野門
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昔話
運定め・かぴたりの由来
昔、若夫婦がいて奥さんは間も無く子供が生まれそうだった。もうすぐ子供が生まれる時、その旦那が伊勢参りをして、その帰り道明るいうちに家に着かないと察し、薬師堂の縁の下に泊まった。縁の下で休んでいたら、足音がした。何かと思ったら、神様が集まって薬師様を誘いに来た。なんでも、お産がするときは神様が集まるのだという。神様達に誘われた薬師様だったが、その日はお客があるからいけないと断った。仕方ないと神様達は薬師様抜きでお産に行った。夜が明けると神様達がお産から帰ってきて薬師様に、「男の子が出来た」「13歳の12月1日までの命を与えてきた」「職業は魚釣りを与えた」と言った。それを聞いた縁の下にいた旦那は、きっと自分の子に違いないと急いで家に帰ると、案の定男の子が生まれていた。女房に心配を掛けたくなかった旦那は、命日を告げずに息子を育て、13歳になる頃にはもちろん魚釣りになってた。そして命日の12月1日、旦那はついに女房に今日が息子の命日であることを告白し、最後はあんこ餅をたらふく食べさせてやってくれと言った。当然女房は驚いたが、旦那の言う通りあんこ餅を作り、袋に入れて息子に持たせてやった。袋をもらった息子はそれを背負って、そそくさと釣りに向かった。遠くから息子の最期を見届けようと旦那が見守っていたところ、息子が釣りを始めると、川上の方から大蛇が現れ大きな口で飲み込もうとした。すると、息子は袋に入ったたくさんの餅を取り出し、大蛇の口に放り投げた。大蛇はこの餅を飲み込めず流れていってしまった。こうして息子は命日に死ぬことはなく長生きしたという[66]。
これが始まりで野門では「12月1日の川びたり」という水神様の祭りが行われるようになった。この日は水神様に餅を供えるとして、川に投げ込む[66]。
うば捨山
自分の父が60歳になったため姥捨山に捨てなければいけなかったが、親孝行の息子にはそれができず、自分の家の縁の下を掘って家を作った。ある時、殿様がやってきて「灰縄を結って出せ」と言われ、どうすれば良いかわからないかった息子は、縁の下にいる父の元に行き方法を教えてもらった。その通りに縄を作って殿様に差し出したところ、殿様に「お前にできるとは思わない」を言われ問いただされた。そこで息子は謝罪と共に父に教えてもらったことを伝えると殿様は納得した。その後、年より知恵がもったいないと、年寄りを姥捨山に捨てなくなった[67]。
注釈
出典
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