トゥールミンの指摘
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/12 05:11 UTC 版)
スティーヴン・トゥールミンはその著書『科学哲学入門』(1953年)において、法則は、"法則本体" と "適用範囲" の要素に分離できることに言及し(例えば「xがAならば、xはBである」という本体部分と、「xがa,b,c、、、s,t,u の範囲ならば」という適用範囲の指定があり)、それらを分離して吟味すべきことを述べた。トゥールミンは「法則というものは有効範囲が不明な周遊券のようなものである」と指摘。我々は有効範囲が不明な周遊券を持っており、旅に出てとにかくそれを使ってみる。そして無事使えると、事後的に "ここは周遊券の有効範囲に入っていたのだ" とする。同様に法則も、新たな領域においては実際に適用できるのかそうでないのか事前には判らない。無事適用できると事後的に "ここは適用領域の中だったのだ" とする、と指摘。つまり、法則の一回一回の適用行為は一種の「賭け」であり、法則を適用できるとの考えは、過去の適用の成功事例をもとにしたあくまで帰納的な推測にすぎない、またそれゆえに「法則」は確かさをもって新しい事例を導き出すことはできない、と指摘した。これは、因果性に対するヒュームの懐疑論に似通う。
※この「トゥールミンの指摘」の解説は、「法則」の解説の一部です。
「トゥールミンの指摘」を含む「法則」の記事については、「法則」の概要を参照ください。
- トゥールミンの指摘のページへのリンク