ロラードは 【ロラード派】
ロラード派
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/26 13:44 UTC 版)
ロラード派(英: Lollards)あるいはロラード主義(英: Lollardy)は、14世紀中頃から宗教改革の時代にかけて、イングランドで起こった政治的かつ宗教的な運動のこと。ロラード主義はオックスフォード大学の神学者ジョン・ウィクリフの教えから発展し、その主張はローマ・カトリック教会の改革を要求するものであった。ロラード派はカトリックの事効論[1]を否定し、信仰において「本物の」聖職者であるかどうかがサクラメントを行う者の必要条件であるとした。さらに信心深い俗人にも聖職者と同じ儀式を行う力があると説いた。つまりロラード派によれば、宗教的な力と権限は、聖職のヒエラルキーに基づくのではなく、信仰心に拠るものであった。同様に、ロラード主義は聖職者の権威が、聖書の権威に基づいていることを強調した。彼らは「救済された教会」の概念を説いた[2]。それはキリストの本当の教会を意味し、敬虔な信者の共同体であり、公的なカトリック教会と重なりながらも同質ではないとされた。またロラード派は予定説を唱え、両体共存説[3]に同意して全質変化[4]を否定し、教皇には清貧を求め、教会財産への課税を主張した。
- ^ どのような聖職者からであれ、与えられた秘蹟は効力を持つとする説。
- ^ ロラード派に典型的に見られるように、この時期の異端思想において、位階制に基づくカトリック教会に対置されたのが、フランチェスコ派の流行以来イエスの理想像であった清貧に基づく霊的な教会であった。これらの運動は反教権的な、したがって国民的な動きになったのであるが、しかし一方で同時期のドイツでは個人的な信仰に向かう動きも進行していた。
- ^ 両体共存説とは、聖餐において、キリストの肉体としての存在は、パンとブドウ酒の「なかに、とともに、もとに」共存しているとする説。ルター派に近い考え。カトリックはこれらが真にキリストの肉体と血に変わるとする全質変化(あるいは実体変化・化体説)を唱える。
- ^ 両体共存説
- ^ つまりカトリックの小麦にまぎれた雑草という意味である。
- ^ 両体共存説
- ^ つまり各地の壮麗な教会や聖遺物に信仰を寄せるよりは、身近な聖書を通じて神に信仰を寄せるべきだということ。
- ^ oath、つまり、宗教的な宣誓のことで、神の名に誓って政治的権力などへの誓いを立てること。現在のアメリカ合衆国大統領が就任式で聖書に手を置いておこなっているものと同様。
- ^ ジョン・オブ・ゴーントはワット・タイラーの乱後に失脚し、後妻コンスタンス・オブ・カスティルの権利からカスティーリャ王位を要求して遠征に出発した。しかしこの遠征は失敗に終わった。
- ^ オールドカースルはウィリアム・シェイクスピアの『ヘンリー四世』に登場するフォルスタッフのモデルである。
- 1 ロラード派とは
- 2 ロラード派の概要
- 3 語源
- 4 信仰
- 5 歴史的展開
- 6 脚注
- ロラード派のページへのリンク