タットヴァ_(ジャイナ教)とは? わかりやすく解説

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タットヴァ (ジャイナ教)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/07/22 22:36 UTC 版)

ジャイナ形而上学は七つの(あるいはサブカテゴリーを加えて九つの)真実つまり根本的な原理に基づいており、それらはタットヴァ(サンスクリット語: tattvaタットワ)あるいはナヴァタットヴァ(サンスクリット語: navatattva)と呼ばれる。ジャイナ教ではそういった原理に基づいて人間の苦境の本性や解決策が説明される。タットヴァのうち最初に挙げられるのは魂である「ジーヴァ」(jīva)と魂ではない「アジーヴァ」(ajīva)という二つの存在論的範疇で、これらはものが存在する原理である。三種類目のタットヴァは「ヨーガ」(yoga)と呼ばれる相互作用であり、この相互作用を通じて、ジーヴァとアジーヴァという二つの実体の間でカルマの物質がジーヴァに流れ込み(「アースラヴァ」)、ジーヴァに付着し、カルマに変化する。四番目のタットヴァは束縛の要因として働くもの(「バンダ」)であり、意識自身の固有の出現を束縛する。五番目のタットヴァは新たなカルマの出現の停止を宣言するもの(「サンヴァラ」)で、正しい知識・信念・行動を実践するという修行・苦行を通じて可能になる。さらに修行・苦行を推し進めることでジーヴァに固着していたカルマが消えていく―この六番目のタットヴァが「ニルジャラー」(nirjarā)と呼ばれる。最後のタットヴァは、魂がカルマの影響から自由になったときに到達できるようなジャイナ教の教えの目的であり、解脱つまり「モークシャ」(mokṣa)と呼ばれる[1]。さらに二つのカテゴリーを加える著述家もいる。すなわちカルマに関して功徳のある行為と無い行為(「プニャ」と「パーパ」)である。以上九つの基本的なカテゴリーが「ナヴァタットヴァ」と呼ばれ、ジャイナ形而上学全体の基盤を成している。こういった実在に関する知識は魂の解脱に不可欠である。




  1. ^ *Soni, Jayandra; E. Craig (Ed.) (1998). “Jain Philosophy”. Routledge Encyclopedia of Philosophy (London: Routledge). http://www.rep.routledge.com/article/F005SECT1 2008年3月5日閲覧。. 
  2. ^ Nayanar, Prof. A. Chakravarti (2005). Pañcāstikāyasāra of Ācārya Kundakunda. New Delhi: Today & Tomorrows Printer and Publisher. ISBN 81-7019-436-9.  , Gāthā 16
  3. ^ Nayanar, Prof. A. Chakravarti (2005). Pañcāstikāyasāra of Ācārya Kundakunda. New Delhi: Today & Tomorrows Printer and Publisher. ISBN 81-7019-436-9.  , Gāthā 18
  4. ^ Shah, Natubhai (1998). Jainism: The World of Conquerors. Volume I and II. Sussex: Sussex Academy Press. ISBN 1-898723-30-3. 
  5. ^ James, Edwin Oliver (1969). Creation and Cosmology: A Historical and Comparative Inquiry. Netherland: BRILL. ISBN 90-04-01617-1.  p. 45
  6. ^ a b Jaini, Padmanabh (1998). The Jaina Path of Purification. New Delhi: Motilal Banarsidass. ISBN 81-208-1578-5.  p. 112
  7. ^ Kuhn, Hermann (2001). Karma, The Mechanism : Create Your Own Fate. Wunstorf, Germany: Crosswind Publishing. ISBN 3-9806211-4-6.  p. 26
  8. ^ Tatia, Nathmal (tr.) (1994) (Sanskrit - English). Tattvārtha Sūtra: That which Is of Vācaka Umāsvāti. Lanham, MD: Rowman Altamira. ISBN 0-7619-8993-5.  p. 151
  9. ^ Sanghvi, Sukhlal (1974) (trans. K. K. Dixit). Tattvārthasūtra of Vācaka Umāsvāti. Ahmedabad: L. D. Institute of Indology. 
  10. ^ a b T. G. Kalghatgi, Philosophy East and West, Vol. 15, No. 3/4, (Jul. - Oct., 1965), pp. 229-242 University of Hawai Press


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