エロス誌とファクト誌
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/07 16:18 UTC 版)
「ハーブ・ルバーリン」の記事における「エロス誌とファクト誌」の解説
個人事務所を手に入れたルバーリンは、ポスターや雑誌のデザインからパッケージデザイン、アイデンティティ管理までたくさんの幅広いプロジェクトを自由に抱えることができた。この頃ルバーリンは、ラルフ・ギンズバーグが発行した雑誌 エロス、ファクト、そしてアヴァンギャルドで一躍有名となった。エロスは、急成長するカウンター・カルチャーの中でセクシュアリティーと実験精神の向上による美を謳った雑誌であるが、アメリカ合衆国郵便公社よりわいせつ雑誌に指定され、すぐに廃刊となった。この雑誌の反体制的な感傷主義は、メインストリームメディアで活動ができない素人作家達を沸かせた。ファクト誌の編集者ウォーレン・ボロソン(Warren Boroson)は「ほとんどのアメリカの雑誌はリーダーズ・ダイジェスト誌(Reader’s Digest)のまねで、砂糖みたいに甘ったるくて素敵なものに溺れきっている。ファクト誌だけがスパイスを独り占めしている」と書いている。当時の雑誌の衝撃的なデザインテンプレートにならうことなく、ルバーリンはクオリティーの高いイラストとセリフの力強いタイポグラフィーのバランスから成立する優雅でミニマルなトーンを選んだ。雑誌は限られた予算内で発行されていたので、ルバーリンはコーティングしていない紙にモノクロ印刷を余儀なくされ、タイプフェイスは1〜2種類に制限し、複数のクリエイターではなく1人のアーティストに全てのイラストを依頼することで大量購入割引をさせていた。仕上がりは「アングラ新聞のみすぼらしい見た目やタブロイド誌のけばけばしいタイポグラフィー」ではなく、雑誌に内在するセンチメンタリズムを強調するミニマルで大胆なものとなった。ファクト誌は「保守党の無意識:バリー・ゴールドウォーターのマインド特集号」と題した論文を書き、共和党の大統領候補バリー・ゴールドウォーターによる数年にも及ぶ訴訟を起こされる。ゴールドウォーターは9万ドルを勝ち取り、ファクト誌を倒産に追い込んだ。
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