みんぞくじけつ‐しゅぎ【民族自決主義】
民族自決
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民族自決(みんぞくじけつ、英:self-determination)とは、各民族・人民(英:peoples)が,みずからの意志によってその運命を決定するという政治原則[1][注釈 1]。
注釈
- ^ 以下、国際社会で一般に法的権利として確立していない歴史的場面、あるいは概念としての説明をする際には「民族自決」という言葉を使うこととする。一方、法的権利として確立したのちの場面の記述では「民族自決『権』」という言葉を使うこととする。これは「外的自決」・「内的自決」・「政治的自決」・「経済的自決」についても同様である。
- ^ 21世紀前半において法的権利として確立したという見解には異論はないが、どの法源に立脚しているのかという点で不明確さが残る。というのも民族自決はその多くが国連総会決議に明記されている概念だからである。
- ^ ただソ連の国際法学者を中心として、国連憲章の時点で自決権を法的権利として認められたと解す意見もある。
- ^ ただこれらの規定は、国際聯盟規約からすると頗る前進を遂げたといって良い。コンゴー条約(1884-1885)にて、施政地域の住民の文化や社会を大切にすることが確認されたものの、実体としては植民地施政国による自由な統治が行われていたのである。また上記の通り、国際連合憲章にて「独立に向かって」といった内容面での著しい前進が見られたものの、1960年までの諸地域の独立問題の中で国際連合の議題として挙げられたものについて、概して植民地施政国は「国内管轄事項である」という主張を崩さず、フランスに至っては議場から退席するという強硬な態度さえ見せた。
- ^ a b なお、国連総会決議はソフト・ローの一種であり、一般には勧告的効力しか持たないため、法的拘束力はない。ただ植民地独立付与宣言は将来の条約や慣習国際法の形成を促す決議であり、友好関係原則宣言は「法原則宣言」とも呼ばれ、国連憲章や慣習国際法の内容の明確化を図るものである。
出典
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