国家緊急権
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』 (2023/12/26 03:15 UTC 版)
国家緊急権（こっかきんきゅうけん、ドイツ語: Staatsnotrecht、英語: emergency powers[1]）とは、戦争、内乱、大規模な災害・疫病・テロリズムなど、国家の平和・独立・公衆衛生を脅かす緊急事態に際して、平常の統治秩序では対応できない際に、憲法条項の一部を一時停止し、行政機関などに大幅な権限を与える非常措置をとることによって、独裁を図る権限のことをいう[2][3][4]。また、当該緊急時の特例を定める憲法上の規定を（きんきゅうじたいじょうこう）という[5]。1789年から2013年までに世界で制定された約900の憲法中、93.2%が何らかの緊急事態条項を有するとされるが、一方で、緊急事態において、法律と同等の効果を持つ政令を内閣が発出することができる旨を憲法に定めているのは7.4%にとどまっているとされる[6][7][8][9]。日本においては植木枝盛の『東洋大日本国国憲案』などでも緊急事態条項が明記されていた[10]。
注釈
出典
- ^ 渡辺富久子 2012, p. 66.
- ^ 富永健 1996, pp. 71–72.
- ^ a b 安全保障及び国際協力等に関する調査小委員会 2003, pp. 3.
- ^ “国家緊急権（世界大百科事典 第２版 ）”. コトバンク. 2022年2月16日閲覧。
- ^ “コトバンク－緊急事態条項”. 2018年10月31日閲覧。
- ^ a b “『緊急時の権限行使を統制するための憲法改正』”. 玉木雄一郎衆院議員ブログ. 2022年5月3日閲覧。 “ここで、緊急事態条項に関する国際比較をお示ししたい。これは、ケネス・盛・マッケルウェイン東大教授の研究で示されたもので、1789年から2013年までに制定された約900にのぼる憲法をデータ分析したものだが、 2013年時点で、93.2%の憲法において緊急事態条項を含まれており、今や緊急事態条項は憲法における最も共通した項目の一つとなっていること。”
- ^ INC, SANKEI DIGITAL (2020年4月17日). “ロックダウンできない日本 諸外国で目立つ強制力”. 産経ニュース. 2021年5月3日閲覧。
- ^ 国立国会図書館調査及び立法考査局 2019, p. 4.
- ^ 「COVID-19と緊急事態宣言・行動規制措置 : 各国の法制を中心に」『国立国会図書館 調査と情報―ISSUE BRIEF―』第1100号p.49、井田敦彦、2020年6月15日、 NDLJP:11499114
- ^ 『東洋大日本国国憲案』の第214條、第215條、第216條が、緊急事態条項に相当する。
- ^ 渋谷秀樹 (2013). 憲法（第2版）. 有斐閣. p. 507. ISBN 978-4-641-13134-7
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- ^ a b c 富永健 1996, pp. 73.
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- ^ 渡辺富久子 2012, pp. 68–72.
- ^ 富永健 1996, pp. 74–75.
- ^ a b c d 富永健 1996, pp. 75.
- ^ a b 調査及び立法考査局政治議会課憲法室「2008年7月23日付けフランス共和国憲法改正に関する新旧対照表」『外国の立法』第240巻、国立国会図書館、2009年6月、146-147頁、NDLJP:1000080。
- ^ 井田敦彦 2020, p. 49.
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- ^ Fiona de Londras (2021年10月18日). “Coronavirus emergency powers: parliament must not waste its third and final chance to review them”. TEH CONCERSATION. 2022年2月17日閲覧。
- ^ a b 高田敏 & 初宿正典 2020, pp. 123–124.
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- ^ 高田敏 & 初宿正典 2020, p. 9.
- ^ a b 高田敏 & 初宿正典 2020, p. 156.
- ^ 高田敏 & 初宿正典 2020, p. 157.
- ^ 高田敏 & 初宿正典 2020, p. 171-172.
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- ^ a b c d e f g 塩津徹 2003, p. 238.
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- ^ 福井千衣・田中嘉彦・古賀豪・齋藤純子 2003, p. 64.
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- ^ a b 塩津徹 2003, p. 229.
- ^ 山岡規雄 2016, p. 72.
- ^ a b 『緊急事態条項と植木枝盛』髙岡功太郎論述、一般社団法人板垣退助先生顕彰会（2018年）
- ^ a b 安全保障及び国際協力等に関する調査小委員会 2003, pp. 4.
- ^ 矢部明宏・山田邦夫・山岡規雄 2003, pp. 12.
- ^ a b c 矢部明宏・山田邦夫・山岡規雄 2003, p. 13.
- ^ 荻野富士夫 1996, pp. 584–596.
- ^ 大正天皇『大正八年勅令三百四号の効力を将来に失わしむるの件 』大蔵省印刷局『官報』、1920年3月25日、1頁。
- ^ 加藤一彦 2015, pp. 95–121.
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- ^ 渋谷秀樹 2017, p. 508.
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- ^ 渋谷秀樹 2017, p. 507.
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- ^ 衆議院 1946.
- ^ 衆議院憲法審査会事務局 2013, pp. 13–14.
- ^ 衆議院憲法審査会事務局 2013, pp. 15–16.
- ^ a b 三輪和宏「2008年7月23日のフランス共和国憲法改正」『外国の立法』第240巻、国立国会図書館、2009年6月、140頁、NDLJP:1000080。
- ^ 矢部明宏・山田邦夫・山岡規雄 2003, p. 26.
- ^ 矢部明宏・山田邦夫・山岡規雄 2003, pp. 25–26.
- ^ 矢部明宏・山田邦夫・山岡規雄 2003, p. 24.
- ^ 佐藤幸治 2011, p. 51.
[続きの解説]
「国家緊急権」の続きの解説一覧
- 1 国家緊急権とは
- 2 国家緊急権の概要
- 3 国家緊急権の課題
- 4 参考文献
- 5 関連項目
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