Amazon Web Services
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/10 13:00 UTC 版)
システムインテグレータとの相性の問題
パートナーコミュニティに参加するような AWS の技術を売りとするシステムインテグレータ(SIer)などは問題ないが、旧来からのオンプレミスを顧客に納入する SIer は、AWS の導入にシフトすることが難しい側面がある。
理由は2点ほどあり、1つめは、AWS を採用すると、SIer がモノを顧客に納入することによって得ている利益を出せなくなるという点である。従来のオンプレミスではハードウェアやソフトウェアといったモノを安く仕入れて顧客に納入することで SIer が利益を確保できるが、AWS では価格が公開されており、SIer にとっての原価が顧客に見えてしまう。また資産管理の観点で顧客が直接 AWS と契約することが一般的であり、そもそも SIer が商流に入れないことが多い。
2つめは、SIer が顧客から受注する作業費も減少するという点である。AWS のサービスによってインフラストラクチャが提供されるため、オンプレミスで必要とするサーバーやネットワークのハードウェア、仮想化、オペレーティングシステム、データベースなどのインフラストラクチャ構築が不要になり、SIer が設計/作業を行う部分が減少する。
そのため、顧客側の企業としては、内製化が進んでいる企業ほど AWS の活用によるコスト削減や運用などの効率化が進みやすく、SIer への外注が原則となっていて同じ SIer に発注を繰り返しているような企業ほど AWS の活用が進みにくい傾向がある。
近年では CCOE を任命して全社的な対策を行ってクラウド活用を推進し、インフラストラクチャのモダナイゼーションやデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を図る企業も多い[52]。
注釈
- ^ この当時はまだAmazon Web Services(AWS)という名称ではなかった。
- ^ かつての大阪ローカルリージョンのみ単一の AZ で構成されていた。2021年3月に大阪リージョンが正式リリースされたことによりマルチ AZ に対応した。
- ^ データセンターであるため、単一のデータセンターでも火災の対策や耐震設計が行われている。
- ^ ファイル。テキストファイルや、画像/音声/動画ファイル、Word や Excel のファイルなど。
- ^ イレブンナイン。1,000万個のオブジェクトがある場合、1つのオブジェクトが消失するのは1万年に1度。
- ^ アクセスが無いオブジェクトをより安価なストレージクラスに移動する、削除する、など。
- ^ AWS におけるファイアウォール機能。VPC の機能の1つ。AWS 内部向きと外部向き、それぞれで許可する通信を設定する。ステートフルであるため返りの通信に対する定義は不要。
- ^ サポートを受けるために AWS の設定などの構成情報は確認可能。一方で、EC2 で動作する仮想サーバーへのアクセスや、S3 オブジェクトへのアクセスなどは禁止されている。
- ^ 動画配信サイトなど莫大なトラフィックが発生する場合はその限りではない。CDN(Amazon CloudFront)を用いることで緩和される。
- ^ 夜間や、企業システムであれば営業時間外にリソースを減らすことができる。
- ^ コストの観点では一般に予め見積りが行われる
- ^ 東京リージョンのような通常リージョンではなく、ローカルリージョンと呼ばれる制限付きのリージョン。 AWS におけるリージョンは、複数の AZ で構成されるが、大阪ローカルリージョンについては AZ が1つのみで構成されていた。
出典
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