最適成長モデル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/31 04:38 UTC 版)
1960年代、フェルプスらの黄金律の研究と並行して、デイヴィッド・キャスやチャリング・クープマンスが最適成長モデルをつくりあげた。最適成長モデルは経済の進むべき望ましい道すじを一本えらぶ。その結果は、望ましい道すじの先にある均斉成長において、資本収益率が成長率を上まわり、消費が黄金律より少なくなる。 最適成長モデルが黄金律に達しないわけは、黄金律に達すると社会厚生(英語版)が無限大になってしまって都合がわるいからである。このことを説明すると次のとおりである。最適成長モデルは、人々の日々の消費を数値で評価し、その数値を無限の未来まで積みあげて社会厚生を計算し、その社会厚生を最大にするように、経済の進むべき道すじを一本えらぶ。日々の消費を評価するにあたっては、未来を先にゆけばゆくほど日々の消費を割り引いて評価する。これは、目先の消費を優先して、先ゆきの消費を犠牲にする傾向があるということなので、長い目でみると消費が黄金律より少なくなる。先ゆきの消費をあまり割り引かないようにすれば長い目でみて消費は増えるが、そうして消費を増やして黄金律に近づけてゆくと、社会厚生が無限大になってしまう。社会厚生が無限大というのは素晴らしいことのように思えるが、無限大のまわりどれも無限大なので、一本の道すじをえらべない。道すじを一本えらべるようにすると黄金律に達しない。いいかえると、道すじを一本えらぶ最適成長モデルは黄金律をえらばない。
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