上郷図書館とは? わかりやすく解説

飯田市立上郷図書館

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/29 21:17 UTC 版)

飯田市立上郷図書館(いいだしりつかみさととしょかん)は、長野県飯田市上郷黒田にある公立図書館1923年(大正12年)に上郷青年会の運営する私立図書館として創立し、第二次世界大戦後に下伊那郡青年会運営図書館が次々と公民館図書部に吸収されていく中でも、青年会の運営のまま維持された[6]。その後、児童書を重視した運営方針を取り[7]、飯田市への合併後は飯田市立図書館の地域館として位置付けられている[8]


  1. ^ 当時の上郷村の年間予算は2万円ほどであったのでかなりの大金であった[12]
  2. ^ 「伊那電(現・飯田線)に乗りたくない」という理由で飯田峠大平峠を越えて中央本線三留野駅(現・南木曽駅)まで夜通し12時間徒歩で向かった[14]
  3. ^ 青年会の総予算は820円であった[27]
  4. ^ LYL事件以降、上郷青年会の活動は特別高等警察の監視対象となっており、活動のための集会場を借りることにも苦労があった[38]
  5. ^ 野底山での勤労奉仕によって捻出した[38]
  6. ^ 書架は公開するが、利用者が直接手に取れないようガラス張りにするというものであった[45]
  7. ^ ただし、延滞した場合は1銭が徴収された[52]
  8. ^ 乙部は著書『農村図書館の採るべき道』で館則の例として貸出無料を提示していることが傍証となっている[53]。また乙部は別の著書『町村図書館の新経営』で上郷図書館を紹介した[50]
  9. ^ 1冊平均1円20銭だった当時、藤村の『夜明け前』後編は2円30銭したことから高級な本であった[55]
  10. ^ 県立長野図書館の乙部館長が視察に来た際、娯楽物の貸し出しが多いことを叱られるのではないかと先回りして上郷図書館は「どうしたらよいか」と相談したが、乙部は意外にも「利用者が読みたい本を貸し出せばよい」と答えたというエピソードがある[50]
  11. ^ 森鷗外の『高瀬舟』や『山椒大夫』などをテキストとして、自主的に集まった人々が順々に朗読し、終わったら内容について討論するというもので、空襲警報が発令されているような時局であったにもかかわらず、戦争に関するものを取り上げるようなことはめったになかった[65]。時の文部省は読書会に国家総動員的な役割を期待していたが、それとは全く異なる自由闊達な議論のできる上郷村の読書会が皮肉にも県立長野図書館から優良読書会として評価された[66]
  12. ^ 村当局が解放に向けた姿勢を示したことや、青年会に力ずくで解決しようという意志はなかったことから、実際に提出することはなかった[81]
  13. ^ 45席の閲覧室、公民館と兼用の資料室、書庫の3室で構成された[95]
  14. ^ 『知恵の樹を育てる』と『上郷史』では専任は1人とされている[93][95]が、『飯田市立図書館概要』では毎日開館になった時点でもう1人増員されたと記されている[2]
  15. ^ 『日本の図書館』1969年版では「村立上郷図書館」[94]、1970年版では「町立上郷図書館」となっている[3]
  16. ^ 母親文庫として始まってから6年が経過した頃、三ちゃん農業や他の仕事を持つ女性が増えて本を読まずに次の人に回す人が増えてきたため、家族ぐるみの活動に変更することで家族の共通の話題作りや読書への理解を推進することが期待された[96]
  17. ^ 退職後は「ガンバの会」を主宰して子供と本を結び、本の楽しさを伝える活動を続ける傍ら、長野県短期大学長野県立大学へ移行中)の非常勤講師福音館書店の社外講師も務めている[100]
  1. ^ a b 是枝 1983, p. 73.
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae 飯田市立中央図書館 編: “平成30年度図書館概要”. 飯田市立中央図書館 (2018年6月). 2019年5月12日閲覧。
  3. ^ a b 社団法人 日本図書館協会 編 1971, p. 73.
  4. ^ 飯田市行政組織機構図(その2)(教育委員会・広域連合ほか(H31.4))” (2019年4月). 2019年5月8日閲覧。
  5. ^ ISIL管理台帳ファイル”. 国立国会図書館関西館図書館協力課 (2019年2月27日). 2019年5月8日閲覧。
  6. ^ a b 奥泉・小黒 2003, p. 159.
  7. ^ a b c d e f g 丸山 1998, p. 210.
  8. ^ a b c 宮下 2012, p. 65.
  9. ^ 是枝 1983, pp. 17–18, 55–62.
  10. ^ a b 是枝 1983, p. 18.
  11. ^ 是枝 1983, pp. 12–13.
  12. ^ a b 是枝 1983, pp. 12–14.
  13. ^ 是枝 1983, p. 13.
  14. ^ 是枝 1983, pp. 14–16.
  15. ^ 是枝 1983, pp. 16–17.
  16. ^ 是枝 1983, pp. 17–19.
  17. ^ 是枝 1983, p. 19.
  18. ^ 是枝 1983, p. 70.
  19. ^ 是枝 1983, pp. 70–71.
  20. ^ 是枝 1983, p. 71.
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  22. ^ 是枝 1983, pp. 73–74.
  23. ^ 是枝 1983, p. 74.
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  25. ^ 是枝 1983, pp. 76–78.
  26. ^ a b 是枝 1983, p. 78.
  27. ^ a b 是枝 1983, p. 76.
  28. ^ 是枝 1983, p. 75.
  29. ^ 是枝 1983, p. 76, 79-80.
  30. ^ 是枝 1983, p. 81.
  31. ^ 是枝 1983, pp. 81–82.
  32. ^ 是枝 1983, p. 82.
  33. ^ 是枝 1983, p. 83.
  34. ^ 是枝 1983, pp. 83–84.
  35. ^ 是枝 1983, pp. 84–85.
  36. ^ 是枝 1983, pp. 85–86.
  37. ^ a b 是枝 1983, p. 88.
  38. ^ a b c 上郷史編集委員会 編 1978, p. 1347.
  39. ^ a b c 是枝 1983, p. 89.
  40. ^ 是枝 1983, p. 130.
  41. ^ 是枝 1983, p. 131.
  42. ^ 是枝 1983, p. 132.
  43. ^ 是枝 1983, pp. 132–136.
  44. ^ a b 是枝 1983, pp. 135–136.
  45. ^ 是枝 1983, pp. 133–134.
  46. ^ 是枝 1983, pp. 133–136.
  47. ^ a b 是枝 1983, p. 136.
  48. ^ 是枝 1983, p. 143, 145.
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  50. ^ a b c d 是枝 1983, p. 144.
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  63. ^ 是枝 1983, p. 167.
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  67. ^ 是枝 1983, pp. 167–168, 175–177.
  68. ^ 是枝 1983, p. 170.
  69. ^ 奥泉・小黒 2003, pp. 159–160.
  70. ^ 是枝 1983, pp. 171–172.
  71. ^ 是枝 1983, pp. 172–173.
  72. ^ 是枝 1983, pp. 174–175.
  73. ^ 是枝 1983, p. 175.
  74. ^ a b c d 奥泉・小黒 2003, p. 160.
  75. ^ 奥泉・小黒 2003, pp. 160–161.
  76. ^ a b 奥泉・小黒 2003, pp. 161–162.
  77. ^ a b c 奥泉・小黒 2003, p. 161.
  78. ^ a b c d 奥泉・小黒 2003, p. 162.
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  80. ^ 奥泉・小黒 2003, pp. 163–164.
  81. ^ 奥泉・小黒 2003, p. 164.
  82. ^ 奥泉・小黒 2003, pp. 164–165.
  83. ^ a b c 奥泉・小黒 2003, p. 165.
  84. ^ 小川・寺﨑・平原 編 2001, pp. 214–215.
  85. ^ 小川・寺﨑・平原 編 2001, p. 216.
  86. ^ 小川・寺﨑・平原 編 2001, p. 215.
  87. ^ 小川・寺﨑・平原 編 2001, pp. 218–219.
  88. ^ 小川・寺﨑・平原 編 2001, pp. 219–220.
  89. ^ 是枝 1983, pp. 193–194.
  90. ^ 是枝 1983, p. 194.
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  92. ^ 小川・寺﨑・平原 編 2001, p. 223.
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  94. ^ a b 社団法人 日本図書館協会 編 1970, p. 71.
  95. ^ a b c d 上郷史編集委員会 編 1978, p. 1349.
  96. ^ a b 小川・寺﨑・平原 編 2001, p. 228.
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  98. ^ 上郷史編集委員会 編 1978, p. 1350.
  99. ^ a b 社団法人日本図書館協会図書館年鑑編集委員会 編 1986, p. 183.
  100. ^ a b ののはなフォーラムおはなし・本・わらべうたを子どもに 子どもの健全育成を求めて 下沢洋子さんによる絵本と本の講座 パート1”. ののはな文庫 (2016年). 2019年5月11日閲覧。
  101. ^ もっと楽しく読み聞かせ講座”. 長野県図書館協会 (2017年). 2019年5月11日閲覧。
  102. ^ 宮下 2012, pp. 65–66.
  103. ^ ご利用案内”. 飯田市立図書館. 2019年5月11日閲覧。
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  106. ^ a b c 飯田市立上郷図書館”. 信州の文化施設. 八十二文化財団. 2019年5月11日閲覧。
  107. ^ a b c d e f 平林敬一"文章講座四半世紀 飯田・上郷図書館 1000人近い受講生 「筆力高めたい」「魂こもった文を」"朝日新聞2009年9月25日付朝刊、長野東北信版29ページ


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詳細は「飯田市立上郷図書館」を参照 飯田市立上郷図書館いいだしりつかみさととしょかん)は、長野県飯田市上郷黒田にある公立図書館1923年大正12年)に上郷青年会運営する私立図書館として創立し第二次世界大戦後下伊那郡青年会運営図書館次々と公民館図書部に吸収されていく中でも青年会運営のまま維持された。その後児童書重視した運営方針取り飯田市への合併後飯田市立図書館地域館として位置付けられた。

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