ラス・ラーヌーフとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > ラス・ラーヌーフの意味・解説 

ラス・ラーヌーフ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/20 08:15 UTC 版)

ラス・ラーヌーフ

راس لانوف
Ra's Lanuf
ラス・ラーヌーフ
Location in Libya
座標:北緯30度35分12秒 東経18度24分43秒 / 北緯30.58667度 東経18.41194度 / 30.58667; 18.41194
 リビア
地方 トリポリタニア
スルト県
等時帯 UTC+2 (東ヨーロッパ時間)

ラス・ラーヌーフ([ˌrɑːs ləˈnf] (アラビア語: راس لانوفRaʾs Lānūf,[1] または Ra’s al-Unūf [2])は、リビアの都市。リビア北部、トリポリタニアスルト県に属し、地中海シドラ湾)に面する港湾都市である。1984年に完成したラス・ラーヌーフ製油所は、1日に原油22万バレルの精製能力を持つ。この製油所はリビア国営石油公社の子会社であるラス・ラーヌーフ石油ガス処理会社によって運営されている。また、この町にはAmal–Ra's Lanuf、Messla–Ra's Lanuf、Defa-Ra's Lanuf[3]の3本のパイプラインの終点であり、石油化学コンビナートと大規模な石油基地が存在する。

歴史

ラス・ラーヌーフは古代にはギリシャ人のペンタポリスの領域に含まれていた。ペンタポリスの西の境界はArae Philaenorumにあるとされており、一部の歴史家はこれをラス・ラーヌーフから40㎞東にあるEl Agheilaに比定するものの、他の多くの歴史家はこれをラス・ラーヌーフ近郊に比定しており、このためこの地を植民地化していたイタリア政府はここにPhilaeniアーチを建設した。このアーチは1973年に破壊されるまでこの地に立っていた[4]

オスマン帝国支配ののち、ラス・ラーヌーフはイタリア領トリポリタニアの一部となった。

第二次世界大戦北アフリカ戦線においては、1941年4月3日、「4月1日に連合軍の爆撃機がラス・ラーヌーフでドイツ軍およびイタリア軍の自動車輸送部隊を激しく攻撃し、多くの車両を破壊した」とのイギリスの声明が発表されている[5]。その後ラス・ラーヌーフはイギリスに占領された。リビア独立後、1983年にビン・ジャワド県の一部となったのち、1987年からはスルト県の一部となった。

1984年にはBrega and Ra's Lanuf Higher Committeeによって近隣の石油産業の従業員40,000人を収容する想定で大規模な都市計画が立案され、建設が開始された。この計画によって新たに建設された都市は海岸沿いに広がっており、美しい景観が楽しめ、また町のどの地域からもすぐ海にアクセスすることができた。町の構造は機能的階層に基づいており、3つの中心部がそれぞれ地中海に面した公共エリアとコミュニティ施設を備えている。このエリアはそれぞれ高層住宅群によってとりかこまれ、公共、商業、レクリエーションの各施設はそれぞれ歩道によって結ばれている。この計画はDevecon Engineers and Architectsによって実施された。[6]

リビア内戦時には、2011年3月4日に激しい戦闘があった後、反政府軍がラス・ラーヌーフを占領した[7]。しかし反乱軍の進撃はビン・ジャワドの戦いで阻止され、政府軍の反撃によって3月10日には再びラス・ラーヌーフは政府軍の手に落ちた[8]。さらにここから政府軍は進撃をつづけ、3月27日にはブレガアジュダービヤーを奪還した[9]。しかし反政府軍は再び反撃し8月23日には再度ラス・ラーヌーフを占領下に置き、ビン・ジャワドとスルトに向けて進撃を開始した[10][11]。しかし、ラス・ラーヌーフでは9月に入っても散発的に戦闘が続いた[12]

経済

ラス・ラーヌーフは石油化学工業の輸入センターである。ラス・ラーヌーフ製油所は、1日に原油22万バレルの精製能力を持つ。これは、エチレンプラント、ポリエチレンプラント、プラントユーティリティ(発電等付帯設備)、およびラス・ラーヌーフ港からなる大規模な石油化学コンビナートの一部となっている。ラス・ラーヌーフ港は小さな埠頭からなり、Veba Oil Companyおよびラス・ラーヌーフ石油ガス処理会社によって運営されている。ラス・ラーヌーフ港の主な業務は石油および石油製品の積み込みである。この港はベニナ国際空港から西へ約385キロの地点にあり、最大喫水は22mとなっている。

ラス・ラーヌーフはDefa-Ra's Lanuf石油パイプライン(251km)とMajid-Nafora-Amal-Ra's Lanuf石油パイプライン(427km)の終点となっている[13]。またラス・ラーヌーフには、Ra's Lanuf Oil(コード:HLNF)とMatratin(コード:FR3803)の2つの空港がある。

近隣の都市

  • シドラ(西に24.3km)
  • ビン・ジャワド(西に7.0km)
  • El Agheila(東に66.7km)
  • Qaryat Bishr(東に66.9km)
  • ブレガ(東に79.3km)
  • ゼラ(南に238.4km)
  • マラダ(南に155.8km)

脚注

  1. ^ Ra’s Lānūf: Libya, name, administrative division, geographic coordinates and map”. Geographical Names. 2011年3月5日閲覧。
  2. ^ Ra’s al Unūf: Libya, name, administrative division, geographic coordinates and map”. Geographical Names. 2011年3月5日閲覧。
  3. ^ North Africa Pipelines map - Crude Oil (petroleum) pipelines – Natural Gas pipelines – Products pipelines”. Theodora.com/pipelines. 2011年3月5日閲覧。
  4. ^ Goodchild, R. G. (1 January 1951). “Boreum of Cyrenaica”. The Journal of Roman Studies 41: 11–16. doi:10.2307/298094. JSTOR 298094. 
  5. ^ Daily Telegraph 4 April 1941 quoted in Daily Telegraph 4 April 2011 page 28.
  6. ^ Ras Lanuf Town”. ArchNet Library. 2011年2月22日閲覧。
  7. ^ Abbas, Mohammed (2011年3月4日). “Libyan rebels take oil town of Ras Lanuf – rebels”. Reuters. https://www.reuters.com/article/2011/03/04/libya-port-idUSLDE72320420110304 2011年3月27日閲覧。 
  8. ^ Rebel forces retreat from Ras Lanuf”. Al Jazeera (2011年3月10日). 2011年3月10日閲覧。
  9. ^ Brown, Ben (2011年3月27日). “Rebels take Ras Lanuf, Brega , Uqayla, Bin Jawad”. BBC World News. http://www.bbc.co.uk/news/world-africa-12873434 2011年3月27日閲覧。 
  10. ^ Reuters staff (2011年8月23日). “Rebels take Ras Lanuf oil port”. Today's Zaman (İstanbul, Turkey). オリジナルの2011年8月24日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20110824200228/http://www.todayszaman.com/news-254750-rebels-take-ras-lanuf-oil-port.html 
  11. ^ Staff (2011年8月26日). “Libya conflict: Nato jets hit Gaddafi Sirte bunker”. BBC News. http://www.bbc.co.uk/news/mobile/world-africa-14677754 
  12. ^ Staff (2011年9月13日). “Libya's new leader calls for civil state”. Al Jazeera. オリジナルの2011年11月10日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20111110190919/http://www.aljazeera.com/news/africa/2011/09/2011912214219388500.html 
  13. ^ North Africa Pipelines map - Crude Oil (petroleum) pipelines - Natural Gas pipelines - Products pipelines”. Theodora.com/pipelines. 2011年4月5日閲覧。



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ラス・ラーヌーフ」の関連用語

ラス・ラーヌーフのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ラス・ラーヌーフのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのラス・ラーヌーフ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS