小規模農家への打撃
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/05 02:19 UTC 版)
ヨーロッパのほとんどの政治家はいわゆる「家族農場」や小規模生産を振興したいという点で一致しているが、実際には共通農業政策は大規模生産者向けの内容となっている。共通農業政策はそもそもより生産量の大きい農家が報われるものとなっているため、大規模農場は零細農場と比べて補助金制度の恩恵をはるかに大きく受けている。例示すると農地1ヘクタールあたり100ユーロの利益を出しているという仮定がなされ、この条件の下で1000ヘクタールの農地を持つ農場では合計で10万ユーロの利益が出ることになるが、農地が10ヘクタールしかない農場では1000ユーロの利益しか生み出さないことになり、規模の経済というものがまったく考慮されないことになる。そのため共通農業政策による補助金のほとんどは大規模農場に支給されることになる。2003年の改革で補助金制度が生産要素から切り離され、農場の経営規模といったものが考慮されるようになり、そのため従来のように大規模農家が補助金の受給という点では極端に有利になるということがなくなった。すなわち改革された補助金制度では小規模農家の存続が可能となる一方で、大規模農場にはさらに大きな利益がもたらされることになった。
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