするので、受け取って法官の家を出なさい。 モイン隊長は言われた通りにすると、計画通り事が運んだ。その後数日して、法官は怒りと悲しみのあまり死んでしまった。謎の女と、法官の娘は、ナイル河のタンターの地に移り、幸せに暮らした。
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